悪役令嬢は執事と婚約破棄の朝に巻き戻ります
第2話 秘密の天球儀
馬車の中で不安になる。もう夕方で有り、夜が明けたらまた皆…私以外の者は巻き戻る。
「大丈夫ですよ!裏で有名な魔女アルファ様にお嬢様を診てもらいましょう!きっと何とかなります!」
ヨニーは励ましてくれたが…。本当になんとかなる確証はない。もう50回も戻っているのだから。
しばらくして馬車は止まり、その先に小さな白い屋根の家があった。
私はヨニーの補助で馬車を降りてその家に向かった。
トントンと戸をノックするとしばらくして
「はぁーい?…どなた??」
と異臭と共に細身のメガネをかけた肩までの白髪で赤い目をした若い女が現れた。
「あの…貴方が魔女アルファ様?」
「いんや?弟子のアデリナだよ。ちょうど夕飯を作っていた。鍋焦がしたけど」
と真っ黒な異臭の元を差し出した。
「アデリナーーー!!!」
と奥から怒り声と共にやってくる白髪で褐色の肌をし、赤い目の綺麗な人が現れた。
「ぎゃ!師匠だ!」
とアデリナさんはその人に散々怒られた後、ようやく魔女アルファ様はこちらに向き直る。
「おんや、お嬢様…凄い呪いがかかってるね…ふむふむ…」
と眺め出した。
「やはり!呪いですか!あの!お嬢様は巻き戻りの呪いにかかってるようなんですが解けますか?」
とヨニーが聞くと
「急かすんじゃないよ。…この呪いは…ちょうど50日前にかけられているね」
「そうです!私、今日で50回巻き戻っているもの!何かの手掛かりかとちゃんと記憶しております!最初は手帳に付けていましたが、次の日には手帳も真っ白になっているのであまり意味はありませんからなんとか頭で記憶しています」
「流石お嬢様!学年首席ですもんね!」
とヨニーが褒めた。勉強頑張ってて良かった。
「お前に呪いをかけた者は判らんがこの呪いは強力で永遠に巻き戻り続けるようにできておる…つまり死ぬことも出来ない」
「そ、そんな!」
やはりとは思ったがハッキリと言われて私は青ざめた。
「お嬢様…しっかり!何か方法はないのですか!?」
と聞くとアルファ様は腕を組み難しい顔をした。
「時の呪いは厄介でね…針と針が噛み合わないと進まないのさ…。そこでこれをやろう」
と銀のネックレスに丸いものとその周りにごちゃごちゃした輪っかがついていた。
「これは…?」
「天球儀だよ…それを身に付けていたら正しい時が流れるが、お嬢さんには付けれない。呪いがかかってるからね…そっちの男が着けりゃいい。そしたら今日のことも覚えていられる」
「本当ですか!?」
「ああ…だがこれはお前さんが一度付けたら外れないよ。お嬢様の呪いが解けない限り、お前も一緒に巻き戻ることになる!
毎日夜空にこの天球儀をかざして星の光を集め今日を記憶させるんだよ。そしたら朝には今日に戻ってるはずさ」
「本当ですか?僕も今日を巻き戻ることが出来るんですね?」
「そうなるね。呪いをかけた者が判ったらまたうちに来な。あたしは巻き戻らなくてもそのアクセサリーを見せたら大体察しがつくだろう。それの意味を知っているしね。客だと直ぐわかる。
それよりそれ…大負けに負けて大金貨10枚にしとくよ」
「たっか!!!」
とヨニーは言ったが残りのお金は呪いが解けた時にきちんと支払うことにした。
「しかし…これ王子につけたら証明になるのでは?」
とヨニーが聞いてみたら
「バカ言うんじゃないよ!それのことを他の奴等に言ったらお前の命はないと思いな?こんなもの持っていると王家の者に知れたら悪用されるに決まってるじゃないか!純粋そうなお前さんだから売ってやったんだ!感謝しな」
とアルファ様が怖い顔で言う。
確かにこんなアクセサリーが有ったら…何度も過去をやり直せる。そうしたら歴史が変わってしまう…。
戦争などに使われたり悪用する者は出てくるだろう。
「ひ、秘密にします!!服の下に普段は入れて隠しておかないと!!」
私とヨニーはお礼を言い魔女の家を後にした。
そしてこれからどうするか話し合う。
「お嬢様…これから邸に戻っても旦那様に打たれて直ぐに荷物を纏めて国外追放されるんですよね」
「ええ…纏めるだけ無駄なのよね。朝が来たら自分の部屋に戻っちゃうから何回目からは空のトランクしか持たないで出たわ」
「……でも毎回旦那様のビンタを食らって?」
と心配するヨニーだが…
「まぁ、最初は何回か避けていたけどそのうち面倒になってこれも慣れたからね…」
と言うとヨニーは
「そんなこと慣れてはいけませんよ!!お嬢様何度も打たれて痛かったでしょう?き、今日は帰らなくてもいいでしょう!!僕のお小遣いで宿に泊まってください!」
「そんな、勿体ないわよ!大体朝になると戻るし!」
「巻き戻るならお金だって戻ってるんだからどうせ1円も払ってませんよ。僕も!」
そう言われると確かにそうだった。巻き戻り仲間が出来るとこんなに頼もしくなるのね。
私は内心ホッとした。
これからヨニーも犯人探しをしてくれるし、何より相談できるし!
「判ったわ…ヨニー。ありがとう。今日はぐっすり眠れそうよ…」
「お役に立てて光栄です!お嬢様!!」
とヨニーはニコっと笑って宿を探した。
身分を隠す為ドレスは脱いで売って冒険者風の格好に2人とも着替えていた。卒業式のドレスもどうせ明日には自分の部屋に戻っている。
「絶対に呪いをかけた奴を見つけ出して巻き戻りをやめてやるわ!」
私は久しぶりにやる気を出した。
「大丈夫ですよ!裏で有名な魔女アルファ様にお嬢様を診てもらいましょう!きっと何とかなります!」
ヨニーは励ましてくれたが…。本当になんとかなる確証はない。もう50回も戻っているのだから。
しばらくして馬車は止まり、その先に小さな白い屋根の家があった。
私はヨニーの補助で馬車を降りてその家に向かった。
トントンと戸をノックするとしばらくして
「はぁーい?…どなた??」
と異臭と共に細身のメガネをかけた肩までの白髪で赤い目をした若い女が現れた。
「あの…貴方が魔女アルファ様?」
「いんや?弟子のアデリナだよ。ちょうど夕飯を作っていた。鍋焦がしたけど」
と真っ黒な異臭の元を差し出した。
「アデリナーーー!!!」
と奥から怒り声と共にやってくる白髪で褐色の肌をし、赤い目の綺麗な人が現れた。
「ぎゃ!師匠だ!」
とアデリナさんはその人に散々怒られた後、ようやく魔女アルファ様はこちらに向き直る。
「おんや、お嬢様…凄い呪いがかかってるね…ふむふむ…」
と眺め出した。
「やはり!呪いですか!あの!お嬢様は巻き戻りの呪いにかかってるようなんですが解けますか?」
とヨニーが聞くと
「急かすんじゃないよ。…この呪いは…ちょうど50日前にかけられているね」
「そうです!私、今日で50回巻き戻っているもの!何かの手掛かりかとちゃんと記憶しております!最初は手帳に付けていましたが、次の日には手帳も真っ白になっているのであまり意味はありませんからなんとか頭で記憶しています」
「流石お嬢様!学年首席ですもんね!」
とヨニーが褒めた。勉強頑張ってて良かった。
「お前に呪いをかけた者は判らんがこの呪いは強力で永遠に巻き戻り続けるようにできておる…つまり死ぬことも出来ない」
「そ、そんな!」
やはりとは思ったがハッキリと言われて私は青ざめた。
「お嬢様…しっかり!何か方法はないのですか!?」
と聞くとアルファ様は腕を組み難しい顔をした。
「時の呪いは厄介でね…針と針が噛み合わないと進まないのさ…。そこでこれをやろう」
と銀のネックレスに丸いものとその周りにごちゃごちゃした輪っかがついていた。
「これは…?」
「天球儀だよ…それを身に付けていたら正しい時が流れるが、お嬢さんには付けれない。呪いがかかってるからね…そっちの男が着けりゃいい。そしたら今日のことも覚えていられる」
「本当ですか!?」
「ああ…だがこれはお前さんが一度付けたら外れないよ。お嬢様の呪いが解けない限り、お前も一緒に巻き戻ることになる!
毎日夜空にこの天球儀をかざして星の光を集め今日を記憶させるんだよ。そしたら朝には今日に戻ってるはずさ」
「本当ですか?僕も今日を巻き戻ることが出来るんですね?」
「そうなるね。呪いをかけた者が判ったらまたうちに来な。あたしは巻き戻らなくてもそのアクセサリーを見せたら大体察しがつくだろう。それの意味を知っているしね。客だと直ぐわかる。
それよりそれ…大負けに負けて大金貨10枚にしとくよ」
「たっか!!!」
とヨニーは言ったが残りのお金は呪いが解けた時にきちんと支払うことにした。
「しかし…これ王子につけたら証明になるのでは?」
とヨニーが聞いてみたら
「バカ言うんじゃないよ!それのことを他の奴等に言ったらお前の命はないと思いな?こんなもの持っていると王家の者に知れたら悪用されるに決まってるじゃないか!純粋そうなお前さんだから売ってやったんだ!感謝しな」
とアルファ様が怖い顔で言う。
確かにこんなアクセサリーが有ったら…何度も過去をやり直せる。そうしたら歴史が変わってしまう…。
戦争などに使われたり悪用する者は出てくるだろう。
「ひ、秘密にします!!服の下に普段は入れて隠しておかないと!!」
私とヨニーはお礼を言い魔女の家を後にした。
そしてこれからどうするか話し合う。
「お嬢様…これから邸に戻っても旦那様に打たれて直ぐに荷物を纏めて国外追放されるんですよね」
「ええ…纏めるだけ無駄なのよね。朝が来たら自分の部屋に戻っちゃうから何回目からは空のトランクしか持たないで出たわ」
「……でも毎回旦那様のビンタを食らって?」
と心配するヨニーだが…
「まぁ、最初は何回か避けていたけどそのうち面倒になってこれも慣れたからね…」
と言うとヨニーは
「そんなこと慣れてはいけませんよ!!お嬢様何度も打たれて痛かったでしょう?き、今日は帰らなくてもいいでしょう!!僕のお小遣いで宿に泊まってください!」
「そんな、勿体ないわよ!大体朝になると戻るし!」
「巻き戻るならお金だって戻ってるんだからどうせ1円も払ってませんよ。僕も!」
そう言われると確かにそうだった。巻き戻り仲間が出来るとこんなに頼もしくなるのね。
私は内心ホッとした。
これからヨニーも犯人探しをしてくれるし、何より相談できるし!
「判ったわ…ヨニー。ありがとう。今日はぐっすり眠れそうよ…」
「お役に立てて光栄です!お嬢様!!」
とヨニーはニコっと笑って宿を探した。
身分を隠す為ドレスは脱いで売って冒険者風の格好に2人とも着替えていた。卒業式のドレスもどうせ明日には自分の部屋に戻っている。
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