悪役令嬢は断罪後青猫王子と国外逃亡してモフモフスローライフします

黒月白華

第31話 夢のスローライフが現実に

魔力障害がようやく治り私達は村の小さな教会で式を挙げて村人達やお忍びで来た赤の王と王妃に1歳の王女様やエンヴァルも参加してくれた。服は着てるなよし。

皆から祝福をされ幸せを感じた。トラヴィスは何度も真顔で

「世界一綺麗だ!綺麗過ぎる!!何でそんなに綺麗なんだ!?」
としつこいくらい言ってくれた。

毎日モフモフで癒されるしこれ以上の幸せはないと思っていたけど…ついに私も妊娠し、その期間もでろでろにトラヴィスの過保護な甘やかしに甘え無事に男児を産み落とした。

最初…トラヴィスは泣いて喜んだが、

「王家の身分を捨てたとは言え、誰かがもし俺たちを見つけたら…リーヴァイは青の王子として国に送還されてしまう…。何とかバレないようにクリフォード達にも釘を刺しておかねば…いやもう殺すか?」
と物騒なことを言う。

「まぁ…大丈夫よ。その時はシャーロットも力を貸してくれるわ」
すっかり口の悪い王妃シャーロットとも一応友達的なものになっているから時間と言うのは凄い。トラヴィスは私は心が広すぎると言い、怒ったけど最終的にはそんなマティルダが好きだとか言うし。

何年かしてまた子供を授かりリーヴァイに妹ができた。ヴェネッサと名付けた。
その間にシャーロットも双子を産み落としたしあいつらは相変わらずラブラブでこちらにお忍びで来た時も人前でイチャイチャするからトラヴィスはよく氷漬けにしていた。

しかもクリフォードとシャーロットの子供は全員女の子であり美少女だが、うちのリーヴァイも負けないくらい美少年だった。そりゃトラヴィスの子だし当たり前だ。性格もよく似ている。

ある日シャーロット達が帰った後夕食の席でリーヴァイが真面目に言った。

「父様、母様……王女様達に今日僕ベタベタ触られたしほっぺにキスはされるしなんか押し倒され服を破られそうになった…。王女様達には逆らえないしどうすればいいの?ヴェネッサが助けてくれたけど…」
と言ったので仰天した。
トラヴィスは微かに震える拳を握り締め…

「リーヴァイ…今後王女様達に無闇に近寄らないように!!いいね!?」

「でも…王女様達が無理矢理…」

「リーヴァイ!!男は簡単に女に振り回されてはダメだよ!!もっと警戒しなさい!!いいね?リーヴァイに好きな子が出来るまでは絶対にハイエナ女共に触らせないこと!!」
とトラヴィスが息子を第二の自分のように教え始めた。リーヴァイも真剣に聞いている。物凄い真面目だ。まぁあの王と王妃の娘達だ。節操がない。きっと親のしていることを真似たのだろう。なんと節操のない王女達だ!!

するとヴェネッサが

「大丈夫よ、母様達…お兄様はハリエットのことが好きなのだわ」

「「ええ!?」」
ハリエットとはハンフリー夫妻の末の娘…つまり村長一家の娘であった。大人しい子で本ばかり読んで、いつかこの村を出て旅をするんだと夢を見ているような子供だ。

「ひっ!ヴェネッサ!な、何を!!そんなっ!僕は…ハリエットなんかき、嫌いだよ。いつも無視されるし…嫌われてるんだと思うし!」

「違うわよ…お兄様…。それはお兄様のお顔が綺麗だから恥ずかしがり屋のハリエットはすぐ視線を逸らしてしまうのよ!いじらしいの!」
と言う。成る程…確かにそうだわと私も思った。ハリエットは可愛らしい藍色の髪で三つ編みを編んでいる。
トラヴィスもハンフリーの娘と言うことでハリエットは気に入っていたし、もう既にリーヴァイの嫁候補と思っていたからめちゃくちゃ応援した。

「リーヴァイ!!ハリエットだけを愛しなさい!!今後、王女様達が香水をつけて近寄ってきたら直ぐに逃げなさい!ああいうのには媚薬が含まれているからね!!」
と念押しして教えると媚薬と聞いてリーヴァイが震えた。

「ええ…こ、怖い…」
ううむ。あり得るわ。私はとりあえずリーヴァイに香水などの効果を打ち消すペンダントの魔道具をプレゼントした。

「ありがとう!母様!!」

「それじゃ、今日はカフェを手伝ってくれるかしら?2人とも」

「「うん!いいよ!!」」
と可愛い娘と息子は返事した。
そう、私は前世の知識を活かして…

モフモフパラダイス…いや、猫カフェをオープンさせたのだ。特にお得意様は伯爵のジェローム様であり、もう何時間もいる。領主の仕事しろよと言いたくなるほどだ。それは妻にさせ呆れられているらしいが。

ジェローム様と猫友な私はまぁ大目に見てやる。トラヴィスは相変わらず敵視しているけど。
娘と息子が猫耳のアイテムを頭に付けて可愛いお仕着せを着てお客さんを席に案内する小さなウェイトレスも評判で村のお客さんは癒されていた。

ハリエットが来たときはリーヴァイは緊張しながらお茶とケーキを運んだ。ガクガクじゃないの!!

「や、ややややあハリエット…」

「うん。こんにちは。今度のお祭りに王女様達もお忍びで参加するらしいわ。だから準備が大変になるわ。失礼になったら困るし。これ、村の皆で紙のお花を作りましょうって話で一家族分を持ってきたわ。申し訳ないけど週末までに作っておいてください」
とハリエットは紙束を渡して頭を下げて猫を撫でてケーキを食べて帰ろうとする。

うちの息子は奥手でありハリエットが食べたケーキの皿をジッと見つめている。

「お兄様…舐めちゃだめよ?」
とヴェネッサが釘を刺した。

「当たり前だ!!このお皿は僕が洗う!!」
と赤くなる。私は

「それよりハリエット帰ったわよ?追いかけてお祭りに誘わなくていいの?」
とアドバイスしたら…。

「で、でも…もし断られたら…」
むしろうちの息子を断る村娘がどこにいるんだ!?

「王女様達にまたセクハラされる前にさっさと行きなさい」
と私は笑いビクリとしたリーヴァイは走ってハリエットを追いかけて行った。

ああ、幸せな毎日ね。これぞ私の夢見たスローライフ。生きてて良かったわー!
願いは叶うのね。

するとカランと音がしてフードを目深に被り物凄い怪しい年配の男やらが入ってきたから流石に警戒した。ヴェネッサも怯えた。

何こいつ!?
トラヴィスに連絡した方がいいかしら??
と警戒したが…

ん?何か見たことある様な…???

んん?
私は怪しい男共に近寄り

「もしかして……お父様!?」
と聞くとフードを取りイカツイ顔の老けた男…もう何年ぶりかの我が父がそこにいた。後ろの男は従者だろう。何故ここが判った!?まさか!娘や息子を取り上げる気か!?

「旅の途中で偶然寄っただけだ。お茶を頼む奥さん」
とお父様は言った。勘当した娘に会いに来るとは…。まぁ後でクリフォード達は締め上げるが。

「可愛いらしい娘さんですな」

「長男もおりますよ…」
すると喜び帰ってきたリーヴァイは

「母様!!やった!!」
と握り拳を作りほのかに赤くなり喜んでいた。

「息子のリーヴァイと娘のヴェネッサですわ」
お父様は2人を見て

「そうか…可愛いな…」
と目頭を押さえて泣いた。そして

「私は昔自分の娘をあまり構わずに罪を犯したと勘違いして勘当してしまったんだ…。幸せに暮らしているといいが…」

「きっと幸せですよ…」
と私は言い、お父様はまた来てもいいかと言い

「どうぞいつでも…」
と私は言った。父が帰るとトラヴィスが帰宅し、それを伝えると

「そんな…リーヴァイ達大丈夫かな?王家に取られないかな?」

「まぁ大丈夫じゃない?いざとなったらシャーロットが記憶消す魔法を使ってくれるかも」
白魔法を極めているシャーロットならではの魔法だった。

「お父様も嬉しそうだったしもういいわ…」

「勘当されたのに…」
とトラヴィスは文句を言うが

「もういいじゃない?そ、それよりトラヴィス…今日も息子達を寝かせたら猫になってくれる?うふふ」
と微笑むとトラヴィスは赤くなり

「ああ…存分にモフれ!」
と言った。
よっしゃーーー!モフモフタイムだーーー!
と私はニヤニヤしたのだった。

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