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秘密の多い魔力0令嬢の自由ライフ

嵐華子

47.カオスな顔ぶれ

「な、だ、誰だ?!」
「アリー、私よりそんな胸だけの女を呼ぶなんて酷いよ」

 いや、王子はともかく義父様の発言おかしくない?
僕は今、猛烈に圧死と窒息死のダブルカウントダウンに突入している。
胸の谷間が強調されたドレスって立派な殺人兵器になるんだね。
息が全く出来ないくらい密着性が高いや。

「まあ!
久々に会えば胸だけなんて失礼な男ね!
もっと崇め奉りなさいよ!」
「断る。
そもそもアリーを窒息死させようとしているお前に言われたくない。
しかも凶器が私にない胸だなんて、下品極まりない」

 ねえ義父様?
そろそろ僕、その下品なお胸で物理的に死んじゃうよ?
義父様にないお胸ってどういう意味?
あったらビックリはするけどさ。

 とりあえずジタバタしてみたら、やっと解放してくれた。
ブハッて漫画みたいな息継ぎしちゃったよ。

「愛しいアリー、んー、チュッチュッ!」
「私のアリーに汚らわしいぞ、破廉恥女」
「はぁ?!
光の精霊の加護に何てケチつけんのよ!」

 と思ったら、僕のオデコと頬っぺにキスの嵐だ。
義父様と口喧嘩始めちゃうし、毎回思うけどこの2人の相性最悪だよ。

「ちょっと待ってくれ!
光の精霊?!
頼む、説明をしてくれ!」

 突然の展開についていけなくなったのか、王子は顔を赤くしたり青くしたりしながら僕を見て叫ぶ。

「煩いわね!
そもそもアンタが原因でアリーが命の危機にあるんだから、私とアリーの感動の再会に水刺すんじゃないわよ!」

 再会した途端に君のお胸で命の危機だったんだけどなぁ、僕。
でもそろそろ王子はキャパオーバーだよね。
てか闇の精霊さんから発せられる怯えがハンパない。

「えー、彼女が今回闇の精霊をかなりのペースで弱らせた光の精霊で愛称はフェル。
でも認めると言われてない人は名前を呼ばないで下さい。
後が面倒なので」
「ふん!
私のアリーを危険に晒すクソ王子とクソ闇になんか呼ばせるわけないじゃない!」
「····クソ王子····」

 うわぁ、泣きそうな顔して····闇の精霊さんなんてもう泣いてるよ?
さすがにちゃんと言わなきゃね。

「で、フェル?
こんなことして欲しいって頼んでないよ?
むしろこれって同族殺しじゃないの?」
「禁忌を犯した以上はその理から外れるわ」
「····言い方が悪かったね。
、と思った?」
「う····思ってないわ」

 精霊の愛は過激だから、フェルの行動は予測できたけど、これはやり過ぎだよ。

(この闇の精霊は、かつては君と同じく僕の精霊だったんだから、やり過ぎは許せないな)

「私が今何を思ったか、ちゃんと伝わったかな?」
「····ええ····悪かったわ」
「光の呪印を消してくれるよね?
今の闇の精霊さんでは対抗できないの、わかってるよね?」
「····わかったわ、アリー」

 しゅんとなったフェルはパチンと指を弾く。
石のくすみが消え、本来の輝きが戻る。

「精霊殿!」

 王子は歓喜の声をあげて駆け寄ろうとして、僕の前に仁王立ちしたフェルに頬を勢い良くビンタされた。
恐らく初体験じゃないかなぁ。
反動で倒れてお姉さん座りで頬を押さえて呆然としてるんだけど、何かのドラマでこんなシーン見たぞ。
まぁ精霊だから不敬にはならないからいいか。

「このクソ王子!
まだ終わってないわよ!」

 軽く修羅場だよね、このシチュエーション。
義父様はどうでも良さそう
僕はそっと視線を指輪に移す。

 石から黒い靄が出てきて少年の姿を形造るものの、向こうが透けて見えている。
彼はポロポロと涙をこぼして僕の前に立った。

「ごめんなさい····ごめんなさい!
嫌わないで!
ごめんなさい!」

 何度もごめんなさい、嫌わないでと謝り続ける。

「嫌わないし赦すよ、もちろん。
大丈夫、全部わかってるから。
まだ好きでいてくれて、ありがとう」

 そう言って少年に抱きつく。
僕の方が幾分背が低くて、抱きしめられる形になった。

 義父様、真横で殺気飛ばさないで。
仮にも弱った精霊さんを怯えさせないで。
でもそんな義父様も素敵だね。

 ひとしきり泣いて落ち着いた頃、僕は少し体を離して彼の顔を両手で包む。

「赦しを与えます」

 そっと瞼に口づける。
すると彼の透けた体がしっかりと濃く、存在感を増した。

「君に加護を」

 僕の精霊眼の方の瞼に口づけられた。

 いや、義父様、妖精の加護って貰ったらお得なんだよ!?
歯をギシギシしちゃダメだよ、義父様。
完全にこの子萎縮しちゃった。

「ムカつくわ、ド貧乳の小わっぱが」

 フェル、この子は一応性別男の子だからね。
地味に自分のお胸見ちゃったからね、僕。

「誰か····説明してくれないだろうか····駄目だろうか····」

 うん、未だに床に座ってる悲壮感漂う1番やらかした彼が1番可哀想に思えてきたよ。

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