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引きこもりの婚約者に会ったら目が死んでいるし前世が女らしいですわ

黒月白華

第7話 婚約者と旅行に行きます

「遠くへ行きたい…」
と私の婚約者のケヴィン・トール・ファインハルス様が死んだ目で遠くを見つめているのでこれはヤバイと思いましたわ。

「ケヴィン様…流石に自害はいけませんわよ?気をしっかり持ってください!」
と私は励ましました。

今日は私のヘルトル公爵邸にてケヴィン様とお茶会をしております。

「違うわよエル…。私ずっと引きこもってたし…でもエルに秘密を打ち明けれてちょっと楽になったから…もっと外に出て行こうかなって最近ポジティブに前向きに考えるようになったわけ」

「まぁそれはいい傾向ですわね。ケヴィン様が侯爵家当主になられましたら外交もなさらないといけませんし今から何処かへ行くのもいい練習でしょうね」
と言うと自分から遠くに行きたいと言ったくせに死んだ目になる。

「うん…そうなのよね。でもこの世界…長旅は危険がつき物。従者は連れてかないとダメだし、護衛も同行して馬車を狙う賊にも注意しなきゃならないし、馬車の長旅はお尻も痛くなる!!不便よねぇぇ」

「まぁ…そうですわね…庶民でも傭兵を雇って街を離れることもありますからね」

「それに道だってよくある小説には崖崩れに遭って死ぬか大怪我して記憶喪失ものよ…そうなると旅行行きたくても行けないのが現実よねー…」
と死んだ目をする。

「でも旅行に行けばラウラ様やメイド達からは解放されますね」
するとピクリとケヴィン様が反応する。

「そうね…それは凄く楽だわ!!あの女を見なくて済むのは!!」
媚薬を盛られてから一層あの美少女の義妹ラウラ様に嫌悪感を抱いているケヴィン様は

「私行くわ!!もうすぐ夏だし避暑地でゆっくりするわ!婚約者のエルも同行しないと怪しまれるから一緒に旅行よー!」
とガッツポーズをする。その目は死んでいるけど。

同行者は護衛騎士を2人と私とケヴィン様の従者2人とレックスを連れて行くことにした。女は私1人だが、女を連れて行くとまた媚薬うんぬんの問題があるし。と言うことだ。
ケヴィン様はラウラ様が変装してこっそり着いて来るかもしれないと警戒を怠らない。

王都から離れた侯爵家の別荘地の一つであり、そこにも使用人やシェフは待機しているので女性が全くいないわけではないが、ケヴィン様はそこの使用人は必ず既婚者の年配の女性達を選んでいた。つまり若い女は雇っていない。
徹底してますわね。

そして旅行当日がついにやってきた。
お父様とゴット様はにこにこと送り出した。

「ゆっくり休んでおいで!エル」

「ケヴィン…お前もようやく引き籠りを辞めて婚約者と避暑地にまで行くようになって嬉しいよ!結婚式はいつだろうね?早くプロポーズしなさい!」
と言われていた。
死んだ目で

「気が早いですよ、お父様…」
と言っていた。相変わらずラウラ様は私を睨みつけている。

「エルメントルート様…まだ婚前前なのですから謹んだ方がいいですわよ?ウェディングドレスのお腹が膨れていたら不格好ですものね?」
するとレックスが

「グルル…キャンキャンキャン!!」
とラウラ様に吠えた。

「くっ!!何なの!!」
犬が苦手なラウラ様はゴット様の影に隠れた。

「レックスおいで」
とケヴィン様が抱き上げると大人しくなった。
ケヴィン様はちょっとニヤリとしている。たぶん心の中ではざまぁと思っているだろう。

同行するケヴィン様の従者のアーベル・ボルツマン様は伯爵家の令息でケヴィン様ほどではないけど整った顔をしている。ケヴィン様と違って女慣れしてそうだわと第一印象で感じた。
私を見てケヴィン様にバレないよう少しだけ舌舐めずりをしたのをチラリと見たのは勘違いと思いたい。

私の従者は全く冴えないおじさんのトビアス・ノイベルトと言います。既婚者で奥さんと娘さんがいらっしゃいます。一応伯爵家当主ですが。私にお付き合いさせるのも可哀想ですが仕方ありません。

護衛騎士の2人は1人は筋骨隆々のクヌート・オトマイヤーさんと細っそり体型ですが剣の腕がいい糸目のコルネリウス・イェーリングさんです。凸凹コンビと言っていいでしょう。

馬車は2台に分かれて私とケヴィン様にレックスが乗り後の方は従者2人が乗り込み御者台に御者と護衛騎士様が一名ずつ乗りました。

ガタガタ揺れる馬車にクッションを敷き少しでも揺れを軽減させます。レックスは大人しくしてケヴィン様の膝に頭を乗せてぐうぐう寝始めました。

「本当に懐いてて凄いですわね」

「ええまぁ…この私の手を噛んだからね?誰がご主人様なのかきっちりたっぷり教えてあげたのよね」
と死んだ目でレックスを撫でる。
レックス…どんな厳しい訓練を成し遂げたの貴方!?

別荘迄は夕方までには着く予定だ。
しかし…

「森とかさぁ、狼とか出るんでしょ?護衛騎士いるから大丈夫だと思うけどさ…。予想外なことあったらどうしよう…」

「確かに盗賊とかは貴族の馬車狙って来ますしね…」

「パターンよね?何も無いといいけど」
とケヴィン様が言う。

「でもっ、ケヴィン様ジュウドウとか言うの出来るじゃないですか」

「流石に複数人とか複数の狼とか無理でしょ?一対一ならともかく」
と言ってるとガタンと馬車が止まった。
途端に死んだ目になるケヴィン様。

「ほら来た。災厄が」

「すみません、ちょっと車輪が大きな石に挟まって少々お待ちください!」
と御者の声がする。
しかしそこで外から物音がして、

「何だお前ら!盗賊か!!くそっ!狼まで!」
と声が聞こえます。やっぱりねという死んだ目になるケヴィン様。

「仕方ないわね…レックス持っててね?外に出したら狼に喰われちゃうわ」
とレックスを渡される。

え?どうする気ですの?ケヴィン様はさっき複数人ではジュウドウは無理って…。
そこでガタガタと馬車の扉をこじ開ける音に私は震えた。レックスを抱きしめた。

ケヴィン様は賊が扉を開けたと同時にバキっと侵入しようとする賊の顔を思い切り蹴り賊が落とした剣を素早く拾った。

「8人か…」
護衛騎士の2人と従者達も必死に闘っていた。4人くらいが一気にケヴィン様に向かってくる。ケヴィン様は私の馬車を守るよう立ち塞がり、剣を構えて…

「おいおい、貴族様だぜ!!きひひひっ!殺して服を剥ぎ取ってやる!」

「馬車の中に女もいるみたいだぞ!!ひっはああ!」
と男達が叫ぶ。ああ!もうダメ!
あの方の中身は女の子ですよ?私と同じ…。

ケヴィン様が殺される!!と目を瞑る。

ガキィン!!と剣の擦れ合う音がしてそれからバキグシャっと音がする!

「ウギャア!!」

キィィィン!!グサっ!バキベキッ!

「はぎゃあああ!」

2人くらいの男の声がした。薄ら目を開けると男の2人は地面に無様に転がっている。
ええええ?ケヴィン様がやっつけたの!?

今度は見ているとケヴィン様に向かってくる2人の男達の刃を受け止めて死んだ目で無駄な動きひとつ無く交わし、クルクルとダンスを踊るかのように剣を受け流し長い足を男の急所のソコに思いっきり蹴り上げ

「あぎゃあああ!!」

「ぶげえええええ!!」
と男達は倒れた。4人をあっという間にのしてしまい、ケヴィン様…カッコいいではないですか!!強い!!

ケヴィン様は馬車の荷台に積んでいたロープを持ってきて4人の男達が地面でバタバタ悶え苦しんでいるところを後ろから容赦なく踏んだり蹴ったり殴ったり投げ飛ばしたりしながら

「舐めんじゃねえよ!!この賊めがっ!!貴族が弱いと思ったら大間違いだっていうことを思い知れ!!」

と叫びぐったりした4人を纏めて木に吊し上げた。時折急所のソコを蹴り上げ男達が

「アウッ!」「オウッ!」「ピィッ!」「ギュイ」
とか涙を流して痛がっていた。

ケヴィン様はパンパンと手についた土を払って死んだ目をした。

「ダッサ…そしてクッサ…」
とボソリと言った。
向こうで闘っていた護衛騎士たちもカタがついたようでケヴィン様が4人を吊るしてるのを見て驚いていた。

「ケヴィン様!!いい、一体どごで剣術を!?」
と驚く。そりゃそうだ。引き籠りでしたから私の婚約者様は。

「は?知らないな…落ちてた剣拾って適当に振り回して急所を蹴って後はボコボコにしただけだ。抵抗しないように木に吊るしたからこれから拷問でもしようか」
と不適に笑った。死んだ目で見られ、気絶しないで護衛騎士達に普通に地面に縛られている残りの4人の賊達はゾッとしている。

木に吊るされている賊達を見てケヴィン様は

「盗賊ツリー…なんちゃって!てへペロ」
と死んだ目でウインクした。全く可愛くはないけど。
狼は盗賊が飼い慣らしたやつでケヴィン様が死んだ目で威圧したら森へ逃げていきました。
馬車に戻るケヴィン様は

「エル…大丈夫?まぁ一応これで大丈夫よね?2回も襲ってこないわよね?」

「ケヴィン様…おおお強いのですね…」

「ええ?適当にだけど、ここで死んだら…」
と言う言葉を遮り私は思わず抱きついてしまった。知らぬ間に身体が震えていた。ケヴィン様が死ぬんじゃないかと思って…。

「……………」
ケヴィン様はよしよしと私の背中を撫でて落ち着かせてくれる。

それから馬車はまた出発し、私は安心感から眠気に襲われてケヴィン様に持たれて眠ってしまう。

「………」
何だかケヴィン様が頭を撫でてる気がして心地よい。

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