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男嫌いの悪役令嬢はイケメン悪魔と契約し攻略対象から逃げ切ります

黒月白華

第29話 悪魔の勝利

狭い浴室で白髪に赤い色の混じった悪魔ケビとライム色の髪の悪魔ライルは対峙している。明らかにライルは上級悪魔だ。ケビにはそれが判る。

「ライルさん、あんたわざとルーカスさんを逃したのか?ご丁寧に目玉のヒントまで与えたな」
と言うとライルは

「主の命令に俺は逆らえない。邪魔する奴はお前でも殺さないと契約違反だからな」
とライルは言う。
裏を返せばさっさと俺の契約を破棄しろと聞こえる。

「そうですか…なら目玉取り出させていただきますよ」

「まぁ、全力で来ないと目玉は取れないぜ!!俺も全力だ!」

「ちっ!こんなことならダミアンに指2本と言わず5本は貰っとくんだったな!!」
とケビは無数の烏に変身する。ただの分身ならすぐに悪魔には見抜かれてしまうが分身の一つ一つに自分の魔力を注いで拡散したからそう簡単には見抜けない。

「おっ!やるな!ケビ!」
群がってくる分身の烏の首を締め上げ浴槽にブン投げていくライル。

ゲフ!いたたっ!

ケビは内心痛みに耐えた。それでもライルはわざと目玉を取りやすく腕を前方に広げて分身烏を捕まえてくる。
時間稼ぎだな、ライルさん。
あーあ、バカらしい早くしろよルーカスさん!



俺がアリーセの元へ行くとダミアンと王子が剣を交えて言い争っている。
アリーセはダミアンの後ろで震えて青くなっている。
アリーセの所まで移動して呼びかける。

「アリーセ!大丈夫?」

「はっ!ルーカス!!」
アリーセはガバリと安心して抱きつく。

「アリーセ!そいつから離れろ!」
とエドヴィンが叫ぶが、ダミアンがそれを制した。

「おっと…お前の相手は俺だぜ、エドヴィン!」

「邪魔するな!ダミアン!!」
何だ?喧嘩か?
まぁいいか。アリーセをこんなに怯えさせたんだ。どっちも悪い。

「おいお前ら!二人共ここで抱き合って泣いてろ!」
と俺はパチンと指を鳴らし二人の周りに炎をグルリと回した。さらに幻の虎を周囲に出した。ダミアンとエドヴィンは驚いて虎から避けるが周りは炎だ。
ダミアンは

「おい!悪魔!俺は正気に戻ったんだ!辞めろバカ!」
なんか言ってるが知らん。アリーセはダミアンを見たが…

「あー…まぁいいか…」
と言ってたしいいのだろう。

「アリーセ俺に捕まって!行こう!」

「え?どこに?」
と聞く間もなく俺は抱き抱えると浴室に戻る。



ようやく最後の分身が浴槽にぶん投げられ浴槽がもはや烏で真っ黒に埋まっていた。ライルははぁっとため息を吐く。
何あっさりやられてんだこいつ。…俺が強すぎるのか。
とりあえず契約した以上はしっかり働かないとならない…。
ルーカスのとこに行くしかないか…。
そこで浴槽から

「おおい、まだ俺生きてんよーっ」
とケビのかすれ声がしている。
浴槽を見ると相変わらず烏が浮かんでいる。

「ちっ!」
と舌打ちして浴槽を覗き込むライル。
そしてズボリと烏浴槽の中から何本も手が生えてライルを捉えてついに緑の目玉を取られた!

「貰ったあ!!」
とケビは叫び今度は烏が全部消えて変わりに大きな鷹になり浴室から廊下へと飛び去った!!

「待て!こんにゃろおおおーっ!」
と俺はケビを追いかけつつもよくやった!ケビ!と思っていたが、まだ契約中だし従うしかないからケビを追いかける為に俺は熊に姿を変えて追いかけた!!


浴室まで移動すると所々破壊された後があるが誰もいない。ルーカスは…

「あれっ!?どこ言った!?ケビと先輩!!」
まぁ、狭かったしねここ。

「そうだ…アリーセびしょ濡れだし服が破けたままだったな」
ルーカスは暖かい風を周囲に纏わせ私の服や髪を乾かし、自分の上着を脱ぎ渡す。

「ありがとう!ルーカス!それに助けにも来てくれたわ!!」

「当たり前だ…アリーセ…よく聞いて?」
と急に真剣な目になるルーカス。

「何?」

「たぶんケビが先輩の目からあの王子の目玉を奪ったからそれを人間であるアリーセが潰して欲しい!」
と言った。
なっ!何!?私に王子の目玉を潰せって聞こえたけど…嘘よね?

「あれは魔術書と同じで契約の証だ。人間の手でしか潰せない。つまり目玉を潰せば王子の契約は破棄され、先輩は魔界に送還されるし、王子の記憶からアリーセの恋心を消すこともできる!!」

「なっ!ほ、ほんと!?」

「本当だよ…俺はアリーセに嘘つかない…」
とルーカスは私を優しく抱き寄せた。
耳元でイケボが囁く。

「アリーセ…俺は…アリーセと愛し合えば力が出るんだよ…思い出したんだ…。愛の力でパワーが上がるらしいよ」
と見上げると照れてこっぱずかしいことを言ってるルーカスがちょっと可愛く思えた。

「私はルーカスを信じてるし、好きだし、愛してもいるわ!!だっ…だからっ!今度は私も頑張るわ!あのエドヴィンの気持ち悪い目玉を踏み潰してやるわ!」

想像したら気持ち悪いことになるけどこれで奴から解放されると思うとなんとかやれると思った。それにルーカスも側にいる。愛の力なんて…ベタな展開ね。と思いつつも。

「じゃあ愛するアリーセ!とにかくケビ達を追いかけよう!大丈夫まだこの屋敷内に気配はある!」

「追いつける?」
するとルーカスは手を差し出し私もそれに手を重ねる。それは恋人繋ぎというやつだった。
本やドラマや漫画でしか見たことないやつ。

ルーカスはにこりと綺麗な微笑みを浮かべて消える。そして気付くとまだ火の周りの少ない所に来て向こうから目玉を持った鷹が熊に追われているというとんでもない状況に青ざめたけどあれはケビと先輩だと言う。

ルーカスに気付いた鷹のケビはもう限界とばかりに目玉をこちらに放り投げる。
ぎえっ!!目玉がこっちに飛んでくる!何のホラーだ!!元はあのエドヴィンの片目…。こいつには散々な目に遭わされた。
だから床に落ちて足元に転がってきたそれをルーカスの手を握り勇気を出して私は踏みつけた!

グシャッ!

嫌な感触しかない。全身の毛が逆立つ程だ。しかしその瞬間熊は動きを止めて元のライル先輩に戻る。ケビも元に戻った。キモイからそのままで良かったのに。

「はーっ!!やっとかーーーっ!」
とライル先輩は言った。とうとう王子との契約が切れたのだ。ルーカスは指をパチンと鳴らしてこの場にダミアンとエドヴィンを呼び寄せた。

ダミアンは気絶したエドヴィンを担いでいた。

「なんかいきなり倒れたんだこいつ」
とダミアンは言うとエドヴィンを静かに床に寝かせた。
ルーカスは近寄り気絶したエドヴィンの胸ぐらを掴み思い切り頰を殴りエドヴィンが

「グアっ!」
と殴られて少し転がった後にまた近寄り

「悪いけど…もうアリーセのことは忘れて…」
とエドヴィンの頭に手を置きルーカスは術を使った。
エドヴィンは白目でまた気絶した。

「やったのか…ついに」
とダミアンが言い、ルーカスはダミアンも殴った。

「うがっ!!」
ポーンとダミアンの前歯が折れて血がポタリと落ちる。

「ごめん…ついでに殴った」

「ついれ!かよっ!!」
と突っ込みつつ間抜けな歯抜け騎士は

「ケビ!エドヴィンと俺を抱えて脱出だ!」

「へーい!」
とケビはダミアンに従う。エドヴィンをダミアンと担ぎ消えようとしてライル先輩が

「ケビ!よく目玉を奪ってくれた!ルーカスも!いつ気付くかひやひやした!ようやく合図に気付いたな」
ルーカスはちょっと泣いた。

「先輩が教えてくれたこと思い出しただけです」
ライル先輩は蒼い炎に包まれて送還されようとしている。私はライル先輩に最後に声をかけた。

「ライルさん…ごめんなさいね、貴方きっとルーカスに恋してただろうけど…諦めてね!ルーカスと私はお互いに必要なの!」
と言うとライル先輩は呆れた。

「お嬢様…何勘違いしてんの?俺がルーカスに恋とかやめてくれる?ルーカスは俺と違ってとても良い悪魔だ。汚れを知らない。そんな悪魔がいてもいいんじゃないかって思ってずっと守っていただけだよ」
え?そ、そうだったの?普通の良い先輩だった!!

「じゃあな!皆!いつの日かまたこの世界に俺の魔術書ができたらまた顔出しにくるよ!」
と蒼い炎に包まれてライル先輩は手を振り笑顔で消えた。

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