赤髪ハイスペック王子は神獣娘にツンデレです

黒月白華

第28話 シーラの15歳誕生日

「はあああ」
私のため息を隣で聞いていたサブリナちゃんが

「どうしたの?シーラちゃん?」

「だって、せっかく今私、14でヴィルと年齢近くなったのにまた私の誕生日来て15になってまた離れちゃう!誕生日嫌い!」

(えっ…そんなことで悩んでいたなんてシーラちゃんほんと可愛いっ)
とサブリナちゃんは心の中で言った。

「誕生日は毎年来るし、そこは仕方ないよ…それよりヴィルくんに告白されたんでしょ?良かったね!」

「う…うん…」
と私は赤くなる。
ヴィルが私に好きだってちゃんと言ってくれたしキスもしてくれたし!ヴィルから!!
嬉しすぎる。

「ねぇ、サブリナちゃん…シーラが神獣じゃなくて普通の人間だったら友達になってくれた?」
するとサブリナちゃんは驚いて

「何言ってるの?当たり前だよ!神獣とか今でも関係ないよ?最初はちょっと身構えちゃったりしたけど今はね…全然」

(シーラちゃんはとっても可愛い私の友達だよっ)
と温かい心の声が聞こえてほっとする。

「あのね、だから言うね?シーラ…とヴィルも人の心の声が読めるんだ…一部の人しか知らないことだけど…サブリナちゃんには言うね。シーラの友達だからね?読まれたくない時は心を強く制御してね」

「えっえっ!?ほんとに?凄っ!ていうか恥ずかしいわ、私の声聞こえてたんだ!変なこと言ったかなあ?」

「ううん、言ってないよ?サブリナちゃんいつも通り!」

「そっか!良かった!…でもヴィルくんも聞こえるのか」

「私にはヴィルの心は読めないの。ヴィル小さい頃から完璧に制御してるから何にも解んない。だから告白された時も嬉しくてっ!普通の女の子みたいになれてたかな?」
するとサブリナちゃんは笑って

「普通の女の子って何?シーラちゃんは神獣だろうけど恋をするのはどんな人でも一緒だと思うよ?」

「そっそうだよね…ありがとうサブリナちゃん…」

「ヴィルくんと喧嘩みたいなのしてたのって女神様のせいだったんだね?ほんとにいるんだあ、女神様って。私が生まれる前に女神様がこの世界に降臨された記録残ってるけど…、ほら、陛下と王妃様の結婚式の日」

「そうみたいだね。シーラも見たことはないけど、ヴィルは夢で今もちょくちょく女神界に行ってるんだって。とても優しくて綺麗なお姉様みたいよ」

「じゃあ、シーラちゃんヤキモチ妬いちゃうかな?」

「流石に女神様にヤキモチ妬けないよぉ。女神様ってシーラ達の親同然ってお母様言ってたし。敬意を持たなければならないって小さい頃から言われてるの…それにヴィルも恐れ多いって言ってた。あ、陛下は何故か別で女神様と友達か親戚みたいな態度らしいよ」

「へー!陛下って大らかだよね、確かに。エルネスタ公国でお会いした時もすっごいイケメンおじ様なのに陽気だし優しいし面白いよね!シーラちゃんの将来のお義父様になるもんね?」
と言われて

「あっ、そうだ。陛下ってお義父様になるんだ!忘れてたあ!小さい頃から会ってるから当たり前の感覚だった」

(ふふふ、シーラちゃんて何処かうっかりさんで可愛いね)
と心の声で言われる。

「えへへへ…」

「でも…ヴィルくん誕生日に何くれるのかな?楽しみでしょ?」

「う…うん!シーラはヴィルのくれるものなら何だっていいよ?昆虫とかでも!」

(それ…貰ったことあるの??)

「ははは…」
とサブリナちゃんは苦笑いした。



シーラの誕生日が近付いてるな。また誕生日プレゼント選びか。婚約者になってからアクセサリーとかあげなきゃなんないもんな。一応婚約者って言う立場だしな。
……いや恋人でもあるのか俺たちって。そりゃ気持ちも告白したしな…。どうしても照れから俺の態度は素直じゃないが。

何をあげたらいいんだか…。
ザシャに相談すると

「甘いものですね。女の子は甘いものに弱いので」
と言う。

「それ、お前がミリヤムにやりたいだけだよな」

「はあ、そうですけど?」
とキョトンとする。そうじゃねぇよっ!!
ユストゥスにも聞いてみた。

「僕ですか?僕はお花を贈ります…適当に」

(花ってすぐ枯れるし長持ちしないだろうし)
との心の声に違和感。ユストゥスは誰かにあげてるのか?

「適当ってお前…」
するとザシャは

「ああ、王子…ユストゥスくんは実は婚約者がいらっしゃるようですよ。先日のことらしいですが親から決められたらしいです」
するとユストゥスは

「僕は次男坊で婿に行くしお相手の方は僕よりうんと年上で爵位も上の方でして…お断りすることもできないんですぅ…ほら男爵家ですからうち」
(いいんだ、僕はその年上の婚約者のペットみたいなもので…例えおばさんであろうとも…おばさんというか20歳だけど)
とユストゥスは暗い顔になりヘコヘコしている。こいつにも悩みがあったのか!結構むっつりタイプと思っていたが。いやむっつりだろうけどな。俺とシーラの2歳差なんてユストゥスと比べたら鼻で笑うレベルなのかもしれない。

「ふーん、会ったことあるのか?ユストゥス」

「いえ、無いですけど…別に美人とかは聞きませんね。伯爵家のご令嬢みたいです。噂でお転婆で猿みたいな方とは聞きました」
と絶望していた。ザシャもユストゥスの肩を叩き、

「まだ諦めちゃダメですよ。ユストゥスくん!顔も見ていないうちから…猿だろうがゴリラだろうが…大体甘い物をあげていれば女の子は喜びます」
いやだからそれお前のミリヤム基準じゃん!!

「王子は手先も器用だしまた何か手作りすればいいしゃないですか。ロザリオの時みたいに」

「う…おう…」
それも考えてはいたけど何にするかなぁ…。シーラに貰ったブレスレットがキラリと光る。これのおかげで最近女は近寄ってこれないし。

シーラは何やっても喜ぶんだよな。子供の頃なんて悪戯で昆虫やっても喜んでたし!!
レオンにも聞いてみるか。と同室の女ったらしに話かけてみると

「もちろん俺をあげるに決まってるだろ?」

「聞いた俺がバカだったわ…」

「冗談だって!それはプレゼントあげた後にじっくりと味わうから」

「お前も何か女に身体以外であげるのか?花か?」

「花なんてすぐに枯れるだろ?それに花にもし虫がついてたら嫌がらせになるからね…」
うわぁユストゥスの案全否定だ。

「じゃあ、何あげるんだよ?」
(仕方ない王子様だな、そんなに知りたいか…)
と心の中でも勿体ぶるから無性に殴りたい。

「下着に決まってるだろう!!」

「ご愁傷様だ…お前には二度と相談しない」
と俺は部屋を出た。
休日に寮に外出許可を出してザシャと一緒に王都へ出かけた。

「今回はお店で何か買うのですか?」

「まぁたまにはなぁ、あいつ…俺と同じ人間の普通の女の子になりたいとか言ってたから女子が喜ぶものにするよ」

それにザシャは

「王子…では…女の子がたくさんいるお店に入店しなくてはいけませんね!」

「あっ!!」
そ、そういやそうだわ…くっ!!めちゃくちゃ恥ずかしいな!!しかも俺は奇跡の王子として有名だ。ちょっと変装するかとザシャと一緒にメガネと帽子にマスクをかける。
めちゃくちゃ不審者になりつつも雑貨店に入ってみた。
女子が好みそうなものが沢山置いてあり、レースの可愛いハンカチにリボン。ブローチやアクセサリー類に紅茶カップに母上のクラウディア人形のいろいろなバージョンが売ってある。思わず母上の可愛いメイド人形買いそうになりザシャに止められた。

いろいろ見て周ると蒼い俺の瞳の色に似た飾り石の付いたチョーカーを発見した。デザインも蒼い石を囲んだハート型の金属枠が有り女の子らしくて可愛い。
ザシャが

「いいんじゃないですか?それ」
と言う。俺はちょっとだけ赤くなり

「まぁそうだな…これにする…」
とレジに持っていきジロジロ店員に不審がられた。くっ!!

ようやく店を出てザシャとカフェに入りブラックコーヒーを飲んだ。

「王子大人だ。ブラックコーヒー!!」

「ああ…慣れたら上手いし落ち着くんだよ…」
(あれって…ヴィルフリート王子様?やだ!生!)
(す、素敵っ!こんな近くで見れた!)
(やだ待ち受け待ち受け!)
と撮られそうになるが俺のブレスレットが発動しスマホを故障させてしまう。
はぁ、長居はできないな…。

俺は帰って買ったやつにも男避けの力を注いでおいた。ロザリオの飾りは切れたら落ちてしまうけどチョーカーならそうそう落ちないしな。
そしてシーラの誕生日に俺は呼び出してプレゼントを渡すとシーラは中を見て喜んだ!

「かっ!可愛い!凄いね!これシーラが着けていいの?似合う?シーラ可愛くないしなぁ、チョーカーに負けちゃうよ…」
と言う。何言ってんだこいつ負けるわけないだろ!

「俺が選んだんだから似合わないわけないだろ?あ、後シーラはか、可愛いから大丈夫だよ」
と言いスッゲー恥ずかしくなった。

「ヴィル!ありがとう!!大切にするね…」
ともじもじしてチョーカーを付けるとやっぱり似合っていて可愛い。しまった、他の男にも見られてしまうな…。

「15歳おめでとうシーラ!」
と言うと少し悲しげな顔をする。

「?どうした?」

「だって…シーラまた歳離れちゃった」

「は?そんなことかよ…あのなユストゥスなんか気の毒だぞ?」

「?ユストゥスくんが何?」
とシーラにユストゥスの婚約者のことを話してやると驚いていた。

「親が決めたんだね、ユストゥスくんもこの学院で好きな子できたらいいのにね…」

「婚活学院みたいなもんだしなここ…」

「シーラは早くヴィルと一緒になりたいけど…ヴィルが手を出してくれるまで待つからね」
とにっこり微笑む。くっ!!可愛いなこいつ!!だけどまぁ学院だし…俺も我慢しないとな…。
とシーラの頭を無言で撫でるだけにしといた。
次の休日には一緒にユリウス叔父上とローゼおば様の赤ちゃん見に行く約束もした。

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