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秘密の多い魔力0令嬢の自由ライフ

嵐華子

69.従兄妹の訪問

 結論から言うと僕にとって2度目の義父様とレイヤード義兄様との家族水入らずでの別荘宿泊は無くなった。
というのも従兄妹2人が突撃来訪していたんだ。
一応義父様はここに到着する前に伯父様から通信用の魔具でお知らせされたらしいんだけど、僕達には何も言ってくれて無かった。

「叔父上、家族水入らずをお邪魔して申し訳ありません。
2人共久しぶりだね」
「叔父様、レイヤード様、申し訳ありませんわ。
お2人共お久しぶりですわ」

 すまなそうな金髪の美男と美少女。
どちらも伯父様似だけど翡翠色の目をした従兄様おにいさまの方は義母様みたいに優しげな印象かな。
こちらをチラッと見た後、僕以外の2人に挨拶した茶色の目の従姉様おねえさまは微かに残る記憶の伯母様にも似ている。

「久しぶりだね、ガウディード。
明日会うのだからと断りを入れたはずだけど、お父上に聞かなかったのかい。
今日は私の娘のアリーを出来るだけ休ませたくてね。
知っての通りこの子は体が弱いし見知らぬ催しに出るのもほとんど初めてだ。
羽虫のような些細な精神的負荷すら今は与えたくはないんだよ」

 あ、にこやかだけど義父様ちょっと怒ってる?
従姉様を完全に無視しちゃったし、羽虫って。
これには従姉様もまともに面喰ってるよ。

 従姉様はチラッと救いを求める目を義兄様に向けるけど、義兄様は僕の方を向いてただ今絶賛頭をナデナデ中で完全無視を決め込んでる。

「おや、そうだったんですか。
見切り発車してしまったので入れ違いになったんでしょう。
それから最初に言っておいた通り、クラウディア。
アリアチェリーナとまともに話すのは今日がほとんど初めてだっただろう。
まだ小さい従妹にはお前の方から歩み寄るよう言い含めていたんだけど、淑女教育や学園での学びが役に立たないほど緊張したのかい?」
「お、叔父様、お兄様····」

 うわぁ、美少女が顔面蒼白で半泣きだ。

「クラウディア従姉様、お久しぶりです。
お母様のお葬式の時はあまりお話しできなかったので、明日お会いするのを楽しみにしておりました。
社交界デビューをなされている従姉様と違って領からほとんど出る事が無いので明日のようなお茶会は初めてでとても緊張しておりましたの。
立場のある公爵家のお2人とご一緒出来る事をとても心強く思っております。
至らない事も多々あるでしょうが、お手柔らかに教えて下さると信じておりますわ」

 まだ今年16才とはいってもまだ社交界にデビューして間が無い15才の女の子だもんね。
気が強いって聞いてるし、公爵令嬢って立場のプライドもあるんじゃないかな。
高くなってたんだろう鼻っ柱を折るのは僕の家族で無くてもいいじゃない。
上手く取り繕えなかった一瞬のしかめっ面は見なかった事にして、明日の事もあるから一応の助け舟は出しておくよ。

「父様、今日はもう暗いからグレインビル領で兄様達と馬で駆け回ってた従兄様はともかく、従姉様に夜道は危ないと思うの。
特に狩猟祭でこの辺りの別荘を持つ貴族が集まる分、それを狙う夜盗だっているかもしれないし。
他に宿を取っていないようなら久々にお会いした従姉様が心配で私も気が気でなくなるかもしれないから今夜は私の為にもここで泊まって貰いたいな」
「わあ、さすがアリー。
もちろん俺も夜道は危ないと思うから、アリーの言葉に甘えさせてもらうよ。
いいでしょう、叔父上」

 うん、従兄様は伯父様に年々似てきて安定の面の顔が厚そうだ。
最初から義父様のNOの返事も予想して見切り発車したよね、絶対。
でも義母様にも似た面差しだからか何か憎めない愛らしさがあって義父様もあんまり強くは出ない。
ほら、ため息吐いちゃった。
美中年のため息の色気ハンパないね。

「叔父様、レイヤード様、それからアリアチェリーナ、ごめんなさい。
お気遣いをありがとう」

 申し訳なさそうなお顔はともかく、主語のないお気遣いへのお礼は僕にじゃないよね。
まだ義父様も正式に許可してないって気づいてる?
茶色の目は相変わらず僕を受け入れてはいないように見えるんだけど、もう少し取り繕えないかな?

「さ、アリー、疲れただろうからまずは僕たちの部屋で仮眠しようね。
ニーア、ついてきて」

 無言で観察してた義兄様が僕を縦抱きにして連れ去る。
もちろんニーアもその後に無言で続く。

「えー、アリーとお茶したくてうちの新商品持ってきたのに」

 な、何だと!
従兄様はカフェをいくつか経営していてそのケーキは王都でも有名だ!
ほら、僕が何年か前にブルグル公爵家から貰ったケーキがそれ。
でも僕がそこにいると間違いなく従姉様との火種になっちゃうんだけど····一瞬迷ったけど、僕のケーキセンサーには抗えない!

 僕は義兄様の肩越しにひょこっと顔を出す。

「従兄様、今から····兄様、ちょっ、走らないで、せ、せめて夕食後まで誰も食べちゃダメ~」

 歩みを早めた義兄様に輸送される僕の悲しげな声が響く。
どうせなら仮眠の前に一切れ食べたかった····。

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