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2番目の村娘は竜の生贄(嫁)にされる

黒月白華

第3話 思ってたのと違う

「じゃあそういうことでここにお前の名前と娘の名を書け!ほら早く!今日の満月までに結婚は終わらせんとな」
と紙を渡された。
クレイグさんはチラリと私を見て

「ええと…すみません…なんだかすみません…。とりあえず結婚してもらえます?王子には逆らえません」
と無理矢理の押し付けプロポーズらしきものをされたが展開が急過ぎて付いていけない。
は?
何で私がこの冴えない方のクレイグさんの嫁!?
いや、イケメン王子様と結婚して甘い生活スタートだよね??え??

「そうだ、貴様…娘よ…明日からお前はフィリスの侍女として働くように。働かずもの食うべからずだ!いいな!」
と一瞥し王子はカツカツと去った。

「あのー…とりあえずサインして貰えますか?満月の日にしないとこの国呪われるので」

「はっ!?呪い!?」

「はい。50年に一度人間の嫁を娶らないと竜族は虫歯になると言う呪いが…」

「虫歯……」
何そのしょぼい呪い!!どうでも良くない!?

「今どうでもいいとか思いましたね?言っときますが、竜族の中に歯医者はいません!虫歯になると治療法はなく…虫歯で死ぬこともあるんです…。虫歯を放置すると他の歯に移り、一本…また一本と抜くことになり、ついには歯は無くなり何も食べれなくなり死にます。絶滅します」
と虫歯の恐ろしさを伝えるクレイグ。
私は…

「虫歯になるのが嫌で私は嫁にされるの?」
クレイグは苦い顔で

「はい!そうです!人間には判らないと思いますが!」

「人間の…歯医者を拐ってきたら…」

「いや、それねダメなんですよね。何せ我等の棲家を人間にはあまり知らせたくないので。後、呪いなので基本的に普通の虫歯じゃないんですよ。治らない虫歯ですから歯医者連れてきても無意味なので」

「呪いかけた奴は誰なの?」

「言い伝えでは地の底に棲む悪魔の悪戯と聞いており我等はそこに踏み入る事が出来ないんです」

「何で人間の嫁を取らないと呪いを防げないの?他に方法ないの?接点が全く判らないわ」
クレイグは申し訳なさそうに

「ううん…あの…それね…昔神様に助けてください、このままでは竜族が絶滅してしまいますと泣きついたことがあるんです。そうしたら…神様に『人間の村娘を50年に一度満月の日に嫁に娶れば虫歯にらないようにしてやろう』との一説が伝わっていて破ったらほんとに虫歯が発生して満月の日に急いで加護をする変わりに寄越して貰ったら…虫歯の呪いが解けていきました」
何じゃそりゃ!!?

クレイグはペンを持たせてくる。

「じゃあ、1番美しい村娘と言うのは?」

「まぁあんまり関係無いんですがやはりブスよりは…ねぇ?美しい方がいいんじゃ無いかってことでそういうことになりました」
と言われた。
はあああああああああ!?
私じゃなくてもそれ良かったんじゃねーー!!?

「すいません、サインだけお願いします!サインだけ!!子作りとかそういうの私望んでませんし!形だけでいいんですよ!!」

「形だけなら王子様のお嫁さんでもいいじゃない!何で貴方と!?」

「…………それは…王子が!フィリス様が正妻でないと絶対に嫌だからですよ。あの2人は相思相愛の仲でして。まぁ元々誰が来ても王子はきっと断ってフィリス様と結婚なさったでしょう…」

「私の浮かれを返して」
イケメン王子様と結婚できるとあんなに浮かれてたバカな私が脳裏を過った。

「も、申し訳ないです…」
と頭を下げるクレイグ。

「貴方の立場って何なの?お金持ちなの?」

「えっ…まぁ…侯爵家の次男なんで家は継げないから王子の従者として城に滞在してるので…他に家ないんですけどね…でも結婚しろとの命令なので王子から家は貰えそうですよ…。まぁ、ジュリエットさんも城で働くことになるので貰ったところで殆ど家には帰らないことになるでしょうけどね…」
なんじゃそらーー!!

「他の金持ちの長男と結婚できないの?」

「…いやリオン様がおっしゃったでしょう?私と結婚しろとのご命令ですので…」

「いやそんなの!!他の人に変えてくれって進言しないの?」

「いや、王族が一度言ったことは冗談でも通さないと私殺されるので」
と泣きそうに言う。

「うう、お願いします!!お願いします!ジュリエットさんんん」
と懇願され私は白目でサインした。
もう…私の貴族生活終わったわ…。爵位もないただの従者の嫁である。家も無いし。つか、明日から王子様の嫁の侍女することになったし。

「それで、私今日どこで寝るわけ?」

「結婚したので私の部屋でしょうね…狭いですけど…すみません。明日には用意できると思いますので今日のところは我慢してください」
と夫になったばかりのクレイグが言う。

「一応初夜だけど何もしないの?」

「ああ、まぁこういう事情ですしね。流石にないでしょう?子作りとか。それに私今、仕事一筋ですし恋愛とか結婚とか興味なかったんで。命令じゃなきゃしていなかったというか…」

「あっそう…ならいいわ。私も別に貴方と結婚したいわけじゃなかったし?」
と言うとクレイグは

「大変申し訳ないです」
と謝った。それからクレイグの狭い部屋に通された。

「僕はソファーで眠りますね。はあ、疲れた。お休みなさいジュリエットさん」
とゴロリと横になり秒で寝た。
思えばこの人私や荷物を背に乗せて飛んで来たのよね。そりゃ疲れるだろうね…。

はぁ…にしても…。思ってたのと違う。
本当なら今頃あの王子様と初夜を過ごしていたのかと思ったが、狭い部屋のベッドで私はドレスをポイと脱ぎ捨て下着姿になり潜り込んだ。
泣けてきた。

やはり2番目の私は幸福になれないのだと思い知ったのだ。

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