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秘密の多い魔力0令嬢の自由ライフ

嵐華子

73.偽物令嬢~クラウディアside2

 結局家族からの許しが得られず、レイヤード様とは学園に入学するまでまともに会う事は叶いませんでしたわ。
ですから学園に入学するのを今か今かと待ちわびておりましたの。

 入学するまでの間もレイヤード様のお噂はお友達とのお茶会やお手紙でお聞きしておりました。
他にも幸いな事にあの偽物令嬢は体が極端に弱く、うまくすればすぐにお亡くなりになるかもしれないとの噂も耳にし、レイヤード様ご一家の為にも早く死ぬべきだと私はお祈りしておりました。

 けれどさすが何処の馬の骨ともわからない出自だけありましたわ。
結局はしぶとくも少しずつ持ち直し、仮にもレイヤード様の兄にあたるバルトス様が学園で偽物令嬢を【天使】だなどとおっしゃっていると学園にご兄弟が通ってらっしゃるお友達から聞かされた時には絶望に打ちひしがれたものです。

 挙句の果てにはあのお優しくてお綺麗な私の義母となられるはずの叔母様が若くして逝ってしまわれるなんて。
叔母様の葬儀でしおらしくも悲しんだような顔をした偽物令嬢を初めて見たあの時、どれほどに憎々しく感じたことか。
今もそうですけれど疫病神としか思えませんわ。
葬儀の最中、叔母様もいなくなったのだからすぐにでも偽物は追い出すようご忠告して差し上げようと何度思った事か。
事前に家族全員から葬儀に参加したいのならお悔やみの言葉以外は一言も話さない事、決して何の騒ぎも起こさない事をよりによって魔法契約で縛られさえしなければ····。

 そして念願叶って何年振りかに学園でお会いしたレイヤード様は更に凛々しくなられてまるで王子様のようでした。
我が国の王太子殿下や王子殿下と並んでも全く見劣りしない私の王子様。
家柄も見目も魔術の腕も公爵令嬢たる私に相応しい運命のお相手。
だからこそ唯一の汚点であるあの偽物令嬢は排除すべきなのです。
でなければこの私の義妹になってしまいますもの。
そんな事は恥ずかしすぎて耐えられませんわ。
叔母様がいる間ならば本物の娘の代わりにお心をお慰めする身代わりも必要だったのでしょうが、お亡くなりになった今ならもう不必要なはずですもの。

 ああ、けれど身代わりの義妹とはいえ仮にも侯爵家であるグレインビル家に迎えたのですから突然数回しか会った事のない従妹から排除などと言われてもお優しいレイヤード様は戸惑われるわね。
それにレイヤード様も本物の妹がお亡くなりになった寂しさをあの偽物で埋めていたのだとしたら····。
だから少しずつ私の存在をレイヤード様にアピールしていきましたの。
はじめは従妹、いえ、妹として。

 そして半年経った頃からは徐々に私が女性である事を意識してもらえるように1年ほど時間をかけてスキンシップを増やして。
照れ屋なレイヤード様は困ったようなお顔で周りを気にしてかやんわり組んだ腕を外したりはなさったけれど、学園でのエスコートをお願いした時は明確に拒絶される事もありませんでしたわ。
何度かあったパーティーだけでなく一生に1度のデビュタントでも予定が合わなかったのを申し訳なく思われたのか全てお父様を通して断られましたけど、辺境領でもあるのだから何かしらお忙しいのは私も納得しておりましてよ。

 そして1年かけて憎からず想って下さると確信した私は改めてお父様にレイヤード様との婚約をお願い致しました。
学園のお勉強も常に筆記試験は学年で100人中20位以内になるよう頑張りましたのよ。
魔術試験は恥ずかしながら魔力が中程度しかなくて60位程度ですけれど、こればかりは魔力が足りないのだから仕方ありませんわよね。

 お兄様からは公爵令嬢だとその地位を明け透けに話したり、あの従妹を魔力が0だと馬鹿にするなら筆記試験は3位以内、魔術試験も10位以内は当然だと手厳しい事をおっしゃいましたわ。

 私が公爵令嬢なのは変えようもない事実ですからそれを主張するのは当然ですし、魔力が中等度あるのと0なのとでは比べるべくもなく私の方が秀でているのです。
あのような偽物令嬢など馬鹿にされて然るべきでしょうに。
けれどお兄様はまだ当主じゃありませんから気にする必要もありませんわね。
そう思って当主のお父様にお願いしましたのに、それなのに····。

 だから今度は周りを動かすことに致しましたの。
私には何人か取り巻きや高位貴族の友人もいますし、すでに社交界デビューも済ませてお茶会だって招待されますわ。
中にはあまり社交的ではない美形一家のグレインビル家の噂の真偽を知りたいという好奇心をお持ちの方もいらっしゃいますから、情報操作は容易くできました。
もちろんここでも将来あの偽物を追い出す時にレイヤード様達がむしろ同情されるような噂を仕込みました。
特にブルグル公爵家の双子とは話に花が咲きましたわ。

 最近はあまりお話しする機会はありませんけれど、お元気にされているのかしら。

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