異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。
第82話:弱肉強食
皇紀2223年・王歴227年・晩春・ロスリン城
「閣下、キンロス地方とフリーマン地方の一部の騎士が、こちらの命に従わず、勝手に聖堂騎士団のいなくなったアザエル教徒の土地を奪っております」
朝一でアイザックから嫌な報告を受ける事になった。
「王国宰相であるカンリフ王国公爵に勝ち、宰相からは宰相代理に任じられ、皇帝陛下にからは侯爵に任じられた俺の命に逆らって勝てると思っているのか。
まさか、軍神と呼ばれるヘッドフォート東国宰相家を味方につけたのか」
「はい、元々キンロス地方の一部は、キャルム様がヘッドフォート東国宰相家の養子になる前に、実家の父が王家に多額の寄付をして男爵領として領有しておりました。
その関係もあり、アザエル教団に抵抗する騎士達が、キャルム様がトーフィッケン地方の子爵や伯爵であった時代から、支援を受けて戦っていたのです。
フリーマン地方の騎士達は、領主である公爵家の当主と嫡男を追放して、庶子を擁立して傀儡としておりました。
聖堂騎士団を失う前のアザエル教団とは持ちつ持たれつでやっておりました」
うん、アイザックは律義に改めて説明してくれているけれど、周辺地方の事は以前から報告を受けていたから、キャルムの事は知っていたよ。
信じられないくらい狂信的で正義感を持っていて、しかも軍神とまで褒め称えられるキャルムとは、できる事なら戦いたくないと思っていた。
だが事ここに至っては、何らかの戦いを始めるしかない。
「両地方の連中は、聖堂騎士団を失って弱体化したアザエル教徒を襲ったのか。
だが、俺に襲いかかってきたアザエル教団の聖堂騎士団は、大半がスティントン地方とレイ地方の連中だったはずだ。
両地方の損害は軽微だ、そう簡単に負けるとは思えないが、どうなっているのだ」
「はい、キンロス地方のアザエル教団は、我らの侵攻に備えるために、多くの聖堂騎士を南に振り向けていたため、北の地を奪われました。
ですが我が軍がスティントン地方とレイ地方の再建に力を入れている事を知り、全戦力を北に向けて奪われた土地に奪還を目指しております」
「それで、フリーマン地方はどうなっている」
「フリーマン地方の騎士達は、今まで手を携えていたアザエル教団の聖堂騎士団を、侵攻してくるだろう我らにどう対抗するか相談するためと言って呼び出しました。
これからも一緒に戦うと決めて、聖堂騎士団を油断させたところで、酒宴を開いて強かに酔わせて抵抗できなくなったところを、皆殺しにしたそうでございます」
「なるほど、主君を追い出して幼い子供を傀儡にするだけの事はある。
笑ってしまうくらい悪辣非道だが、乱世に相応しい決断ではあるな」
「ある意味そうかもしれません」
「キンロス地方のアザエル教団が、ヘッドフォート東国宰相家の傀儡騎士達を押し戻しているというのなら、フリーマン地方は我らとしか領地を接していないのだな」
「はい、領内の聖堂騎士団を皆殺しにして、キンロス地方の聖堂騎士団が北に向かっている状態では、我ら以外に敵がいない状態だと思われます」
「アザエル教徒を皆殺しにして全ての土地を奪って力をつけた状態で、俺とヘッドフォート東国宰相を天秤にかけて、有利な条件を出す方に付く気だな」
「その通りかと思われます」
「俺がヘッドフォート東国宰相と戦う方がカンリフ公爵も安心するだろう。
約束通り主力軍を四カ国に張りつけなければいけない状況にしてやろう。
そしてカンリフ公爵がどう動くか見極める」
「御意」
「閣下、キンロス地方とフリーマン地方の一部の騎士が、こちらの命に従わず、勝手に聖堂騎士団のいなくなったアザエル教徒の土地を奪っております」
朝一でアイザックから嫌な報告を受ける事になった。
「王国宰相であるカンリフ王国公爵に勝ち、宰相からは宰相代理に任じられ、皇帝陛下にからは侯爵に任じられた俺の命に逆らって勝てると思っているのか。
まさか、軍神と呼ばれるヘッドフォート東国宰相家を味方につけたのか」
「はい、元々キンロス地方の一部は、キャルム様がヘッドフォート東国宰相家の養子になる前に、実家の父が王家に多額の寄付をして男爵領として領有しておりました。
その関係もあり、アザエル教団に抵抗する騎士達が、キャルム様がトーフィッケン地方の子爵や伯爵であった時代から、支援を受けて戦っていたのです。
フリーマン地方の騎士達は、領主である公爵家の当主と嫡男を追放して、庶子を擁立して傀儡としておりました。
聖堂騎士団を失う前のアザエル教団とは持ちつ持たれつでやっておりました」
うん、アイザックは律義に改めて説明してくれているけれど、周辺地方の事は以前から報告を受けていたから、キャルムの事は知っていたよ。
信じられないくらい狂信的で正義感を持っていて、しかも軍神とまで褒め称えられるキャルムとは、できる事なら戦いたくないと思っていた。
だが事ここに至っては、何らかの戦いを始めるしかない。
「両地方の連中は、聖堂騎士団を失って弱体化したアザエル教徒を襲ったのか。
だが、俺に襲いかかってきたアザエル教団の聖堂騎士団は、大半がスティントン地方とレイ地方の連中だったはずだ。
両地方の損害は軽微だ、そう簡単に負けるとは思えないが、どうなっているのだ」
「はい、キンロス地方のアザエル教団は、我らの侵攻に備えるために、多くの聖堂騎士を南に振り向けていたため、北の地を奪われました。
ですが我が軍がスティントン地方とレイ地方の再建に力を入れている事を知り、全戦力を北に向けて奪われた土地に奪還を目指しております」
「それで、フリーマン地方はどうなっている」
「フリーマン地方の騎士達は、今まで手を携えていたアザエル教団の聖堂騎士団を、侵攻してくるだろう我らにどう対抗するか相談するためと言って呼び出しました。
これからも一緒に戦うと決めて、聖堂騎士団を油断させたところで、酒宴を開いて強かに酔わせて抵抗できなくなったところを、皆殺しにしたそうでございます」
「なるほど、主君を追い出して幼い子供を傀儡にするだけの事はある。
笑ってしまうくらい悪辣非道だが、乱世に相応しい決断ではあるな」
「ある意味そうかもしれません」
「キンロス地方のアザエル教団が、ヘッドフォート東国宰相家の傀儡騎士達を押し戻しているというのなら、フリーマン地方は我らとしか領地を接していないのだな」
「はい、領内の聖堂騎士団を皆殺しにして、キンロス地方の聖堂騎士団が北に向かっている状態では、我ら以外に敵がいない状態だと思われます」
「アザエル教徒を皆殺しにして全ての土地を奪って力をつけた状態で、俺とヘッドフォート東国宰相を天秤にかけて、有利な条件を出す方に付く気だな」
「その通りかと思われます」
「俺がヘッドフォート東国宰相と戦う方がカンリフ公爵も安心するだろう。
約束通り主力軍を四カ国に張りつけなければいけない状況にしてやろう。
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「御意」
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