【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語
85.気が抜ける~ナルバドside
「バドさん、起きて欲しいっす!」
「ペペ、もっと静かにノックしろ
夕飯の支度が出来たんで、今日は早めにしませませんか」
ドンドンと元気良く自室のドアを叩く音に目を覚ます。
この声はペペとダルシンだな。
そう言えば結局あの黒髪の子供にはあれから1度も会ってなかったけど、死んでないよな?
黒竜が殺りに来ないよな!?
離れを出たらそこで元気にノックしてる元部下に風で呼び出されるし、あの後は滅茶苦茶胃が痛くなったから結局自室で胃薬飲んで寝たんだったよ。
窓の外を見るともう日が落ちかけてる····ヤバイ、寝すぎたかも。
あの3人いると本当に気が抜けてしまう。
実は刻一刻と死の満月が近づくにつれて気が張りつめていってた。
ベッド脇には常に愛刀を置くようになった。
でも肝心のラスには、実は帰って来ないのを言い訳にして伝えてないんだ。
自分の番で惚れ抜いてる男に言える訳がない。
苦楽を共にしたお前の幼馴染がもう直ぐ完全な廃人になって死ぬか、場合によっては殺すなんてさ。
屋敷の家人達も俺が近衛から引き抜いた奴らばっかりだから俺の性格わかってるんだろうな。
多分あの3人を臨時で俺付きの家人やるように仕向けたんだろう。
主にデリカシーなんか皆無のマイペースなペペに。
「バドさーん、新作料理っすよ!
うまいっすよ!」
「ペペ、だから静かにだな····」
ドアの前で押し問答を始めた2人に苦笑しつつ、このまま今日は自室には戻らないから愛刀を腰から下げる。
近衛時代を思い出して気持ちが解れるのを感じながらドアを開け、3人で歩き始める。
「それで、あの子の様子はどうなんだ?」
「おっちゃんも人属用の薬は持ってなかったみたいっす。
とりあえず今はダルシンが定期的に氷魔法で体を冷やしてるっす」
「モンテが氷の塊を砕いて口に入れてるから水分補給だけは出来てるはずですが、相変わらず眠ったままです」
え、さすがにちょっと寝すぎじゃない?
マジで死にかけてない、それ····。
「····まずはその子の様子を見ようか」
「えー、料理冷めるっすよ」
「ペペ、レンの状態はおじさんも心配いらないって言ってたけど、ここまで眠り続けるのは流石に心配にもなるだろう。
人属の子供なんかこの国にはもういないって言われるくらい珍しいし、おじさんだって大人以外は診た事ないんだから」
え、おやっさん人属の子供診た事無かったんだ!?
よく考えたら鎖国して長いもんな。
大人の人属だって竜人の番が数名こっそり山奥とかで匿ってるくらいだし、子供なんか滅多にいないのも当然か。
ダルシンの言葉を聞いてちょっと急ぐ。
やや慌て気味であの子がいるはずの部屋にノックもせずに入れば、モンテもちょっとびっくりしていた。
「バドさん、どうしました?」
「いや、ちょっとその子が気になってさ」
浅くて少し早めの呼吸を繰り返しながらも大人しく眠っているらしい黒髪の少年の顔を改めて目にする。
随分整った顔立ちだったんだな。
見た感じ10才いかないくらいで明らかに非力そうだ。
こんな子供が人気のない隠し通路で寝転がってたとか、あのクソ虫達に何されたんだ。
まさかこんな子供に何かしら危害加えようとかは····いや、でもあのクソ虫もバカも竜人至上主義で最弱種の人属の人権なんかあり得ないって陛下の伴侶に嫌味言ってた連中の事だから····黒、だし、流石に孕み腹とまでは····でも顔が整いすぎてて庇護欲そそられまくり····。
「うん、城に返却するのはやっぱり無しだわ、コレ」
「え!
そんな事考えてたっすか!?
ジェロムさん以外に返すのはダメっす!」
ペペよ、だからしないって。
ちょこっとそういうの考えてただけだろ。
何で他の2人もそんな引いた顔で俺を見るんだ!?
「レン、最初手枷つけられて熱ももっと高くて大変な中で逃げてたんです。
僕ちゃんと明日にはジェロムさんの所に連れていくし、今夜は邪魔にならないようにレンの事守るから、追い出さないであげて下さい」
手枷!?
つうか、だからそんな事しないっつうに!
「いや、だからほとぼり冷めるまではここにいていいって。
モンテも目を潤ませるな、変な誤解に拍車をかけるな」
「では、しばらくここで預かってもらっても?」
「いいっつってるだろう!」
「良かったっす!
さすがバドさんっす!」
ダルシンもペペも俺の事どう思ってたんだよ!
はあ、マジで色々脱力するわ。
「とりあえずその子は今のところこのままモンテが面倒見てろ。
ほら、俺達は飯が冷めないうちに行くぞ」
「は!
そうっす、新作料理っす!
ほら、行くっすよ!」
「おい、押すな!
モンテ、後でこっちの部屋に飯運ばせるからお前も食えよ」
ペペの様子に苦笑しながら頷くモンテを残して今度こそ食事だ。
そして俺は過去最大にコイツらの料理を褒めた。
「トンカツ!?
チキンナンバン!?
何だ、コレ!?
めっちゃうまい!!
え、全部あの子の創作料理!?
コレ絶対うちで雇いたいヤツじゃんか!
とりあえずこの料理もソースもうちの料理人に絶対教えといて!!」
滅茶苦茶がっついた。
今日が今日とて今日の日だからこそ量が少なめだけれども!
何ならペペはもちろん、ダルシンとも初めて飯の奪い合いなんてやったけれども!
「いいだろう、お前ら自分で作れるんだから!
ちょっとは遠慮しろ!!」
と、叫んだ瞬間だった。
けたたましい爆発音が離れの方から上がったのは。
やっぱりか。
脳裏に蘇るのはあの冬月の満月の夜の惨状だ。
2人に目配せして、最後のトンカツ一切れをさっと奪って口に放り込んでわき目も振らず俺は走る。
後ろの恨めし気な2つの視線は無視だ、無視。
「ペペ、もっと静かにノックしろ
夕飯の支度が出来たんで、今日は早めにしませませんか」
ドンドンと元気良く自室のドアを叩く音に目を覚ます。
この声はペペとダルシンだな。
そう言えば結局あの黒髪の子供にはあれから1度も会ってなかったけど、死んでないよな?
黒竜が殺りに来ないよな!?
離れを出たらそこで元気にノックしてる元部下に風で呼び出されるし、あの後は滅茶苦茶胃が痛くなったから結局自室で胃薬飲んで寝たんだったよ。
窓の外を見るともう日が落ちかけてる····ヤバイ、寝すぎたかも。
あの3人いると本当に気が抜けてしまう。
実は刻一刻と死の満月が近づくにつれて気が張りつめていってた。
ベッド脇には常に愛刀を置くようになった。
でも肝心のラスには、実は帰って来ないのを言い訳にして伝えてないんだ。
自分の番で惚れ抜いてる男に言える訳がない。
苦楽を共にしたお前の幼馴染がもう直ぐ完全な廃人になって死ぬか、場合によっては殺すなんてさ。
屋敷の家人達も俺が近衛から引き抜いた奴らばっかりだから俺の性格わかってるんだろうな。
多分あの3人を臨時で俺付きの家人やるように仕向けたんだろう。
主にデリカシーなんか皆無のマイペースなペペに。
「バドさーん、新作料理っすよ!
うまいっすよ!」
「ペペ、だから静かにだな····」
ドアの前で押し問答を始めた2人に苦笑しつつ、このまま今日は自室には戻らないから愛刀を腰から下げる。
近衛時代を思い出して気持ちが解れるのを感じながらドアを開け、3人で歩き始める。
「それで、あの子の様子はどうなんだ?」
「おっちゃんも人属用の薬は持ってなかったみたいっす。
とりあえず今はダルシンが定期的に氷魔法で体を冷やしてるっす」
「モンテが氷の塊を砕いて口に入れてるから水分補給だけは出来てるはずですが、相変わらず眠ったままです」
え、さすがにちょっと寝すぎじゃない?
マジで死にかけてない、それ····。
「····まずはその子の様子を見ようか」
「えー、料理冷めるっすよ」
「ペペ、レンの状態はおじさんも心配いらないって言ってたけど、ここまで眠り続けるのは流石に心配にもなるだろう。
人属の子供なんかこの国にはもういないって言われるくらい珍しいし、おじさんだって大人以外は診た事ないんだから」
え、おやっさん人属の子供診た事無かったんだ!?
よく考えたら鎖国して長いもんな。
大人の人属だって竜人の番が数名こっそり山奥とかで匿ってるくらいだし、子供なんか滅多にいないのも当然か。
ダルシンの言葉を聞いてちょっと急ぐ。
やや慌て気味であの子がいるはずの部屋にノックもせずに入れば、モンテもちょっとびっくりしていた。
「バドさん、どうしました?」
「いや、ちょっとその子が気になってさ」
浅くて少し早めの呼吸を繰り返しながらも大人しく眠っているらしい黒髪の少年の顔を改めて目にする。
随分整った顔立ちだったんだな。
見た感じ10才いかないくらいで明らかに非力そうだ。
こんな子供が人気のない隠し通路で寝転がってたとか、あのクソ虫達に何されたんだ。
まさかこんな子供に何かしら危害加えようとかは····いや、でもあのクソ虫もバカも竜人至上主義で最弱種の人属の人権なんかあり得ないって陛下の伴侶に嫌味言ってた連中の事だから····黒、だし、流石に孕み腹とまでは····でも顔が整いすぎてて庇護欲そそられまくり····。
「うん、城に返却するのはやっぱり無しだわ、コレ」
「え!
そんな事考えてたっすか!?
ジェロムさん以外に返すのはダメっす!」
ペペよ、だからしないって。
ちょこっとそういうの考えてただけだろ。
何で他の2人もそんな引いた顔で俺を見るんだ!?
「レン、最初手枷つけられて熱ももっと高くて大変な中で逃げてたんです。
僕ちゃんと明日にはジェロムさんの所に連れていくし、今夜は邪魔にならないようにレンの事守るから、追い出さないであげて下さい」
手枷!?
つうか、だからそんな事しないっつうに!
「いや、だからほとぼり冷めるまではここにいていいって。
モンテも目を潤ませるな、変な誤解に拍車をかけるな」
「では、しばらくここで預かってもらっても?」
「いいっつってるだろう!」
「良かったっす!
さすがバドさんっす!」
ダルシンもペペも俺の事どう思ってたんだよ!
はあ、マジで色々脱力するわ。
「とりあえずその子は今のところこのままモンテが面倒見てろ。
ほら、俺達は飯が冷めないうちに行くぞ」
「は!
そうっす、新作料理っす!
ほら、行くっすよ!」
「おい、押すな!
モンテ、後でこっちの部屋に飯運ばせるからお前も食えよ」
ペペの様子に苦笑しながら頷くモンテを残して今度こそ食事だ。
そして俺は過去最大にコイツらの料理を褒めた。
「トンカツ!?
チキンナンバン!?
何だ、コレ!?
めっちゃうまい!!
え、全部あの子の創作料理!?
コレ絶対うちで雇いたいヤツじゃんか!
とりあえずこの料理もソースもうちの料理人に絶対教えといて!!」
滅茶苦茶がっついた。
今日が今日とて今日の日だからこそ量が少なめだけれども!
何ならペペはもちろん、ダルシンとも初めて飯の奪い合いなんてやったけれども!
「いいだろう、お前ら自分で作れるんだから!
ちょっとは遠慮しろ!!」
と、叫んだ瞬間だった。
けたたましい爆発音が離れの方から上がったのは。
やっぱりか。
脳裏に蘇るのはあの冬月の満月の夜の惨状だ。
2人に目配せして、最後のトンカツ一切れをさっと奪って口に放り込んでわき目も振らず俺は走る。
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