死に損ないの私は孤独なネクロマンサーに拾われる

黒月白華

第28話 プチ監禁と狙われた私


ひえーーーーーーー!!!
何か知らないがお酒をたっぷり飲まされ記憶が曖昧だけど記憶は断片的にある!!

しかもめちゃくちゃ身体も重怠い。
流石に痛いので癒しの力を使おうとしたらガチャンとどっから取り出したのか魔力封じの魔道具を腕に付けられて鍵かけられた。アクセサリーみたいなものだけで別に動けるけど魔力が出ない!!

えーー!ひどーー!!

「バルトルトさん!?何でこんなことを!?仕事私今日も行かないと!」
と訴えると

「今日は一日休んでいろ」
と言われる。

「そんなの私自分の回復魔法で治せるし!」
と言うとバルトルトは

「……ヨハンナ……教会の奴等がお前を狙ってる。お前の魔力量は…普通じゃないんだ。このままだとお前が断っても無理矢理神殿にでも連れてかれるぞ?そしたら凄え力を持った上の奴と結婚させられて力を持った子供を産ませられるぞ」
と言われた!

「な!そ、そんなこと!!?」

「あるんだよ。俺もまさか測定器が壊れるとは思ってなかったがそうなると話が違うんだよ。俺と結婚したかったら我慢しろ」
と言われる。

「ふぐーーー!!こんなことなら金貨10枚ちゃんと昨日持ってきとけば良かった!!」
と言うとバルトルトが

「えっ!?そんなに一日で稼いだのか!!?お前…」
はっ!し、しまった!!
とあわあわしたがバルトルトはため息を吐いてよしよし頭を撫でた。

「いや、全然怒ってないから!!」
と無理矢理笑顔を作った!!めっちゃ気にしてる!!
もしかしたら金貨3枚くらいかな?って思ってたのかも。

「何かあったら俺の影たちに命令して俺の元にお前を運ぶように言いつけてあるから…お前はその魔力封じのアクセサリーは外すんじゃねーぞ?」

「やだ、怖い!そんなんならバルトルトさんが側にいてくれたらいいのに!!」
と言うと額にキスされた。
赤くなると

「すまない…ヨハンナ!お前も大事だが…俺は仕事して金貰ってこねーと!!そしてお前に勝ちバプティストの野郎に掛け金の金貨10枚を貰う!!」
と言い張った!!

「うわっ!!まだ勝負のことを!!どうでもいいってこないだ言っていたのに嘘つきーー!」

「生活には金が必要だろ?俺が稼いでくるには問題ない!」
不公平感!!そして心が狭ーーい!!
彼はそう言うともう一度私を抱きしめて軽いキスをし

「そんじゃ行ってくるわ。大人しくしとけよ?」
と出かけて行った。くううう!バルトルトのバカああー!!と腰をさすり仕方なく寝た。


真っ白なシーツの上に女がいた。
紛れもなく美しい僕によく似た女だが僕の方が圧倒的に美しい。

「カイル…」
と呟く女は僕の紛れもない姉。血の繋がった姉。姉は元々の髪は黒く艶があったが僕の魔力を少し注いでやると黒かった髪の毛が真っ白になっていった。

僕はカイル・ボールドウィン・アストン。髪が白く金目。この神殿の神子に選ばれた存在である。
生まれた時からもう神子になるのが決まっている。予言され初めから白髪金目で生まれた僕は神と対話する程の膨大な魔力を持ちその子孫を残すため優秀な聖属性を持つ女と子供を作りその子供も神子となる運命。
それが僕の使命。
他にすることが無い。

ともかく魔力の高い近しい者が姉のイーディス・ローリー・アストンだっただけであり、僕自身はこの女をただの子を産む製造具くらいにしか思っていないが、姉の方は違うようで僕に恋などと言うくだらない感情を向けてくる。過去に魔力の高い娘と仲良くしていたら嫉妬からその娘を影で姉が勝手に殺してしまったしな。

くだらない。姉が心地よく眠るのを見ているとバカらしくなる。
そして姉の腹には既に僕の子がいる。まだ小さな種だが先日発覚した。バカらしい。それなのにまだ執着してくる。

「カイルずっと側にいてね」
と白い髪の姉が呪いのような言葉を言っている中ノックされた。

ガウンを羽織り姉を放置して出ていくと側使えが囁いた。

「お姉様を上回る魔力量の聖属性を持つ娘が発見されたと…コルネット教会の方から連絡が入りました…。せ、聖女クラスにも匹敵し、傷は一瞬で治してしまうと言う娘です!」

「何…本当か?」

「本当でございます!どう致しますか?お姉様はお子を授かっておりますので流石にお姉様との結婚を…」
と側使えが言うが無視する。

「ふふふ!関係ない!なんと喜ばしい!!これで姉の子を殺せる!!」
と言い僕は踵を返す。
ベッドで眠りそうな姉に退けと命じる。

「い、一体どうしたの?カイル?」

「お姉様…貴方より魔力が高い娘が見つかったので…貴方との結婚も白紙にしていただきたい」
と笑う。

「な、何言ってるの?カイル?私のお腹には赤ちゃんが…」
僕は手を翳しズリュリュと白い球を引き出しそれに姉が

「ひっ!!?うぐっ!!!い、いた!!!」
と悶えた。その球をグチリと潰したら姉は


「ギャアアアアア!!!」
と絶叫し気絶した!!姉の足から血が流れるのを見てベッドから床に落とした。

「おい、トンド。さっさとこの女を連れて行け!」
と命じてその通りにする男。

「くくくっ!僕を解放してくれた聖女か。どんな女だ?」
と僕は『見通しの目』を使った。

しかし何も感じない。視えない。
もしかして魔力封じの何かをつけているのか?侮れん。

「ちっ!残念だけど…こっちから会いにいくしかないのかなぁ?」
別に容姿には興味がない。欲しいのは優れた魔力だ。僕は優れた魔力を持つ女の子供を残す義務しか生きる意味はないのだから。恋や愛など必要ないものだ。俗物に成り下がった姉の子を殺せて本当に感謝している。会うのが楽しみだ。


魔女の図書館。
歴代の魔女達が書いたあらゆる魔法書や呪い、薬草調合等が沢山ある。
扉を叩くと一人の司書の魔女女が現れる。

「手伝いに来てくれた人?魔力は?」
俺は影を持ち上げて見せると

「なるほどねー、闇属性ね?」

「本業はネクロマンサーをしている。暇だから本の整理手伝ってやる」
と言うと

「合格!その魔力なら本に食われることも無いでしょうし、自衛できるわよね?」

「ああ…」
するとそこで女がパッとフードを取り顔を確認した!

「ぎゃっ!!顔隠してるから不細工かと思ったら逆だった!!めっちゃ美形!!なんなの!?勿体ない!!」
と眼鏡をかけ直す三つ編みの魔女。

「うるさいな!俺は人嫌いだ!後、恋人もいるから気安く触んな!」
と牽制しておくと

「えーーっ!?人嫌いでも恋人はいるとか何!?君面白いー!」

「ほっとけ」
と言いつつ、案内され中に入ると驚く。
巨大な本棚が倒れており、本が数千冊、いや、数万冊はごちゃ混ぜで本から怪しい光や魔物とかの気配もした。

「こ、これの整理かよ…」

「です…」

「金貨1枚じゃなく10枚にしろよ」

「ううっ…ごめんなさあーい!!」
と司書が泣いた。

棚をさっきの魔女司書のアメリーが魔法でなんとか起こした。驚くことに管理者が今はこいつで相棒は各地に本を集めに行っているそうだ。

「どうして倒れたんだ?」
と聞いてみると

「まぁ、ちょっと楽して魔法で隙間に本を投げ入れるゲームしてて変な本に当たってそれで地響き?が起きて倒れちゃって!えへ!」
と言う。
仕方ないから黙々と作業をする。危険な本はガッチリ留め具で留めてしまい直す。

すると異変を感じた。
ヨハンナの宿で見張らせている影の反応だ。宿の周りに教会の奴等が現れたらしい。
ヨハンナは…寝てるのか!!!

とりあえず影に命じてヨハンナのベッドごと影に沈ませた。
教会の奴等が部屋を覗くと同時にどうやらヨハンナの回収に成功した。

しかしいきなりベッドで寝てる女が現れたからアメリーがびびって

「ぎゃーーー!?何!?本の中の眠り姫!?」
と言ったらヨハンナが目を覚ました。

「何ここ??あれ?バルトルトさん?」
と呑気に声をかけたのだった。

          

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