元豚王子VS悪役令嬢

黒月白華

第73話 大宴会

エルネスタ公国で奇跡の光りの夜が空けて街はボッロボロでここも復興大変だろうなぁ…って思ってたらハクちゃんの親戚の叔父さんのセキリュウさん通称セキさん一家がここに棲みついて繁栄をもたらしてくれるというのでカミル達は喜んだ。

操られていた公王とイケメン第一公子は礼を言い、例によって第一公子のベルトホルト・リーンハルトはクラウディアを一目見て惚れて

「我が公国を救ってくれた英雄姫クラウディア様!どうか私と結婚していただきたい!」
と早速プロポーズされていたが

「申し訳ありませんベルトホルト公子様…私はジークヴァルト様の婚約者ですのでお受けできません!」
とキッパリ振っている。

「そうですか…仕方がありませんね…。奇跡の王子の婚約者様にはやはり手を出せません…」
と納得した。今までで一番潔いよ!これが普通だよベルトホルト公子!!あんたまともでほんと良かった!

そしてカミルはと言うとバクバクと食料を平らげて行く大食い魔女に向かい

「アスカ様!…あの…公国を救っていただき感謝しています!しかも無事戻ってきたと聞き嬉しいです!」
いや、こいつまじ転移魔法とか食ってただけだぜ?チートのくせに。

「私がいればまぁ大体上手くいくから」
と自分の手柄みたいに言ってるよ!口がソースだらけだよ!!

「あ…あの…アスカ様…もしよろしかったら…ぼ…ぼぼ僕と……僕と婚約していただけないでしょうか!!?」

「んぐううう!」
と明日香は喉に食べ物を詰まらせて一回死んだ!!

「ぎゃああ!アスカ様っ!なんでっ!どうしよう!!ああっー僕がアスカ様を殺しちゃった!!」

かはっと食べ物を吐き散らし蘇生したアスカは汚物まみれのテーブルを気にせず無表情でカミルを見て親指を立てた。

「カミル公子は優しいし素朴で好きです。後、ご飯沢山食べていいなら…」
おい!結局食べ物に釣られてオッケーしたよ!何だこの大食い魔女!!

「は!はい!沢山食べてください!アスカ様!ありがとうございます!!僕、あそこのお肉の山取ってきますね!!」
と浮かれてカミル公子は肉を取りに行った。
ドラグー達は人間の姿になり服を貰って一緒に酒やつまみを飲み、騎士団や他国の戦士達もすっかり宴会騒ぎでこんなにボロボロな街なのに街の人達は皆んな仲良く楽しんでいた!
陽気な音楽に合わせて貴族や庶民関係なく手を取り合い踊っている姿がそこにあった。

「ジークヴァルト王子…この度はエルネスタ公国を救ってくれたこと本当に感謝する!奇跡の王子の力がなければこの国は滅んでいた…本当になんと礼を言ったら良いか!」
と公王のエッカルト様に声をかけられた。
カミルに似て普通の顔だ。

「気にしないでください、あらかじめこちらの公国は女神ザスキアより助言があり遅かれ早かれ向かうところでした。それにこの戦いに集まってくれたのはブッシュバウムだけでなく他国からも沢山集まってきてくれたのです!俺だけの力と言うわけでもないでしょう」

「我が国が女神ザスキア様の加護をいただいたこと心から感謝いたしますとお伝えください!ブッシュバウムに何かあれば我等エルネスタ公国の者も必ずや助けになりましょう!」
とエッカルト公王様が言う。

「それにしても…何だか不思議なのですが…私は夢でも見たのか何かジークヴァルト王子が私の身体を球のように弾ませて……よく判らないが生き返った気がして…うーむ…」
やべえええ!公王の魂をバスケでドリブルしながらダンクシュートで身体に戻したとか思い出されたら!!

俺は青くなり

「エッカルト様!カミル公子が明日香にプロポーズしたようですよっ!!」
と言うと

「何とっ!カミルが!?これは!!また盛大な祝いをとり行わねば!!ではジークヴァルト王子!また!」
とカミルの方に駆け出した!
よっしゃ!誤魔化せたわ!すると後ろから聞き慣れた声がした。

「テオドール様あ!一杯くらいいいでしょう?」
とレーナが酒を勧めていた!お前は未成年のくせに何飲んでんだ!

「何と酒臭い女だ!近寄るな!」

「レーナ!酒も飲めん男など放っておくがいい!我とあちらの隅でいい事をしようぞ!」

「黙れえっ!」
とコンちゃんは瓦礫に沈められた!
それを見てテオドールくんは

「ふん、神獣のくせに酔い潰れるとは!僕だってお酒くらい飲めます!」
とまた未成年が飲もうとしてるので止めようとするが遅かった!
テオドールくんは一杯酒を飲むとバターンと倒れて気絶したように眠った。
酒弱っっ!!…まぁ俺も飲んだことはないけどね。

「は!やった!既成事実作りのチャンスだわ!!」
とレーナがテオドールくんを引きずって行く…。どうしよ。
まぁ…ほっとくか。

クラウディアはと探すとしつこいダニ…じゃなくダニエル師匠に追い回されていた!

「クラウディアちゃーん!いい子だからそのペンダントを俺に渡しておくれー!」

「嫌ですわ!師匠!近寄らないでくださいまし!」
はあっ…と俺はダニエルに近づいて手をかざした。

【セントスリープ!!】
と手が光りそれを見たダニエル師匠はその場に倒れぐうぐう幸せそうに眠りだした。
俺の覚えた力の一つの安眠だ。

「ジーク!!助けてくれたのですね?」

「そりゃあ助けるさ。ディアが困っているんだからな…」

「まっ…まあ…」
ともじもじするクラウディアはやはり可愛い!!



宴会はそれから一日中続いて次の日アスカの転移魔法でまたブッシュバウムに送られ他国の人達も次は私の国に奇跡を!と予約が一杯になる…。

「はあ…この世界全部巡らなきゃならんのか…疲れるうう」

久しぶりにゴロリと自分の部屋で寝そべっているとクラウディアが焦げたクッキーを持って入ってきた。

「…作ってみましたけどやはりダメでしたわ…」
としゅんとする。

「大丈夫だ!食えるよ」
と俺は焦げたクッキーを食べる!

「お腹を壊しますわ!」

「大丈夫…ディアの作ったやつなら壊してもいい!」
お腹を治す力もあるし一応。
それにクラウディアは震える髪を押さえて抱きつく。

「ジーク!私は貴方が大好きですわ!!」
ど、どうしたのクラウディア!?

「お、俺も好きだけど…」
と照れるとクラウディアは言った。

「ジーク…他の国を救う為にキスをして回るのもいいのですが……別にそこに拘らなくてもいいのですよ?」

「ん?」
クラウディアはもじもじしながら耳元で小声で囁いた。

「つまり…こう言う2人きりの時に…」
言わんとしてることが解って俺は真っ赤になる。

「でもテオドールくんがどこかで見てるかもしれないよ?」

「テオには先程お酒入りのクッキーを渡しておきました。今頃眠っておりますわ」
策士かっ!

「そっそうか…よく考えたらそうだよな…別に婚約者だしキスくらいはいつでも……………いつでも…いいんですか!?」
とクラウディアに聞くとコクリと恥ずかしそうに俯くのがキュンときた。

「今更だけど偽物じゃないよね?」
と聞くとクラウディアは少し髪を伸ばして怒る。まぁ本物だよね。
俺はクラウディアの頰を撫でた。

バサバサと白い鳩みたいな鳥が飛び去る羽音が聞こえる中俺とクラウディアはキスをしていた。

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