異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。
第71話:懊悩
皇紀2223年・王歴227年・早春・ロスリン城
「俺は一旦居城に帰って、自由都市のアザエル教団と背後にいるベリアル教団に備えるから、後の事はお前達に任せる」
「「「「「はい」」」」」
「決して民を害するな」
「「「「「はい」」」」」
「それが例えアザエル教団の狂信者であろうと、農民や職人として普通に働き税を納めると言うのなら、俺は彼らを領民として扱う。
不当に扱う者は、例え一族の者であろうと譜代の重臣であろうと処刑する。
だが同時に、俺に刃向かう者は絶対に許さん、情け容赦なく殺せ、分かったか」
「「「「「はい」」」」」
俺はアザエル教団の支配地方に侵攻した自軍の将兵に厳しい訓示を与えた。
武器を取って攻め込んできた狂信者は絶対に許さないが、村にいた者は謀叛人の家族であろうと連座処分になどしない。
それでなくても戦国乱世で人間が激減しているのだ。
豊かな土地があるのに耕す者がいなくて、放棄されている農地があるのだ。
それに魔境であろうと、それなりに訓練された騎士や猟師がいれば、幾らでも獲物を狩ることができるのだ。
だから、むやみやたらに人殺しをする気はない。
同時に、必要な虐殺を厭う気もない。
そうでなければ二十万もの狂信者を殺したりはしない。
だが今回の件はどこまでやるのかが悩ましい。
一応前世の記憶を基に政教分離を図ることにしている。
全く違う異世界と言うか、東西の文化文明をごった煮したような世界で、どれだけ日本の史実を参考にしていいか分からないが、俺は理想を追うと決めている。
しかし、理想を追った結果、味方に背かれる可能性もある。
徐々に愛着がわいている家族に刃を向けられるのは正直辛い。
いや、それでも絶対にやらなければいけない事だ。
このまま放置してしまったら、ベリアル教団は俺を舐めてさらに増長する。
自分達教団に逆らう王国貴族などいないと更に傍若無人な態度を取る。
支配下の別教団を使って民に法外な利息で金を貸し、返さないと農地はもちろん女房子供まで質にとって奴隷にする。
単に奴隷にするだけではなく、女子供に売春までさせている。
それで皇室と皇国を守護するこの国で一番権威のある教団だと言うのだから、それを知ってからずっと怒りを超えて殺意を持っていたのだ。
今回プランケット湖を往く我が家の輸送船団を拿捕した自由都市の連中は、俺の仕掛けた罠を見抜けなかったアザエル教団の狂信者共だ。
俺が四地方連合の聖堂騎士団二十万に惨敗するとか考えたのか、聖堂騎士団が有利になるように陽動作戦をしたのかは分からないが、愚かな事に敵対行動をとった。
その連中を皆殺しにするのは決まっているのだが、問題はベリアル教団の方だ。
自由都市はとてもややこしい存在で、土地はベリアル教団の物なのだが、領民の大半はアザエル教団の狂信者なのだ。
まず間違いなく、ベリアル教団は、俺がアザエル教団の狂信者を虐殺するのを止めようとする。
それでアザエル教団に恩を売ると同時に、全ての貴族に急成長著しい俺ですらベリアル教団には逆らえないのだと見せつけるだろう。
その時、俺がベリアル教団の殲滅に動いても家臣達はついてくるだろうか。
「ハリー様、自由都市のアザエル教団より使者が参りました」
「俺は一旦居城に帰って、自由都市のアザエル教団と背後にいるベリアル教団に備えるから、後の事はお前達に任せる」
「「「「「はい」」」」」
「決して民を害するな」
「「「「「はい」」」」」
「それが例えアザエル教団の狂信者であろうと、農民や職人として普通に働き税を納めると言うのなら、俺は彼らを領民として扱う。
不当に扱う者は、例え一族の者であろうと譜代の重臣であろうと処刑する。
だが同時に、俺に刃向かう者は絶対に許さん、情け容赦なく殺せ、分かったか」
「「「「「はい」」」」」
俺はアザエル教団の支配地方に侵攻した自軍の将兵に厳しい訓示を与えた。
武器を取って攻め込んできた狂信者は絶対に許さないが、村にいた者は謀叛人の家族であろうと連座処分になどしない。
それでなくても戦国乱世で人間が激減しているのだ。
豊かな土地があるのに耕す者がいなくて、放棄されている農地があるのだ。
それに魔境であろうと、それなりに訓練された騎士や猟師がいれば、幾らでも獲物を狩ることができるのだ。
だから、むやみやたらに人殺しをする気はない。
同時に、必要な虐殺を厭う気もない。
そうでなければ二十万もの狂信者を殺したりはしない。
だが今回の件はどこまでやるのかが悩ましい。
一応前世の記憶を基に政教分離を図ることにしている。
全く違う異世界と言うか、東西の文化文明をごった煮したような世界で、どれだけ日本の史実を参考にしていいか分からないが、俺は理想を追うと決めている。
しかし、理想を追った結果、味方に背かれる可能性もある。
徐々に愛着がわいている家族に刃を向けられるのは正直辛い。
いや、それでも絶対にやらなければいけない事だ。
このまま放置してしまったら、ベリアル教団は俺を舐めてさらに増長する。
自分達教団に逆らう王国貴族などいないと更に傍若無人な態度を取る。
支配下の別教団を使って民に法外な利息で金を貸し、返さないと農地はもちろん女房子供まで質にとって奴隷にする。
単に奴隷にするだけではなく、女子供に売春までさせている。
それで皇室と皇国を守護するこの国で一番権威のある教団だと言うのだから、それを知ってからずっと怒りを超えて殺意を持っていたのだ。
今回プランケット湖を往く我が家の輸送船団を拿捕した自由都市の連中は、俺の仕掛けた罠を見抜けなかったアザエル教団の狂信者共だ。
俺が四地方連合の聖堂騎士団二十万に惨敗するとか考えたのか、聖堂騎士団が有利になるように陽動作戦をしたのかは分からないが、愚かな事に敵対行動をとった。
その連中を皆殺しにするのは決まっているのだが、問題はベリアル教団の方だ。
自由都市はとてもややこしい存在で、土地はベリアル教団の物なのだが、領民の大半はアザエル教団の狂信者なのだ。
まず間違いなく、ベリアル教団は、俺がアザエル教団の狂信者を虐殺するのを止めようとする。
それでアザエル教団に恩を売ると同時に、全ての貴族に急成長著しい俺ですらベリアル教団には逆らえないのだと見せつけるだろう。
その時、俺がベリアル教団の殲滅に動いても家臣達はついてくるだろうか。
「ハリー様、自由都市のアザエル教団より使者が参りました」
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