死に損ないの私は孤独なネクロマンサーに拾われる

黒月白華

第32話 プレゼント

それから教会の奴等は安易にこちらを刺激して来なくなった。
私に殴られたあの神子様は今まで誰にも殴られた事がなかった様でその痛みを噛み締めているらしい。

しかも殴った後に何故か私の聖痕がくっきりと出来ていた!何となくドラゴンのタトゥーのようになって浮かび上がっていて奴の高圧的な態度が消え去っていた。

最近信者達に「僕を殴れ!」とかまたおかしな方向に目覚めたそうでそっちの対応に教会の人達はあたふたしているらしい。

私には謝罪の手紙を送り「いつかまた僕を殴ってください♡」と変な性癖に目覚めたおかしなラブレターをバルトルトが破りゴミ入れに叩き捨てていた。

私達はまたアメリーさんの図書館の整理を始めたまに来るバプティスト様もアメリーさんとよく話をし2人の仲は進展していった。
バプティスト様も花束抱えてアメリーさんをデートに誘う様になったし。

結局私は前みたいに腕輪のアクセサリーで力を封じることにした。と言うのもバルトルトが

「お前の力…凄いんだから何か困った時の為に使えよ」
と言ってくれたので私は素直にうなづく。まぁアクセサリーをつけてれば大丈夫だよね。
たまに街の子供が道端で転んだ時に膝が擦りむいて泣いてしまった。

私はこっそりとアクセサリーを外して

「内緒だよ!?」
と言い、手を翳し一瞬で傷を治す。
男の子は泣き止み不思議そうだったけどお礼を言いお母さんの所に走っていった。

とある服屋で素敵なローブを見つけた!!
この前の金貨を両替しておいて良かった。値段を見てこれならと思い、購入してみる。
バルトルトは喜ぶだろうか?私のセンスで選んでみたから文句言うかも。派手だとかなんとか。

生地は綺麗な黒に白い模様が袖口等に入っていてそれなりに上品だ。素材も滑らかだから肌荒れしないだろう。
大事に持って帰る。

今日もアメリーさんはバプティスト様とデートで遅くなると言われているので手早く夕飯を作りお部屋で一緒に食べる時にとうとうバルトルトにプレゼントを渡してみた。

「え!?な、何!?プレゼント!?俺にか!?」
彼はひどく驚いていた!!?

「え?そうですけど何か?そんなに驚いて…」

「いや…そんなものもらった事は無くて…どう対応したもんか…」

「えっ!?元王子でしょ?それはないでしょ?」

「こんなに心のこもったプレゼントなんかない!!俺の誕生日にはいつも毒入りのケーキやら変な女やらを寄越され正直嫌だった!普通の贈り物なんかもらった事ない!!」
と言う。なんて悲惨で可哀想な!!

「哀れむ様な目はやめろ!……開けるぞ!?」
とドキドキしているバルトルト。私もドキドキする。気に入らなかったらどうしよう?

慎重に袋をガサガサさせてバルトルトは新しいローブを見た。
それを見た彼はしばらく停止している。
不味い!やはり喜ばなかったかしら?
と心配すると
チラチラとこちらを見た。

「こ、これをお前が選んだのか?」

「そうですけど、やはりダメでした?私のセンスじゃ…」

「い、いや!その…お前中々やるな。い、いいぞ?着てみても!?」
とうずうずしていた!まさかのお気に入りになったようだ!
バルトルトはローブを着て姿見でチェックしていた。

「どうだ!?俺…似合ってるか?」
実際着てみるとサイズも合ってるし似合ってた。

「はい!とっても素敵なネクロマンサー様ですよ?」

「そうか…ふーん?」
と何度もフードを被ったりして姿見で確認する様子が少し可愛い。

「ヨハンナ…実は俺も……その…ある」
と彼は俯きながら何かを出してきた。

「ん!」
と言葉少な目に差し出された箱を開けると綺麗な蒼い石のついた指輪がある。

「魔除けのですか?」
と言うとがくりとしたバルトルトは

「お、お前!ここでボケるな!!婚約指輪だたわけ!!」
と言われて今度は私が驚いた!!

「ええっ!?ほ、本当に!?」

「お前を騙してどうするんだ!?」
と言われなんだか泣けてきた。こんな普通のことも出来たなんて!!

「……改装が終わったらとっとと森へ帰るぞ?」

「はい。まぁちょっと街でお仕事してお金貯めてからにしますけど…」
プレゼント代で結局二人とも浪費したのだしね。

「後…」
とバルトルトは少し赤くなりボソボソ言う。

「ん?何ですか?聞こえませんよ?」

「……い?」

「はあ!?」
仕方なくバルトルトが私の耳に近寄り囁く。

「……早く子供が欲しい。そうすればもう神子も手出しできん…」
と言われドキリとした。指輪を嵌めた手にキスされ見つめられた。

「……バルトルトさん…どうしよう」

「…?何が?」

「普通に嬉しい!!」
とバルトルトの胸に飛び込むとくくくと笑われて背中を撫でられた。

その後めちゃくちゃ愛された。。


それから…バルトルトは新しいローブを着て仕事をするのかと思ったらまた古いのを着ているので

「ちょっとバルトルトさん?何で新しいやつを着ないんです?まさかやっぱり気に入らないんじゃ!?」
と言うとバルトルトは

「違う!!あんないいもの!しまっておくに決まってるだろう!?ちゃんと毎日眺めて飾りブラッシングしている!!」
と言い出したからポカンとした。

「ええ…まさかの観賞用!?」
プレゼントするんじゃなかった!!
と頭を抱えたがバルトルトが凄くあのローブを気に入って大切にしてくれてると思うとまぁ嬉しかった。まぁ着て欲しいけどね。

お金も少しずつ溜まってきた。森の改装が終わる頃、図書館も綺麗になりようやく私達は森へと帰ることになつた。

アメリーさんとバプティスト様は正式に恋人同士となりいい感じになった。
森へ帰る日も見送りに来てくれた。
相変わらず死霊の馬車で帰る事になるけど…。

二人に別れを告げ私達は森へと帰った。
そして驚いた!!部屋が増設されたとは聞いていたけど!私のとバルトルトのと後将来の子供の部屋と夫婦の寝室まで付いており結構大掛かりだ!!

「凄い!!綺麗だし広くなってる!!わぁ!!キッチンも使いやすさ増してる!!」

「あいつやり過ぎだろ?まぁ俺は金出してないけどな!」
寝室の少し大きくなったベッドを眺めバルトルトは無言で私をひょいと抱き抱えた。

え?

あっという間に新品のフカフカしたベッドに私を運んだ。

「改築祝いだ」
とか言いながらニヤリと笑い、キスした。







          

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