悪役令嬢は執事と婚約破棄の朝に巻き戻ります

黒月白華

第20話 16歳の執事に恋する

「んん?」
朝だ。
ちゃんと戻れてるかな?
するとベッドでモゾリと誰かいた。

えっ!?

15歳から少し背が伸びた茶色の見慣れた髪…。可愛らしい16歳のヨニーが学園の私のベッドにいた!!

き、きゃーーーっ!!!!
一気にドキドキした!!昨日の続きじゃないわよね?これはどう見ても恋人関係が続いている!!成功!?成功なのっ!?
やった!

するとヨニーは

「うーん…」
と目を開ける。綺麗な緑の目が私を写していて…

「おはよう…アンネット…ちゅっ」
と自然にキスされた。
きゃーっ!!きゃーっ!ヨニーったら!!朝から!!

と照れているとヨニーが

「どうしたの?アンネット?…ああ…足りない?」
と顔中にキスの雨をくれたので
ひゃーっ!となる。
幸せだわ!!

とそこで

「今日…いつ?」
と聞くとヨニーは

「あっ!何時だろう!大変だ!寮長に見つかったらしばかれる!!アンネット!僕の服!早く!!」
と慌て出して床に落ちていたものを見つけるとヨニーは急いで着はじめた。

「アンネットも早く制服着て!?」
えっ!?
とポカンとしているのでヨニーが溜まらず私に服を着せ始めた。いろんなとこにヨニーの大きくなった手が当たるけどヨニーはすっかり慣れた手付きだった。ていうかめっちゃ下着まで丁寧に着せてくるから恥ずかしくて変な声出た。

「ちょっと…可愛い声出しちゃダメ。ちゅっ」
とヨニーがふいに自然にキスしてきてさっと立ち上がりなんと自分の靴を持ち窓を開けてキョロキョロしている。
まさか飛び降りる気!?

「ちょっと!ヨニー!今日っていつ!?」
思い出したように言うとヨニーは振り返り不思議な顔をして

「今日は…期末テストの返却日だよ」
と言い、ひらりとなんかカッコよく外へと飛び出して行く!!

ええーー!、何あれカッコいい!!ほんとにヨニーなの!?
ていうかヨニー一年で何があったのか!!
というか今までで一番幸せな朝じゃないの?
私は浮かれたが…

いや、待ってくれ…。
テストの返却日?という事はやはりズレたか!
でも日にちは分かったからもう一度少しだけメモリを進めて正確に夜会の日に戻れる!!
まぁ…夜まで待たないとだけどね。

とりあえず…学園生活を謳歌しようかな。普通に。あ、王子はどうなった?まぁあんな奴どうでも良いけどね。

とりあえずお友達と教室に向かう。
すると…ヨニーが見えた。

ん?

待て?何か女の子に連れて行かれようとしてる?

私は友達に先に行っててと告げると後をつけた。
すると、なんと!ヨニーにラブレターを渡しているではないか!!
なにいいいい!!?

ヨニーはもちろん断っていた。

「ごめんなさい。僕好きな人がいるので」
と言い断るが女の子はしつこく

「それって誰なんですか!?教えてくれるまで離さない!!」
と言う。ん?よく見るとこの子…最初の頃ヨニーが操って私に手紙を渡させた子だ!!
ええーーー!?ヨニーのことが好きだったの!?

「フェルセン先輩!!好きですううう!!」
と唇を突き出しヨニーに迫っている!ヨニーは迷惑そうにその子の頭に手を置いて魔術を唱えた。

するとその子はくるりと向きを変え教室の方にフラフラと歩いていく。

「ヨニー…」
急に私が現れてびっくりしたヨニーが

「わっ!アンネット!見ていたの?」

「見てたわ。随分とモテるのね?」

「まさか!あの子が変なだけです!!僕がアンネットだけなの知ってるでしょ?」
とヨニーが私を躊躇なく抱きしめてくる。
ひー!
ヨニー!誰かに見られるわ!でもこれは幸せ!!

「ああ…ごめんなさい……また夜に伺ってもいいですか?アンネット…でも流石に行きすぎでしょうか?この所試験が終わってから毎日だし」
と言う!ま、毎日!!毎日!!?
くそっ!私の知らない私と毎日!!私め!!
…いや私だけどさ。

「うん!わかった!来てね!今日も…待ってるわ…ヨニー大好きっ!」
と言うとヨニーが驚いた!!

「?」

「熱でもあるんですか?」

「え?」

「だって…いつもなら…アンネット外では最初のデート以来絶対に好きって言ってくれなくて…ベッドの中でしか言ってくれないし」
と言うからええ?何それ?私…

「もしかして僕のことに飽き始めたのかもと最近思ってて毎日通ってたのに…」
と言うから

「そんなわけないでしょ!!バカね!ヨニー…外で言うと誰かに見られそうだし…ね?本当は好きよ?当たり前じゃない?」

「そうですか…良かった…僕の取り越し苦労だったんですね?……でもアンネット…浮気とかしてないですよね?」
と言う。
はぁ?私が浮気なんてするわけないのに!!

「最近…アルフ様と一緒のところを見たと噂があり…」
またあいつかーーー!!
前に結婚させられそうになったことを思い出した。そう言えば弱みを握られてるってヨニーはその時言ってたような!確か私達の関係がバレて?

待ってよ!そしたらこのままだとアルフと結婚することになっちゃう!!!
だらだらと変な汗が出る。

「大丈夫ですか?アンネット…気分悪いなら保健室にいきましょう?」
と付き添われて保健室に行く私達。



「あっ、ヨニー…キスだけって言ったのに…」

保健室に来て暫く休んだ後ヨニーが熱が下がったか確認しようとして身体を触るから変な声が出て溜まらなくなったヨニーにキスされたのだ。

「アンネット…」
と優しく触るヨニー。先生が来たらどうしよう!
と思ってるとガラリと扉が開いて、なんと!アルフにバッチリ見られた!!
素早く離れたけど

「アンネット様!やっぱり!王子を裏切って執事とこんな事を!!ふはは!怪しいと思ったんですよね!何度訪ねてもアンネット様シラを切るし!しかし今ので証拠の映像を録りましたよ!!」
と映像記録魔道具を出してきてアルフは勝ち誇った。

「け、消してよ!」
と訴えるとアルフは

「嫌ですよ。……これをバラされたくないのなら卒業後は私と婚姻してくれませんかねぇ?アンネット様!」

「なっ!!?」
とヨニーが怒る。

「おっと!もちろん在学中は好きなだけ彼に甘えるといいよアンネット様?王子のことは私が何とか誤魔化しておきましょうね!!ふふふ」
と笑う。なんてことなの!!
このままじゃ、カルロッタ様と王子をくっ付けてもこいつがいるじゃないの!!

私の幸せはいつになったら訪れるのよ!!
そして私は一人で抱えて巻き戻り続けるのに限界を感じていた!

アルフが笑いながら出ていくと…私はヨニーに肩を抱かれた。泣きながら私はヨニーに今までのこと全部話してしまったのだ。

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