死に損ないの私は孤独なネクロマンサーに拾われる

黒月白華

第22話 属性と魔力コントロール

昼間でも暗い森に私はビクつく。
なんだかんだで狼は私のトラウマであり怖い。
バルトルトが

「狼なら大丈夫だ。俺のものだと影で牽制してるからな」
俺のもの…。それって私のことを?
と、時折ロマンチックに胸がときめいてしまう!

「ところでお前の属性風なのか?」

「え?うん…たぶん?魔力の測定テストで属性測る前に暴走したから私。でもあの時は風の刃が出てきたしたぶん風だと思う」
と言うと

「なんだそりゃ?でも暴走だと仕方ないか。正確に測る暇も無いだろうな。ヨハンナ…風かどうかはまだわからん。子供の頃は魔力の安定が難しく、自分に合った属性の精霊が付くことが多いが、暴走したなら風の精霊はお前を拒んだのかもな。だからお前自身も傷が付いたのかも」
と言う説明に

「ええ?そうなの?驚いた!魔術のことになると本当に詳しいですねバルトルトさん!家事はさっぱりなのに!」

「お前よりは詳しいわ。バカ。…ともかくお前の属性を調べないとな。風は外すから他だな」
とバルトルトは言い、森の少し開けた場所に来る。

「じゃあ、お前の好きな属性とかあるか?」
と聞かれたのでとりあえず思い浮かべるのは

「…火かな?料理に火使うしあれば便利」
と言うと何故かガクっとするバルトルト。

「あっ!ち、違うわよ!えーと!敵が来たらカッコイイ炎の魔法で相手を焼き尽くす!!ふふ!どう!?」
とポーズだけすると半目になり

「まぁ、いい。とりあえず俺に魔力を向けてみろ」

「えっ!?いきなり!?また暴走したら私止められない!バルトルトさんにも傷付いたり私も怪我したら…」
と言うと

「大丈夫だ。森には影がたくさんあるからな。俺がお前が暴走したら影で制御して止める。お前はとりあえず集中しろ!…そうだな?矢のようなものをイメージして魔力を解放してみろ。弓で引くような感覚で」
とアドバイスされ私はうなづく。

うーん、矢?炎の矢?
むーん、むむむむ…とイメージし私は手を翳す。全身に魔力を感じる。うずうずしてたまらない。

待ってたんだろうか?私が力を解き放つのを!
よし!カッコよく決めるわよ!

「ファイアーアロー!!」
とそのままの言葉で言うとボッと炎が現れた!

やった!!
と思ってるとむくむくと炎が膨らみ…弾けた!!

「きゃーーー!!」
ズバババンと炎の矢が四方八方に飛び散りバルトルトにも向かっていく!!

それに影で炎の矢を捕まえて飲み込んでいく影。何とか森の全焼は逃れた。

「はーー!!」

「炎ダメだな。炎の精霊にもお前は嫌われている」
と言われガーン!となった!!

「じゃあ、次は水だわ!!」
とめげずにトライしてみると…今度は何故か空の上から滝のような雨が流れ、ずぶ濡れで流されそうになるのをなんとか木にしがみつき、バルトルトは水をも影で飲み込み難を逃れていた。

「ちょっと…バルトルトさんよぉ?貴方さっきから自分ばかり守れてない?おかしくない?影で止めてくれるってさっき言ったのに!」

「いや…ちゃんとうちの方向に行かないよう止めてるし、お前もとりあえず死ぬような怪我はしてないだろ?まだ平気」
とか言われた!!くっ!なんて奴なの!!それでも恋人かっ!!

「さあ、次々!」
とその後も氷や土、光なんかを試してもどれも精霊に嫌われているのか大災害起こしかけてはバルトルトに止められた。

「残ってるのは…闇と雷と聖属性だな」
とバルトルトが言う。

「あら、闇はあり得ないわね!」

「どうしてだ?」

「だって私病んでないもの!!」
と言うとバルトルトが嫌な顔した。

「悪かったな!俺は病んでて!!」
と言うので

「まぁ一応やってみるね?はぁぁ!!!」
と手をかざしてみるが………影一つ動かないし何も起きなかった。

「嫌われる以前に精霊に無視されているようだ。何も起こらないってのはそういうことだ」
と言われてなんかショックだった!

「くううう!いつもバルトルトさんにくっ付いて行ってるのに!しかも私は彼の恋人なのにーー!きーーー!」
と地団駄を踏むとおかしそうに笑うバルトルト。

「それじゃ!次は雷ね!!よし!ドカンと前の木に雷落としてやる!!」
と手を翳すと黙々と暗雲が立ち込めてきた。
いい感じ!雷出そう!!

しかし…私の真上でゴロゴロ言ってて…バルトルトが不味いと叫び、足元にあった影を使い私ごと移動させた。私の立っていた場所に雷が落ち、更にこちらへと雷がやってきて影でガードしつつバルトルトは

「今日の夕飯はコロッケがいい!!」

「2日連続はちょっとーー!!」
と言うと雷は治った。
気をそらして本格魔力暴走する前に止めるやり方でこれまでも下らない逸らし方をして暴走を止めていた。因みに氷の時は氷のつららがこちらに降ってきたのでバルトルトが影で避け

「そう言えばお前俺の下着勝手に洗うなよ!恥ずかしいだろ!!」
で気が逸れた。

土の時は

「お前そろそろ爪切れ!!後、シャンプー切れそうだ!」
とかいちいち小言で気が逸れた。
ほとんど要望と文句じゃん!!

「はぁはぁ!……残りは聖だけど…な」
と半目になるバルトルト。
聖魔法を使える者は少なくてしかも、アンデットやらには効くけどあんまり生身の人間に攻撃魔法とか効かないし僧侶とか神官様とかホーリー系の人が使うモノだし需要ないわぁ…。

「ううん…聖魔法とかなら辞めとこうかな?なんかあっても回復とかだろうし。別に回復が嫌とかではないけどね?なんか私としては攻撃魔法を極めたいと言うか…」
と言うが

「ブツブツ言わずにやれ!」
と言われて仕方なく私は手を前に翳す。
聖の精霊にも嫌われてたら怖い!!完全に何もするなと言われてるようなものだし。

しかし何とか私は言う。

「ホーリー……アロー!!?」
聖なる矢ってなんだ?
と思いつつもなんか出た!真っ白でキラキラしている矢が!!
そしてそれはバルトルトに向かって行った!!
バルトルトは今度も影を出して飲み込もうとしたが…するりと影をすり抜けトスンとバルトルトの胸に突き刺ささってしまった!!

「うわーーー!!!」
「きゃーーー!!バルトルトさん死なないでえええ!」
と慌てて駆けよる。

「大丈夫だ!死んでない!!何なんだこれ全然痛くない!!」

「えっ?そう?引き抜けそう?」
と彼は矢を持ち引き抜こうとするが逆に胸に吸い込まれた!!

「ぎゃっ!!?何だこれええ!おい、お前の出した魔法だろ?お前なら抜け…」
最後まで言い切る前に胸に吸い込まれ、がくりとその場に倒れるバルトルト!!

「わぁ!!バルトルトさん!しっかりして!!ちょっと!死なないで!!」
とゆさゆさゆするとゆっくり綺麗な蒼い目が開いた。

「よ、良かった!生きてた!!…大丈夫ですか?また私失敗を!?」
と言うとバルトルトは目を輝かせた。

えっっ!?

「愛しいヨハンナ様!!今日は君の属性がわかって良かったです!!聖属性ですね!!素晴らしいと思います!!聖女にもなれるじゃないですか!!」

「えっ!!?だ、だれ!?」

「貴方の愛しい恋人のバルトルトですよ!!ふふ!ヨハンナ様ったら!!こいつうん!!」
と軽くデコピンされた。
いや、ほんとにだれえええええ!!?

          

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