赤髪ハイスペック王子は神獣娘にツンデレです

黒月白華

第15話 連休計画

俺は休みの日に頼んどいた荷物を受け取り自分の工房に篭りガチャガチャと組み立てさらっと天体望遠鏡を完成させた。ザスキア様と父上から大体学んで想像して頭の中で設計図作ってたら意外と簡単にできるなと思った。

つか、老眼鏡あれば出来るしな。
部員達にも手作りで簡単な望遠鏡製作はできそうだな。

「しかし…王都の光りが夜でも明るいから星が見えにくいなあ…月はなんとか見えそうだけど…」
と月を覗いて見ると何とか見えた。

「ヴィル?何してるの?」
と後ろから急に声かけられてびびった!

「うわあっ!!しし、シーラか!!びっくりした!!」
こいつは最近音もなく近寄るし心の声を制御しだしたからビビる。

「何それ?」
と不思議そうなシーラに

「天体望遠鏡」
と言うと

「ええっ!?ヴィル!!もっもう作っちゃったの!?昨日天文部作ったばかりだよ!?」
すると今度はフォルカーとライマーもやってきて

「何その筒みたいなの?武器?」
と聞いた。

「違う、天体望遠鏡だ!月見えるぞ」
と俺が覗いて見せると

「月なんか目で見えるのになぁ…」
とライマーが言うから

「じゃあ、お前ら順番に覗いてみな」
と覗かせる。すると最初に覗いたライマーは

「えっ!!?なっ!何これ!!月の模様すげえハッキリ見える!!何で!!?」
と混乱した。

「どけ、ライマー!次俺!」
とフォルカーが覗くと同じような反応をした。

「なっ…何だこれ?本当にあの月なのか?」
とわざわざ筒に絵が貼ってあるんじゃないかと周りこんだが何も無いのを見て驚いた。

「シーラも見てみな?」
と言うと

「ううん、ど、どこ?」

「ああ…少し動いたかな?」
と俺は月の位置を調整して

「できた、覗いてみな」
とシーラは今度こそ月を見た。

「なっ!これ?月?あの?浮かんでるやつ!?凄い!!模様くっきりだね!わああ!」
と興奮した。

「相変わらず凄いの作るなヴィル兄」

「サブリナちゃん達もこれ見たらびっくりするよ!?」
とシーラが言う。

「月以外も見えたりすんの?」

「うーん、そりゃ難しいな…それには他の惑星を発見して俺たちの星の太陽系を把握しなければならないからな…まぁこの望遠鏡じゃ無理だからもっとでっけー観測地域の確保と施設を作ってでっかい望遠鏡が必要だな」

「……………」

「おい、ライマー…ヴィル兄の言ってる事が解んない」

「フォルカー兄さん安心して俺もシーラ姉様もたぶん解んない」
とライマー達はキョトンとした。
まぁそうだろうな…。

「観測地域って言ってたけどここじゃダメなの?ヴィル」
とシーラが言う。

「ああ、明るすぎる。ほら王都の灯りは夜でも結構朝まで灯ってて星が見えにくいだろ?もっと田舎の領地とかに行った方がいいかもしれない」

「じゃ、旅行だね!!」
とシーラは喜んだ。

「俺たちの背中に乗ったらすぐだよ?ヴィル兄」
とフォルカーが言うが

「い、いや遠慮するわ…」

「あっ、ヴィル兄まさか高いとこ怖いの?」

「違うわ!お前ら飛び方乱暴だから酔うんだよっ!!」
と言った。前に乗せてもらったこたあるけどこいつらははしゃいで空中大回転とか恐ろしいことして俺は滑って地上に落下しかける寸前にキャッチされ、それはそれは遊ばれたのだ!俺は二度とこいつらの背中には乗らない!と学習している。

俺は奇跡の王子だから大怪我しても治せるが流石に自分が死んだら終わりだ。いや、父上がいるからもしかしたら何とかギリギリ大丈夫かもしれないが危険なことは避けなければな!

週明けの部活でその事を言うとミリヤムが

「ならうちの国にそのナンタイ観測とか作ればいい。うちの国は小国だし、田舎だから夜は皆眠って暗くなるから星もよく輝くよ」
と言った。

「ナンタイじゃなくて天体だけどな。そうだな…とりあえず下見とかは必要だな…今度の連休とか皆でエルネスタ公国に行こうぜ。合宿だ」
と言うとシーラは目を輝かせて

「合宿!!ヴィルと一緒!!嬉しい!!可愛い下着持っていかなきゃ!!」
と言うのでビシっとチョップした。

「浮かれんな!あほめ!別にそんなやらしいことしに行かんわ!!」
と釘を刺しておく。

「庶民の私が参加してもいいのでしょうか…」
とサブリナがおずおず言うとユストゥスも

「ぼ、僕も庶民のようなものですので…」
とヘコヘコ言った。

「同じ部員だし学院では貴族とか気にすんなって!な!ザシャ!」

「そうですね!私の王子呼びは愛称みたいなもんでしてねー。あ、普通にヴィルと呼んだ方がいいのなら…」

「いやなんか気持ち悪いからお前はそれでいいわ…」
と言っておく。

「なら私はヴィルくんと…」
とサブリナが言い、ユストゥスはヴィルさんにシーラとミリヤムはいつもみたいにヴィルと呼び捨てにしている。

「そう言えば、ナタリーちゃんは元気?ミリヤム」
とシーラが言う。そう、ミリヤムには妹がいた。しかも美少女という噂だ。俺もシーラも小さな頃にしか会っていない。確かに可愛い顔してたのぼんやり覚えてる。ナタリーはエルネスタ公国からあまり出たがらなく、そっちで家庭教師をつけて学んでいるらしかった。

姉のミリヤムは小さい頃から母親や父親のアスカ様やカミル公爵様と一緒にブッシュバウムに転移魔法でよく連れてきたがナタリーは人見知りが激しくまた外で遊ぶのもあまり好きな方ではなくて普通のお嬢様らしくしていた。社交界にもあまり顔は出さない。物静かな美少女という噂だけが広まっていた。

「ナタリー…前に陛下が描いた漫画を見せたらハマって自分も描き始めて部屋からあんまし出ないよ。見せてって言っても恥ずかしいからって隠すから私もナタリーの漫画見た事ない」
と言った。へえ、ナタリーは漫画にハマったのかあ。どんなのか見てみたいな。

ナタリーは11歳で破壊魔フェイトと同い年か。性格正反対そうだな。あいつ連れてったら面白いかもな。

「ヴィルも前に描いてうちの学院に寄付してそれで漫画部もできてるよね!ヴィル何でもできるし!」
まぁ、俺天才だから漫画くらい描ける。
俺の漫画と交換に見せてもらうか。
そこでサブリナは

「その前にで…ヴィルくん…新入生歓迎会の学院パーティーがありますよ」
と言った。

「パーティー…めんどくせえ…」

「一年は全員出席ですよヴィルさん」
とユストゥスがヘコヘコ言う。

「王子…女生徒から魅了薬盛られないよう飲み物には注意した方がいいですよ?昔陛下も痺れ薬とか変身能力のある人に盛られたらしいですよ?」
とザシャが警告した。

「あー…めんどくせえええ」

「シーラがずっとヴィルのこと守るから大丈夫だよっ!!」
とシーラは任せろと胸を叩いた。こいつが任せろと言っても不安しかない。

「歓迎会!楽しみ!!たくさん食べれる!!」
とミリヤムはもう料理のことしか考えてないしな。
歓迎会が近づく度に女生徒の心の声が聞こえている俺は間違いなく狙われる。シーラにはロザリオがあるから心配は無用だが…一応注意しておかんとな…。

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