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秘密の多い魔力0令嬢の自由ライフ

嵐華子

70.目障りな訪問者~レイヤードside

「やぁ、レイヤード、早かったね」
「父上、アリーは眠ったよ。
今のところ熱も出てないけど、やっぱり疲れてはいたみたい」
「もう、いい加減機嫌直してよ」

 僕はこの迷惑でしかない従兄妹を完全に無視すると決めた。

「レイヤード、私はガウディードと少し話すが、お前も同席するかい?」
「いえ、僕も疲れたから1度仮眠するよ」

 父上の申し出は断って僕に割り振られた部屋に向かう。
何か言いたそうな従妹は当然だけど無視だ。

「レイヤード様、お待ちになって」

 1つ年下の血縁者が追いかけてくるけど反応はしない。
思えば入学当初から何かと絡んできて鬱陶しかった。
最初こそ従兄に頼まれていたから絡んで来た時は仕方なく相手にしていたけど、下らない用件ばかりだし何度注意しても腕に胸を押し付けてきたりと距離感がどんどんおかしくなっていって今では嫌悪感した湧かない。

 一応は公爵家の令嬢だし、自分で動かず従兄から注意して貰っていたけど、全く改善しなかった。
それどころか最後は周りが勘違いするような言い回しで婚約者を装い始め、アリーについても排除するべきだなんて言い出したから父上から伯父上に直接伝えて貰った。

 魔力0で体も弱くて大方賤しい血が流れてる、価値がないなんて言葉を許す訳がない。

 さすがに父親からかなりきつく言い渡されたんだろう。
彼女が入学して2年目にしてやっと近づいてこなくなった。

 ····1年間だけ。

 きっかけは去年あの王子が絡んだ例の大会だ。
だから正確には1年たっていないんだけど····家同士の約束事のはずなのに破るにしても早すぎる。
僕達家族がアリーを明らかに大事にしているのを目の当たりにして良くない何かを触発したらしい。

 今までのように直接的ではないけれど、僕の机やロッカーにアリーを中傷する手紙が入るようになった。
ご丁寧に筆跡を変え、何なら人を仲介してまでも渡してくる。
証拠を押さえてからはもちろん机やロッカーには魔法で対策をした。

 仮にも公爵令嬢だし、母上の生家だから静観している。
今は、だけどね。

「お待ちになってってば!」

 ドアノブに手を掛けたところで服の裾を引っ張られ、これまでの苛立ちに少しばかり沈んでいた意識が浮上する。

(気持ちが悪い)

「きゃっ」

 パチンと静電気レベルの電流を流す。
雷を落とそうかとも思ったけど、そこは理性が勝った。

 何かわめいていたけど無視して部屋に入って内鍵をかける。
念の為防音と鍵に固定化の魔法を掛けた。

 まさかこんな所まで追いかけてくるなんて。

 僕は特大のため息を吐く。
アリーと家族水入らずを楽しむ為にこの2週間は生徒会の補佐以上の仕事量はこなしてあげたのに、思わぬ伏兵が潜んでいたなんて。
ルドに狩猟祭と夜会でアリーに絡まれたくないなら手伝えって半ば脅しのように泣きつかれたのもあったけど。
これでまた妹になれなんて絡んだら完成した雷を応用した魔具の試し打ちをしてやる。

 父上が伯父上から連絡が来ていた事を話さなかったのはアリーの前で話したくなかったからだろうな。
アリーはとんでもなく察しが良いから僕の反応次第ではあの従妹と何かあった事をほぼ正確に察してしまいかねない。
そうなったら伯母上が気をつけていても間違いなくアリーは王妃の絡んだ貴族の黒い思惑が飛び交うお茶会で1人になる事を選ぶ。
ルドのお茶会ですらあのバカブルに即絡まれて誰もいないような場所で怪我をさせられた。
それくらい魔力0の幼い養女って立場は貴族に軽視されるのに、うちが魔術師家系なのも災いして関心を持たれているから今回のお茶会は気を付けないといけない。

 分かっていてもアリーは自分の不利益なんか度外視して僕達家族を害する人間にだけは関わるのを極端に避けるし、もし害したとわかれば容赦しないだろうから困ったものだ。
自惚れではなく僕達家族だけがアリーの中で愛する庇護すべき対象だ。
本当に過激なのはアリーなのに、僕達以外誰も気付いていない。

 いや、従妹を除けばあの一家は違うか。
父上と長く友人をやっているだけの事はある。
だから他の貴族が目にする前にあの従妹と僕の和解の機会か、もしくはアリーの手による矯正の機会を得ようとしたんだろう。
伯父上や従兄は何だかんだと1人娘で妹だから多分甘い。
伯母上は少し違うかな。
あの人は良くも悪くも高位貴族として生きている人だから。
アリーとは今回ほとんど初対面だから、試そうとでもしてるのかな。
何様だ。

(····あー、嫌だな。
気付きたくないのに気付いてしまったじゃないか)

 結局あの人達に搦め手を仕掛けられている。
もう狩猟祭なんか無視してアリーを連れ帰りたい。
父上も何だかんだで母上に関わる人には甘いんだから。
だけど僕もそうだったりする。

 アリー、こんな家族でごめんね。
でもきっと君は笑って頷くんだろうな。
自分もそうだから仕方ないって。

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