死に損ないの私は孤独なネクロマンサーに拾われる

黒月白華

第29話 アメリーの初恋

宿で寝ているはずだったのに起きたら何故か図書館にいた。バルトルトに私が狙われていたことを聞いた。

バルトルトは仕方なく依頼主の私と同じくらいの魔女の眼鏡の女の子に説明していたらその、アメリーという子はブルブルと三つ編みを振るわせて拳を作り、いきなり口調が変わった!

「んーだら!!教会の奴等が仕掛けたっちゅーんか!!やっぱりあいつらはロクなもんじゃねえさ!!」

「な、なんだ急に!?」

「教会の奴等は!!昔っから!!あたしら魔女の敵なんじゃーーー!!」
と叫んだ。

「敵…教会の人が?」

「あいつら人助けしたらお布施もらってたり聖人君子みたいな扱いされてっけど!昔は魔女のこと敵視して、魔女殺しとかともかくこっちのこと根絶やしにしようとしてきてんさ!!罪もない女の人を魔女に仕立て上げたりもした!!

ヨハンナちゃん!大丈夫!宿なんかよりここの図書館のが安全だっべ!ちゃんと結界張ってあっから!!あ、ヨハンナちゃんはそのアクセサリー外さん方がいいべ。聖属性お断りだからここの図書館」
なんだそれ?
アクセサリー付けてて良かった!!

それにしても凄い本だなぁ。

「私も手伝うよ」

「ほんとー!?助かるううう!!」
とアメリーさんが喜ぶ。
バルトルトは

「おい、ヨハンナは今普通の人間と同じだぞ!?変な本に触ったらどうなる!?危険だ!」

「あらあーー!恋人の心配してアツアツだべーーー!いいなーーー!あたしもそんな顔のいい方と恋してみたーーーい!!!」
とうっとりするアメリー。
わかる!!なんかわかる!!
とうなづく私。

するとコンコンとノック音がした!!
一気に殺気立つアメリーさん。

「教会の者かもしれんべ!!二人は奥へ隠れて!」
と言われて私とバルトルトが身を潜めていると…

見知った声がした。

「初めまして。私はバプティスト・ヤーコプ・ロータル・ショーペンハウアー男爵家令息です。よろしくお願いします。可愛い魔女のお嬢さん」
と手にチュッと挨拶のキスを受けたアメリーはバプティスト様の顔を見て…透き通るような水色の髪を見て真っ赤になった。

「バプティスト様!!どうしてここに!!?」
と驚いているとバルトルトが

「どうせ内偵でも雇って俺達の様子見てたんだろ、この狐め!」
と顔を出した。

「ふふふ、まぁ楽しいことになってるから様子見に来ましたよー。うちにも教会の人が調査に来ましてねー?とりあえず誤魔化しときましたよ?偉いでしょ?」
とにこにこした。

アメリーがガチャガチャと紅茶をどこからか運んできて緊張で手がガクガクしていた。

「ど、どうぞ!!」
と一応あるテーブルに置いた。

「ありがとうございますお嬢さん、アメリー嬢かな?」
と微笑むとアメリーが卒倒しかけたので慌てて背中を支える私。

「どうやらより奴等はヨハンナ様を探しているようで」
とバプティスト様は真剣に話し出した。

「やはりな。遅かれ早かれこうなると思っていたがそれなのにそこに仕事をやるお前が本当に悪魔だな」

「いやぁ!まさか!単純にヨハンナ様の魔力量どうなってるのか知りたくてー!そしたら測定器壊れたんでしょ?」
何故か知っとるバプティスト様。バルトルトが狐って言うのわかる気がした。

「ちっ!」
と言うとアメリーさんが

「あのぉ、男爵様はお二人ともとお知り合い?」
と状況が飲み込めないようで言うと、

「ああ、まぁ…何というか今は彼等とは仕事上で仲良かったりまぁ?友達のようなものですけど以前はこちらのヨハンナ様と私は婚約者同士でね?今は違いますけど。いろいろあったんですよー!あはは!」
と彼は昔のことをベラベラ喋りだしふんふんとアメリーさんも聞いていた。
そして

「凄い!!な、何ですかそれえええ!!元王子様!?元伯爵令嬢との森の中で育まれる愛とか!!も、萌える!!」
と私とバルトルトの話になると興奮して言い出した。

「あああ!本に本に書いて残したい!!」
とうずうずしていた。辞めろとバルトルトが怒る。

「まぁ、教会の奴等はしつこいですからねー!?ロイ先生程ではないにしろ、バルトルトさん、これはさっさと本当にヨハンナ様と子供を作って置いた方がいい」
と言う!!ひーーー!!
しかもふんふんとアメリーさんまでうなづいている。三つ編みをくねらせて

「私も賛成です!ヨハンナちゃんが子供を作っちゃえば奴等手出し出来ませんからね!」

「ど、どういうこと?」

「コルネット教会の最高峰に当たる大神殿の神子は神と通じると言われており、神子の役目は魔力の高い聖属性の者と結ばれ子を成す事が役目なのです。つまり…教会は測定器をぶっ壊すまでの魔力量の多いしかも傷も一瞬で治すヨハンナ様を本当にガチで神殿の神子様の花嫁にと目論んでいるわけです!

ヨハンナ様がバルトルト様とお子を作ってしまわれたらもう手出しできません。神子の子は第一子であるのが条件であり次の神子となるとされています」
とバプティスト様が言い、アメリーさんも付け加えた。


「神子ってのは恐ろしい見通しの目を持っていて、遠くの魔力を持つ人を見ることができるって話だよ!だからそのアクセサリー取らない方がいい!」
と言い出した。

「でも、あの…万が一襲われた時、私のホーリーアローで性格改変とかできたらその神子の人に効かないんですか?バルトルトさんやあのロイ先生みたいに…」

「それはね?ヨハンナ様…。できません。正直言うとバルトルト様にロイ先生より貴方は魔力量が大きいのです。一般的に見ても、あの教会にいた人達よりも誰よりもヨハンナ様の魔力量は多い!教会が目をつけているのはそれ程の力を欲しているからなのです」

「そうだヨハンナ。お前危機感なさすぎなんだ!宿でグースカ寝ている場合じゃない!」

「ええー!?酷っ!立てなくしたのそっちでしょ!」
と言うと赤くなり

「今いうな!!」
と怒られた。

「はっ!ちょっと待って!お金は?宿に置いてるお金ーーー!」
とまた稼いだ金を置き去りにしてしまっていることに気付いた。

「ふふ、それなら私が回収しておきましょう」

「す、すみません。バプティスト様…」

「いえいえ、ヨハンナ様には幸せになっていただかないと!…では私はこれで。しばらくはここで匿ってもらってください。私は教会の動きを探ってみます」
とバプティスト様は紅茶を飲み干して帰った。

その後…アメリーさんがジッとバプティスト様の飲んだカップを見つめている。

「は、はあ!!バプティスト様…の飲んだカップが!!!」
と赤くなり悶える。

「おいおい。まさかあいつに惚れたのか?女ってヤツは全く…顔しか見ないな。まぁ、ヨハンナは違うだろうが」
とバルトルトは言う。
いや私も一応バルトルトの顔も好きだけどね。

「私…これ初恋だと思います!」
とアメリーさんが言ったので残ってた紅茶をブーッと吐き出すバルトルト。

「まじか!?」

「はい!バプティスト様は今恋人はいるのですか?あ、あんなに素敵だからいるに決まっているか…」

「うーん、どうでしょうか?うちの妹に騙されてたからそう言う話からは敬遠されてるような…」

「騙された!?何のことです?」
うわ、しまった!ヤバイこと言った!!
バルトルトが頭を押さえた。
私達は仕方なく義妹のことを話す事にした。

話を聞き終わると

「とんでもねえ!あばずれ女だ!!牢にぶち込まれて当然だべ!!」
と話を聞いたアメリーさんが怒る。
そう言えばあの時ローレに無理矢理バルトルトがキスされたのを見た時は本当胸が痛んだものだ。

「バプティスト様に恋人がいないなら…あたしも頑張ってみっかな!!?」
と言うアメリーさんにバルトルトは失礼にも言った。

「あんなののどこがいいのか、俺にはさっぱりわからん。顔だけじゃないか」
と言うのでアメリーさんも私も反撃した。
流石にバプティスト様が可哀想だわ!

「バプティスト様はお優しいじゃないですか!?きちんと領地もまとめていらっさる!!」

「そうですよ!!バルトルトさん!いつも笑顔で愛想もいいし私たちも散々お世話になったじゃないですか!」
と言うとバルトルトは嫌な顔をして

「おい、アメリーはともかくヨハンナまで!?あんなの外面が良いだけだって!!」
とバルトルトは文句を言うがアメリーは

「ともかく!ヨハンナちゃんをここに匿ってあげる分、バルトルトさんも是非私とバプティスト様の仲を取り持ってくださいね??」
とアメリーさんが協力を仰いだのだった。

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