死に損ないの私は孤独なネクロマンサーに拾われる

黒月白華

第25話 2属性だろうが無敵なホーリーアロー

窓の外に張り付いてこちらを睨むロイ先生がいる。

「ふ、服を…」
とガタガタしながらバルトルトが服を取り私も何とか着た。

そして部屋が何故か寒い!!
見るとパキパキと氷始めてる!?

「ロイ先生はまさか氷属性!?」
と言うと

「合ってるがもう一つ光属性だ!」

「ええ!?あんな変態なのに2属性持ってるんですか!?嘘でしょ!?」

「……だから医者なんてしてるんだ!昔は戦争へ行き医療班として活躍していたらしい」
あんな変態だけど一応人助けしてたのね!
でもこちらを見る目が血走り恐ろしい!

「……ま、窓が!!」
ビキビキと音がして凍った窓がついに割れてジャリッと中に入ってくる変態。

「よくも…。ようやく見つけたのに。私の可愛いバルトルト王子に…手を出したな!?このあばずれ女が!!」

「酷!あんたみたいな変態に言われたくないわよ!中年男のくせに!!」
と反撃してみると

「何だと?…可哀想にバルトルト王子!私が来たからにはもう安心してくださいね?」
とバルトルトには優しい声音で言う。
バルトルトは震えず先生を睨んだ。

「安心?俺が安心するのはヨハンナだけだ!!ヨハンナだけを俺は愛する!!愛を知ったのはヨハンナだけだ!お前達みたいな変態とは違う!」
と言うバルトルトにキューンとした!!

「くっ!バルトルト王子…洗脳でも?それに勘違いです。私は貴方を酷い目に合わせた女や男とは違いますよ!心から!心から貴方を愛しています!!だからお救いしにきました!私と一生一緒にいる為に!」

「何が救うだ!?頼んでないさ!!あんたも奴等と変わらない!!」
とバルトルトが叫ぶ。

「今…お救いします!」
と恍惚になりロイ先生は氷魔法を使いベッドまで氷がパキパキと迫りくる!
しかもバルトルトが影魔法を使えぬよう光魔法で上に照らした球を作り上げている!

「くそっ!」
とバルトルトが私を抱き寄せるが

「バルトルトさん…離して!大丈夫!!」
と私が言うとハッとしたバルトルト。身体を離して先生と対峙する。

「ロイ先生!朝っぱらから迷惑ですわ!窓を割って入ってきたり部屋を凍らせたり!」

「ふふ、次はお前だ!氷の銅像にしてここに一生凍って過ごし、バルトルト王子は私と共に来るんだ!!死ねこのあばずれ!!」
と氷が迫ってくる!!

私はもう仕掛けていた!先生の背後から聖魔法で矢を作り上げて狙いを定めていた!!
こんの変態野郎があああ!快心しなさい!!

「……ホーリーアロー!!!」

「なっ!」
と気付き振り返る先生だが一足遅かった!!
グサリと胸に矢は刺さりズズっと潜っていき先生はバタンと倒れた!


「……ヨハンナ…!」
バルトルトが私を抱きしめ先生の氷魔法と光の魔法は消えた。

「バルトルトさん!やった!私やりましたよ!!」と喜ぶとよしよしと頭を撫でられ額にキスされた!!

「…はは、よくやったな!!後は俺がこいつを捨てておくか」
と影を使い影の中に先生は沈み込んでいった。
しばらくして

「……ん、奴を街の方に置いた。…目が覚めたら俺のことなんて忘れていることだろう」

「良かった!これでやっと平和ですね!」

「ああ、ヨハンナのおかげだな!!」
と見つめ合う。ドキドキした。昨日あんなに求められたのに甘い空気になる。
キスをしたけど足りなさそうなバルトルトに
必死で抵抗し

「バルトルトさん、ダメです!!この荒れた室内片付けないと!全くあの変態!窓を割るなんて!!足元気を付けて!」
と散乱してるガラスの破片に注意するよう言うと

「わかった…」
と応えたが折角注意したのにバルトルトはガラスの破片を早速踏んだ!!

「いて…!」
バルトルトの足裏が血だらけ!

「ほら!言ったのに!動かないで!!」
と私は彼の傷を魔法で一瞬で治した。あら、やっぱり聖魔法便利!!

「一瞬で…傷を……」
バルトルトは何か険しい顔をしたが

「すまない…次は気を付ける」
と片付けを始めた。

こうしてともかく室内を掃除して後日にバプティスト様にガラスを発注してもらうことになったが…

「どうせなら少し改装してみないかい?私からの二人が結ばれたお祝いということでさ!」
とウインクされ私達は恥ずかしくなった。何で知ってるのおおおお!?
バルトルトが

「お前が金を出してくれるなら仕方ないな!俺たちの部屋も確保しろよ?」
とちゃっかり言っていて、しかしバプティスト様も

「ええ、いいですよ。ではその間、新しい依頼をご用意しておりますのでそちらを対応していただけると嬉しいです!」
と言い出し、嫌な顔をしたバルトルト。

「今度はまともな依頼にしてくれよ?また娘の死体に魂を入れるとかはごめんだ!」
と言う。あの事件もかなり被害者が出て報酬どころじゃなかった。

「はいはい、安心してくださいね!依頼は役立たずのバルトルト元王子ではなく、ヨハンナ様に!教会の方で患者さんが大量に出てしまい…ヨハンナ様のお力で癒してあげてください!お礼のお金はたっぷり貰えるそうですよ?聖属性魔法を使える人貴重ですから!」
と言うので

「あ、はい!やります!!」
と私は応えた。
役立たずのバルトルトは膨れていた。

「そういえばロイ先生の監視を付けていたんですが、彼…街で実に誠実に医者をしているそうですよ?ヨハンナ様の放った魔法の矢はヨハンナ様が聖痕を取らない限り解けませんからね」

「そうですか…良かったです」

「ええ!明日からはこちらで手配した宿に泊まってくださいね。教会の方には手配しておりますし」
とまだ空いたままのガラスの無い窓を見つめてバプティスト様が静かに微笑んだ。

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