元豚王子VS悪役令嬢
第48話 ニコラウスのヤンデレ懺悔
アルデン国が浄化されすっかり綺麗になったところで応接間でこれからのドラグーのこととかを話し合う為に俺たちは集まっていた。
が…。
「ぐあああああ!!」
部屋の隅でカーテンにグルグル巻き付きながらニコラウスが煩かった。
あれ…前世の小学校時代によくやったわ…カーテングルグル巻き付くやつ!何も意味ないんだけどさ。
「兄上…煩いし話し合いの邪魔なので出てってください!」
とリヒャルト王子が指摘する。
するとカーテンから顔を出してニコラウスは弟に文句を言った。
「そもそも貴様が惚れ薬なんぞ仕込んだのが悪いんだ!!」
「ふっ!…薬などの力に負けるとは!クラウディア様への想いはその程度だったのですよ!兄上!僕なら薬を盛られてもエリーゼ王女への気持ちは消えない!」
とドヤァとリヒャルト王子は言うが俺やローマンは
「「まだエリーゼちゃんは嫁にやらんからなああ!!」」
と声を揃えて反論した。
ここには現在女性のクラウディア達には退席してもらっているのでいるのは野郎ばかりだ。いや、ほとんど美形が揃っている美形会議だけどな!
「ではカミラ嬢との婚約を破棄なさればいいではないですか?しかし兄上にそれができるでしょうかね?」
腹黒弟はニヤリと笑った。
一体何やったんだ?こいつ…。
「くっ…断片的に記憶があるんだ…。お、俺は…惚れ薬を盛られカミラ侯爵令嬢に夢中になりすぐ様婚約した!相手の返事を聞かずに!」
「ほう…それは酷い…」
「酷いのはその後だ!!おお、俺は…カミラ嬢にとんでもないことをした!!首輪や足枷をつけて奴隷の真似事をさせ、部屋から出さずに愛でて…自由を奪った!」
「ようするに変態ですね兄上」
「変態だな…俺は女性にそんな酷いことはせん」
「流石ヤンデレ…変態だ」
とニコラウス王子以外はうんうんとうなづきあった。
「カミラ嬢はきっと心に傷を負っただろうな…俺自身自分が怖いよ…いくら惚れ薬が効いていたとは言え…」
いんやー?それもともとお前の属性なんじゃないのー?と半目で見る。
「カミラ嬢には俺の側室になってもらう方がいいのかもしれない…だってこんな酷いことをしたんだ…王妃なんか嫌だろうしな…」
「いやそれも酷いんじゃないか?」
と言うと
「しかし!……婚約破棄するのもいろいろと見聞悪くなるしカミラ嬢にも迷惑がかかるし!」
とグダグダ言い出す兄にリヒャルト王子がブチ切れて腹黒一面を出した!
「うるっせええええんだよおお!!?お前のことなんか心底どうでもいいんだよおおおお!!オレが折角カミラ嬢を応援してやったのに無駄にしてんじゃねぇわ!!」
うん、誰この悪魔?
「リヒャルト…カミラ嬢を焚きつけたお前だって悪い…」
「うるせええええ!カミラ嬢は最初っからお前に惚れてんだろうがああ!迷惑どころか嬉しがっとるわあああ!」
と言われてニコラウスは反論した。
「そんなわけ無いだろう?だってあれ人として最低だぞ?俺最低だぞ?」
「お前が最低の変態なのは知っとるわ!!しかしその変態でも好きな変わった女がいたんだよ!有り難く思え変態兄上様!!」
はぁはぁと息を切らせて一呼吸置くとリヒャルト王子は切り替えて天使みたいな笑顔に戻り
「兄上…カミラ嬢と一度お話をした方がいいでしょう…それはさておきドラグーのお話を致しましょう!我が国を救ってくれたのですからジークヴァルト様には御礼をたっぷりしないといけません!」
とにこにこと話始めた。
俺とローマンは
「あれに妹はやらん…」
「怖すぎる…おい、あいつからエリーゼに贈り物がされたら変な匂いとかついてないかチェックしようぜ」
とヒソヒソ言い合った。
それから俺たちはまたカーテンにくるまるニコラウスを無視してドラグーのことを話し合った。
とりあえず準備が出来次第アードラー辺境伯の領地へ向け出発することになった。
*
ニコラウスは悩んでいた。婚約破棄するかそれともしないか、側室か…。
もはや惚れ薬を使っていたとは言え今更あんな酷いことを自分がしようとは断片的であっても許されない。
ならば彼女がどうしたいのか聞くのが早いが…。どんな顔して会えばいいのか解らない。
すると彼女の部屋の前でウロウロしているのでガチャリと扉が開きカミラ嬢が声をかけた。
「あの…さっきから足音がするので…どうしましたか?」
とカミラ・ブラウンフェルス侯爵令嬢が紫の瞳に銀のサラリと伸びた髪を今日は編み込んで顔を出した。顔はそばかすがついている。けして美人というわけではない。普通の気弱な娘だ。
「くっ!俺は…カミラ嬢に謝罪をする…いや、しにきた…」
「婚約破棄ですか?」
彼女は悲しそうに目を伏せて
「ここではなんですからお部屋へどうぞ。紅茶を入れましょう」
とカミラ嬢は気遣った。
「ちゃんと聞いていましたよ…惚れ薬が仕込まれているとリヒャルト王子から…それでも私は束の間愛されて良かったのです。なのでニコラウス様は本当に好きな方と一緒になられてください…あのクラウディア様でしたかしら?私も挨拶しましたが本当に素晴らしい方です。お綺麗ですし…」
「クラウディア嬢はジークヴァルト様の婚約者だ!既に俺は負けている…
それに我が国を救ってくれた恩人である…もはや俺にはどうにもできん」
「それでは別の方を探すのですね?南のマルティナ・シュレマー侯爵令嬢は私よりもよほど王妃に相応しいかと思いますわ…それとも他国のご令嬢でもお綺麗な方は沢山います」
カミラ嬢は俺が嫌いなのか?リヒャルトは少なくとも好いているように言っていたがやはり嫌われているじゃないか!
「とにかくすまない!酷いことをした!出来る限りカミラ嬢の気の済む対応をしよう。何か要求はあるか?」
するとカミラ嬢はリスのような小動物のような表情で見つめておずおずと言った。
「私は小さい頃王宮に遊びに来てニコラウス様を遠くから見た時からお慕いしておりました!もし出来ることならニコラウス様にお好きな方ができるまでこの関係を維持していただけないでしょうか?期間限定の婚約者で構いませんし、その…ストレスが溜まったら私にまた奴隷扱いして貰っても構いませんの!」
と言うからニコラウスはガーンとショックを受けた!!
この娘に変な癖をつけさせてしまった!!
「…わ、解った…其方がそれで良いというなら…とりあえずこのままでいよう…」
「はい…」
とカミラは可愛らしく微笑み淑女の礼を取った。
「では…失礼する!紅茶…美味かった」
とニコラウスは部屋を出た。
廊下をしばらく歩いているとばったりジークヴァルト王子に出会った。
「………」
「………」
「……いや…どうかしたんですかニコラウス王子…」
「なんか…ぽやっとするんだが…」
するとジークヴァルト王子が嫌な顔をした。
「おい…まさかお前もか!?最近俺男に好かれるんだけど…」
「はぁ?俺は男なんか嫌いだよ…いやっ…国を救ってくれたことは感謝しております…」
「クラウディアのことは諦めたのか?」
「…………………………………………はい」
「いやっ!なっげえええよっ!!お前っ!!クラウディアに手ぇだしたら許さんからな!!」
「出しません…この人形で我慢してます」
とクラウディア人形を持って言った。
「いつの間に買ってたんだお前ええええ!!」
「…ならば今度カミラ嬢の人形も作ってくれないだろうか?」
これにはジークヴァルト王子もあんぐりしたが自分でも何を言っているか判らなくなった!
「うう…俺は何を…まだ薬が残っているのか!?」
と頭を抱えているとポンポンとジークヴァルト王子に肩を叩かれて
「仕方ねぇ奴だな!お前は!じゃあ暇ができたら作ってやるよ!」
と笑った。俺の闇が少し晴れた気がした。
が…。
「ぐあああああ!!」
部屋の隅でカーテンにグルグル巻き付きながらニコラウスが煩かった。
あれ…前世の小学校時代によくやったわ…カーテングルグル巻き付くやつ!何も意味ないんだけどさ。
「兄上…煩いし話し合いの邪魔なので出てってください!」
とリヒャルト王子が指摘する。
するとカーテンから顔を出してニコラウスは弟に文句を言った。
「そもそも貴様が惚れ薬なんぞ仕込んだのが悪いんだ!!」
「ふっ!…薬などの力に負けるとは!クラウディア様への想いはその程度だったのですよ!兄上!僕なら薬を盛られてもエリーゼ王女への気持ちは消えない!」
とドヤァとリヒャルト王子は言うが俺やローマンは
「「まだエリーゼちゃんは嫁にやらんからなああ!!」」
と声を揃えて反論した。
ここには現在女性のクラウディア達には退席してもらっているのでいるのは野郎ばかりだ。いや、ほとんど美形が揃っている美形会議だけどな!
「ではカミラ嬢との婚約を破棄なさればいいではないですか?しかし兄上にそれができるでしょうかね?」
腹黒弟はニヤリと笑った。
一体何やったんだ?こいつ…。
「くっ…断片的に記憶があるんだ…。お、俺は…惚れ薬を盛られカミラ侯爵令嬢に夢中になりすぐ様婚約した!相手の返事を聞かずに!」
「ほう…それは酷い…」
「酷いのはその後だ!!おお、俺は…カミラ嬢にとんでもないことをした!!首輪や足枷をつけて奴隷の真似事をさせ、部屋から出さずに愛でて…自由を奪った!」
「ようするに変態ですね兄上」
「変態だな…俺は女性にそんな酷いことはせん」
「流石ヤンデレ…変態だ」
とニコラウス王子以外はうんうんとうなづきあった。
「カミラ嬢はきっと心に傷を負っただろうな…俺自身自分が怖いよ…いくら惚れ薬が効いていたとは言え…」
いんやー?それもともとお前の属性なんじゃないのー?と半目で見る。
「カミラ嬢には俺の側室になってもらう方がいいのかもしれない…だってこんな酷いことをしたんだ…王妃なんか嫌だろうしな…」
「いやそれも酷いんじゃないか?」
と言うと
「しかし!……婚約破棄するのもいろいろと見聞悪くなるしカミラ嬢にも迷惑がかかるし!」
とグダグダ言い出す兄にリヒャルト王子がブチ切れて腹黒一面を出した!
「うるっせええええんだよおお!!?お前のことなんか心底どうでもいいんだよおおおお!!オレが折角カミラ嬢を応援してやったのに無駄にしてんじゃねぇわ!!」
うん、誰この悪魔?
「リヒャルト…カミラ嬢を焚きつけたお前だって悪い…」
「うるせええええ!カミラ嬢は最初っからお前に惚れてんだろうがああ!迷惑どころか嬉しがっとるわあああ!」
と言われてニコラウスは反論した。
「そんなわけ無いだろう?だってあれ人として最低だぞ?俺最低だぞ?」
「お前が最低の変態なのは知っとるわ!!しかしその変態でも好きな変わった女がいたんだよ!有り難く思え変態兄上様!!」
はぁはぁと息を切らせて一呼吸置くとリヒャルト王子は切り替えて天使みたいな笑顔に戻り
「兄上…カミラ嬢と一度お話をした方がいいでしょう…それはさておきドラグーのお話を致しましょう!我が国を救ってくれたのですからジークヴァルト様には御礼をたっぷりしないといけません!」
とにこにこと話始めた。
俺とローマンは
「あれに妹はやらん…」
「怖すぎる…おい、あいつからエリーゼに贈り物がされたら変な匂いとかついてないかチェックしようぜ」
とヒソヒソ言い合った。
それから俺たちはまたカーテンにくるまるニコラウスを無視してドラグーのことを話し合った。
とりあえず準備が出来次第アードラー辺境伯の領地へ向け出発することになった。
*
ニコラウスは悩んでいた。婚約破棄するかそれともしないか、側室か…。
もはや惚れ薬を使っていたとは言え今更あんな酷いことを自分がしようとは断片的であっても許されない。
ならば彼女がどうしたいのか聞くのが早いが…。どんな顔して会えばいいのか解らない。
すると彼女の部屋の前でウロウロしているのでガチャリと扉が開きカミラ嬢が声をかけた。
「あの…さっきから足音がするので…どうしましたか?」
とカミラ・ブラウンフェルス侯爵令嬢が紫の瞳に銀のサラリと伸びた髪を今日は編み込んで顔を出した。顔はそばかすがついている。けして美人というわけではない。普通の気弱な娘だ。
「くっ!俺は…カミラ嬢に謝罪をする…いや、しにきた…」
「婚約破棄ですか?」
彼女は悲しそうに目を伏せて
「ここではなんですからお部屋へどうぞ。紅茶を入れましょう」
とカミラ嬢は気遣った。
「ちゃんと聞いていましたよ…惚れ薬が仕込まれているとリヒャルト王子から…それでも私は束の間愛されて良かったのです。なのでニコラウス様は本当に好きな方と一緒になられてください…あのクラウディア様でしたかしら?私も挨拶しましたが本当に素晴らしい方です。お綺麗ですし…」
「クラウディア嬢はジークヴァルト様の婚約者だ!既に俺は負けている…
それに我が国を救ってくれた恩人である…もはや俺にはどうにもできん」
「それでは別の方を探すのですね?南のマルティナ・シュレマー侯爵令嬢は私よりもよほど王妃に相応しいかと思いますわ…それとも他国のご令嬢でもお綺麗な方は沢山います」
カミラ嬢は俺が嫌いなのか?リヒャルトは少なくとも好いているように言っていたがやはり嫌われているじゃないか!
「とにかくすまない!酷いことをした!出来る限りカミラ嬢の気の済む対応をしよう。何か要求はあるか?」
するとカミラ嬢はリスのような小動物のような表情で見つめておずおずと言った。
「私は小さい頃王宮に遊びに来てニコラウス様を遠くから見た時からお慕いしておりました!もし出来ることならニコラウス様にお好きな方ができるまでこの関係を維持していただけないでしょうか?期間限定の婚約者で構いませんし、その…ストレスが溜まったら私にまた奴隷扱いして貰っても構いませんの!」
と言うからニコラウスはガーンとショックを受けた!!
この娘に変な癖をつけさせてしまった!!
「…わ、解った…其方がそれで良いというなら…とりあえずこのままでいよう…」
「はい…」
とカミラは可愛らしく微笑み淑女の礼を取った。
「では…失礼する!紅茶…美味かった」
とニコラウスは部屋を出た。
廊下をしばらく歩いているとばったりジークヴァルト王子に出会った。
「………」
「………」
「……いや…どうかしたんですかニコラウス王子…」
「なんか…ぽやっとするんだが…」
するとジークヴァルト王子が嫌な顔をした。
「おい…まさかお前もか!?最近俺男に好かれるんだけど…」
「はぁ?俺は男なんか嫌いだよ…いやっ…国を救ってくれたことは感謝しております…」
「クラウディアのことは諦めたのか?」
「…………………………………………はい」
「いやっ!なっげえええよっ!!お前っ!!クラウディアに手ぇだしたら許さんからな!!」
「出しません…この人形で我慢してます」
とクラウディア人形を持って言った。
「いつの間に買ってたんだお前ええええ!!」
「…ならば今度カミラ嬢の人形も作ってくれないだろうか?」
これにはジークヴァルト王子もあんぐりしたが自分でも何を言っているか判らなくなった!
「うう…俺は何を…まだ薬が残っているのか!?」
と頭を抱えているとポンポンとジークヴァルト王子に肩を叩かれて
「仕方ねぇ奴だな!お前は!じゃあ暇ができたら作ってやるよ!」
と笑った。俺の闇が少し晴れた気がした。
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