死に損ないの私は孤独なネクロマンサーに拾われる
第14話 森の家に帰ります
バルトルトはあれから着替えてきた服を纏い私と村を散策した。やはりいつものフードがないので落ち着かないらしい。
「それで…答えは出たか?」
と聞かれる。
それは私も森へ一緒に戻るのかと聞いているのだ。貴族の地位を捨て。
「んんと…時々遊びに行くのはどうです?」
と聞くと嫌な顔をされた。
「来んな!そういう付き合いはいらん!!」
とキッパリ言われた。本当に貴族と人が嫌いなのだ。
「まぁ、お前はお嬢様に戻れて他の貴族の男と結婚し何不自由ない暮らしをするのが当たり前だからな!…愚問だった。俺は一人で森へ帰る。いつもの日常に戻るだけだ」
と前を向いて歩く。
ズキリと胸が痛んだ。
私がこのまま伯爵家に帰ったら…この人また一人で寂しく暮らすんだわ…。
それに二度と会えない気がする。
歩いていると小さな石橋の向こうに水車と小さな小屋が見えた。
中には誰もいない。
ちょっとした休憩小屋らしい。
「私…バルトルトさんと森の家に帰るわ」
と言うと驚いて蒼い瞳が挙動不審に動いた。
「はあ?お前何言ってんだ?貴族に戻ったのに…」
「はあ?はこちらの台詞ですよ!バルトルトさんが考えろって言うから考えたのに」
「…お前…貴族捨てるのかよ!?そんなこと出来るわけねえ!お前の親だって心配してるんだぞ?お前は愛されてんだし、戻る場所もある」
と言い、橋の上から石をぽちゃんと川へ投げた。
「あの義妹だって捕まってしまったし…もうあの家を継ぐにはお前が貴族の婿を取るしかねえんだ。わざわざあんなボロ小屋に戻ることはない」
とバルトルトはまた石を投げた。
「…同じですね。ローレもうちに来るまではきっと愛されなくて私から全て奪ったと言っていたわ…。バルトルトさん…それって寂しいと言うことですよ?貴方には愛してくれる人愛する人が必要なんだと私は思います…。
別に私は貴方の恋人や妻になりたいと言ってるわけでもないです。ただ、友人にはなれるでしょう?」
と言うとバルトルトは
「それは無理だ。俺はお前とは友人になれない。そんなものめんどくさいだけだ」
「ええ!?めんどくさいのはそっちじゃない!?折角私が家政婦の友達として戻ってあげると言ってるのに。バルトルトさんは私の作った美味しい料理を食べたくないんですね?」
「ぐっ!!…飯は関係ない!大体お前はアホだな!男と女が一緒に住むなんて世間から見たらおかしいんだよ!!」
「ええっ!?今更それをいうんですか!?」
と驚くとバルトルトは急に赤くなりぼっちゃんと石を投げて
「お前といると俺は変になるんだよ!!無性に苛々したり、笑えたり、飯は美味かったり…バカだと思ったり、恥ずかしくなったり!俺の心にドカドカ踏み込んできて荒らしまくるんだ!!あの家は綺麗になって畑も出来て………」
てバルトルトはゆっくりと私の方に振り向いた。凄く悩みつつも真っ直ぐ見つめられてドキリとした。流石いい顔!!
バルトルトは一歩踏み出し背の高い私を優しく抱きしめた。バルトルトは私の肩に額を付けている。
ええと…何これ?凄くドキドキします!!
私何でこの人に抱きしめられてるの??
そもそも女が苦手なんじゃないの?
「……俺の心を暖かくしてくれるのはたぶんこの先もこれからもお前しかいないだろう…ヨハンナ…」
えっ!?そ、それって!!まさかの告白!?
ドキドキしているとバルトルトは続けた。
「ヨハンナ…お前は…面白い女だ…」
え………お、面白い女!?
「側で俺を笑わせろ。これからも」
と言うとスッと離れてバルトルトは
「まぁ、そう言うことだから…さっさとお前の親たちに話をして来い。俺は先に森へ帰っている」
と言い歩き出した。
は!?
「ちょっと、バルトルトさん?どう言うこと?今の何?プロポーズなの?告白なの?何なの?」
すると振り向いて彼は真顔で言う。
「はぁ?俺はお前が面白い女だから一緒に暮らそうと言ったまでだ。別に両親を説得できないならお前は森に来なくていい。そのまま伯爵家で暮らしとけ」
と訳わからん理屈でバルトルトは言った。全くこの人はわからない。
面白い女だから一緒に暮らすって一体なんなのよ!両親にも何て言えばいいのよ!?バカなの?
するとバルトルトは
「俺は恋も愛も知らん。ただ、唯一…一緒にいられる女がお前だとわかったんだ。さっきもお前に触れて怖くなかった。他の女は恐ろしくて堪らないのに…。俺は気の利いたキザな言い方は出来ない…。知らないし言えない…」
そうポツリと言うこの人に私はようやく悟った。
「ふふふ、そうですね。こういうことですね?つまりバルトルトさんは私の事が好きで一緒にあの森の家で暮らして欲しいという遠回しのプロポーズですね?」
と笑うと
「…さあな?俺は言い方を知らないんだ。お前が勝手にそれをプロポーズと捉えている変な女だとしても俺は一切知らん…くくく」
と嫌な笑い方する。何という捻くれた性格!!つまりこの人は私から
『バルトルトさん!貴方のことが好きだから一緒に暮らしたいのー!?奥さんにしてー?』
という恥ずかしい台詞を私に言わせようとすっごく遠回しに言っている…。
なんて素直じゃない男なの?女の私から言わせようだなんて!!
「はあ…全く貴方って人は…。わかりましたよ。両親をちゃんと説得した後から私も森へ行きますわ…」
と肩を落として諦めて言うとバルトルトがガリっと指先を噛んで血を出した。
「何してんですか!?」
目を丸くしているとズボリとその指を口に突っ込まれた!!
驚いていると
「舐めろ。契約だ」
は、はあ!??なんだこの人?本当に変!!
しかし仕方なく私が指先の血を舐めると直ぐに引き抜いて
「よし…これで完了だ。それじゃあ俺はこれで」
とバルトルトは死霊の馬車をまた呼び出しそれに飛び乗りさっさと一人で帰っていった!!
ぽかーんとするしなんか顔は熱いし
「な、なんなの契約って!?わ、訳がわからないわ!やっぱりあの人変な人!そ、それに報酬貰い忘れて帰った!!バカだわ!!」
と頭を抱えた。後で私が代わりにバプティスト様から報酬を受け取った。
*
それからバプティスト様が伯爵家へ送ってくれ私は両親に森へ行くことを告げた。つまり…貴族の地位を捨てることにした。
平民になろうとする私にとても驚いていた。
お父様は
「もう…決めたんだな?ヨハンナ…」
私はうなづいた。
「私達も貴方に今まで酷い仕打ちをしてきたわ。操られていたとはいえ。…だから貴方には誰よりも幸せになってもらいたいの。この家のことは…気にしなくていいわ?セルバもいるし…彼を養子にして跡取りにしてもいいと思ってるの」
「えっ!?」
その場にいたセルバは驚いていた。
このセルバも孤児であったが両親が従者として迎えたのだ。
「そうね…セルバ…貴方私の義弟になるのね。ふふ。私は平民になるけど…時々森へも遊びに来てくれる?」
するとセルバは涙ぐみながらも大声で
「もちろんでございます!!お義姉様っ!!俺、立派な伯爵家の人間になります!!お義姉様のお幸せを祈っております!!」
とセルバは礼をした。
それから時々ちゃんと顔を見せに来ることや結婚の報告や子供が産まれたらちゃんと教えてやら色々言われまるで嫁に行くようになってしまった。
荷物はトランク一つだ。あの家には物はあまり入らないから。ドレスを改良しワンピースに仕立てる為裁縫道具は持って行くことにした。ミシンは流石に無理だったけど。後で送るとセルバが言う。
こうして私は数日遅れてバルトルトの待つ森の家に帰ることにした。
          
「それで…答えは出たか?」
と聞かれる。
それは私も森へ一緒に戻るのかと聞いているのだ。貴族の地位を捨て。
「んんと…時々遊びに行くのはどうです?」
と聞くと嫌な顔をされた。
「来んな!そういう付き合いはいらん!!」
とキッパリ言われた。本当に貴族と人が嫌いなのだ。
「まぁ、お前はお嬢様に戻れて他の貴族の男と結婚し何不自由ない暮らしをするのが当たり前だからな!…愚問だった。俺は一人で森へ帰る。いつもの日常に戻るだけだ」
と前を向いて歩く。
ズキリと胸が痛んだ。
私がこのまま伯爵家に帰ったら…この人また一人で寂しく暮らすんだわ…。
それに二度と会えない気がする。
歩いていると小さな石橋の向こうに水車と小さな小屋が見えた。
中には誰もいない。
ちょっとした休憩小屋らしい。
「私…バルトルトさんと森の家に帰るわ」
と言うと驚いて蒼い瞳が挙動不審に動いた。
「はあ?お前何言ってんだ?貴族に戻ったのに…」
「はあ?はこちらの台詞ですよ!バルトルトさんが考えろって言うから考えたのに」
「…お前…貴族捨てるのかよ!?そんなこと出来るわけねえ!お前の親だって心配してるんだぞ?お前は愛されてんだし、戻る場所もある」
と言い、橋の上から石をぽちゃんと川へ投げた。
「あの義妹だって捕まってしまったし…もうあの家を継ぐにはお前が貴族の婿を取るしかねえんだ。わざわざあんなボロ小屋に戻ることはない」
とバルトルトはまた石を投げた。
「…同じですね。ローレもうちに来るまではきっと愛されなくて私から全て奪ったと言っていたわ…。バルトルトさん…それって寂しいと言うことですよ?貴方には愛してくれる人愛する人が必要なんだと私は思います…。
別に私は貴方の恋人や妻になりたいと言ってるわけでもないです。ただ、友人にはなれるでしょう?」
と言うとバルトルトは
「それは無理だ。俺はお前とは友人になれない。そんなものめんどくさいだけだ」
「ええ!?めんどくさいのはそっちじゃない!?折角私が家政婦の友達として戻ってあげると言ってるのに。バルトルトさんは私の作った美味しい料理を食べたくないんですね?」
「ぐっ!!…飯は関係ない!大体お前はアホだな!男と女が一緒に住むなんて世間から見たらおかしいんだよ!!」
「ええっ!?今更それをいうんですか!?」
と驚くとバルトルトは急に赤くなりぼっちゃんと石を投げて
「お前といると俺は変になるんだよ!!無性に苛々したり、笑えたり、飯は美味かったり…バカだと思ったり、恥ずかしくなったり!俺の心にドカドカ踏み込んできて荒らしまくるんだ!!あの家は綺麗になって畑も出来て………」
てバルトルトはゆっくりと私の方に振り向いた。凄く悩みつつも真っ直ぐ見つめられてドキリとした。流石いい顔!!
バルトルトは一歩踏み出し背の高い私を優しく抱きしめた。バルトルトは私の肩に額を付けている。
ええと…何これ?凄くドキドキします!!
私何でこの人に抱きしめられてるの??
そもそも女が苦手なんじゃないの?
「……俺の心を暖かくしてくれるのはたぶんこの先もこれからもお前しかいないだろう…ヨハンナ…」
えっ!?そ、それって!!まさかの告白!?
ドキドキしているとバルトルトは続けた。
「ヨハンナ…お前は…面白い女だ…」
え………お、面白い女!?
「側で俺を笑わせろ。これからも」
と言うとスッと離れてバルトルトは
「まぁ、そう言うことだから…さっさとお前の親たちに話をして来い。俺は先に森へ帰っている」
と言い歩き出した。
は!?
「ちょっと、バルトルトさん?どう言うこと?今の何?プロポーズなの?告白なの?何なの?」
すると振り向いて彼は真顔で言う。
「はぁ?俺はお前が面白い女だから一緒に暮らそうと言ったまでだ。別に両親を説得できないならお前は森に来なくていい。そのまま伯爵家で暮らしとけ」
と訳わからん理屈でバルトルトは言った。全くこの人はわからない。
面白い女だから一緒に暮らすって一体なんなのよ!両親にも何て言えばいいのよ!?バカなの?
するとバルトルトは
「俺は恋も愛も知らん。ただ、唯一…一緒にいられる女がお前だとわかったんだ。さっきもお前に触れて怖くなかった。他の女は恐ろしくて堪らないのに…。俺は気の利いたキザな言い方は出来ない…。知らないし言えない…」
そうポツリと言うこの人に私はようやく悟った。
「ふふふ、そうですね。こういうことですね?つまりバルトルトさんは私の事が好きで一緒にあの森の家で暮らして欲しいという遠回しのプロポーズですね?」
と笑うと
「…さあな?俺は言い方を知らないんだ。お前が勝手にそれをプロポーズと捉えている変な女だとしても俺は一切知らん…くくく」
と嫌な笑い方する。何という捻くれた性格!!つまりこの人は私から
『バルトルトさん!貴方のことが好きだから一緒に暮らしたいのー!?奥さんにしてー?』
という恥ずかしい台詞を私に言わせようとすっごく遠回しに言っている…。
なんて素直じゃない男なの?女の私から言わせようだなんて!!
「はあ…全く貴方って人は…。わかりましたよ。両親をちゃんと説得した後から私も森へ行きますわ…」
と肩を落として諦めて言うとバルトルトがガリっと指先を噛んで血を出した。
「何してんですか!?」
目を丸くしているとズボリとその指を口に突っ込まれた!!
驚いていると
「舐めろ。契約だ」
は、はあ!??なんだこの人?本当に変!!
しかし仕方なく私が指先の血を舐めると直ぐに引き抜いて
「よし…これで完了だ。それじゃあ俺はこれで」
とバルトルトは死霊の馬車をまた呼び出しそれに飛び乗りさっさと一人で帰っていった!!
ぽかーんとするしなんか顔は熱いし
「な、なんなの契約って!?わ、訳がわからないわ!やっぱりあの人変な人!そ、それに報酬貰い忘れて帰った!!バカだわ!!」
と頭を抱えた。後で私が代わりにバプティスト様から報酬を受け取った。
*
それからバプティスト様が伯爵家へ送ってくれ私は両親に森へ行くことを告げた。つまり…貴族の地位を捨てることにした。
平民になろうとする私にとても驚いていた。
お父様は
「もう…決めたんだな?ヨハンナ…」
私はうなづいた。
「私達も貴方に今まで酷い仕打ちをしてきたわ。操られていたとはいえ。…だから貴方には誰よりも幸せになってもらいたいの。この家のことは…気にしなくていいわ?セルバもいるし…彼を養子にして跡取りにしてもいいと思ってるの」
「えっ!?」
その場にいたセルバは驚いていた。
このセルバも孤児であったが両親が従者として迎えたのだ。
「そうね…セルバ…貴方私の義弟になるのね。ふふ。私は平民になるけど…時々森へも遊びに来てくれる?」
するとセルバは涙ぐみながらも大声で
「もちろんでございます!!お義姉様っ!!俺、立派な伯爵家の人間になります!!お義姉様のお幸せを祈っております!!」
とセルバは礼をした。
それから時々ちゃんと顔を見せに来ることや結婚の報告や子供が産まれたらちゃんと教えてやら色々言われまるで嫁に行くようになってしまった。
荷物はトランク一つだ。あの家には物はあまり入らないから。ドレスを改良しワンピースに仕立てる為裁縫道具は持って行くことにした。ミシンは流石に無理だったけど。後で送るとセルバが言う。
こうして私は数日遅れてバルトルトの待つ森の家に帰ることにした。
          
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