異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。
第69話:交渉戦後編・ノア視点
皇紀2223年・王歴227年・早春・カンリフ公爵の居城
「率直に申し上げさせて頂きますが、我が家も王国貴族でございます。
座して滅びる訳には参りませんので、カンリフ公爵閣下が攻めて来られるのであれば、全力で抵抗させていただきます」
「王国貴族なら当然の事だな」
「ですが、孫には皇帝陛下を担いで天下を乱す気などありません。
一族から出た皇帝陛下の愛妾が、寒い冬に薪一つ満足に買えないどころか、毎日の食事さえ満足に食べられない状態を、座してみている事ができなかっただけでございます。
カンリフ公爵閣下には厳しい言い方をさせていただきますが、ハーパー殿がフリーク侯爵に嫁がれた時の条件通り、ご実家に十分な支援をしていてくだされば、ハリーが苦しい状態で遣り繰りしながら支援する必要はなかったのです」
「約束通りの支援ができなかった事は、確かにこちらが悪かった。
その事に関しては率直に詫びよう。
だが、御隠居殿も知っての通り、我らも存亡の危機に立たされていたのだ。
支援できない状態であったのだ」
「でしたら、こちらの支援に関して邪推するのは止めていただきたい」
「いいや、だからこそ、ハリー殿の支援がただ事とは思えん。
我らも苦しかったが、ハリー殿の苦しさは我ら以上であったはずだ。
しかも皇帝陛下の依頼を受けて、シェフィールド騎士家が奪っていた皇室直轄領を、全軍を率いて取り返している。
何か心に秘したる事があるに違いない。
ハリー殿は天下を望んでいるのではないのか、そう考えて当然ではないかな」
「はっきり申し上げますが、ハリーから天下を望むと聞いた事は一度もありません。
ハリーから聞いているのは、天下泰平を望むと言う事だけです」
「その天下泰平を己の手で成し遂げると思っているのではないか」
「カンリフ公爵閣下、もしハリーがそれを望んだとしたら、閣下との決戦は避けられず、皇都は灰燼に帰してしまうではありませんか。
末端の兵が暴走してしまったら、閣下やハリーが望むと望まざると、皇帝陛下を弑逆してしまうかもしれません。
ハリーはそのような危険を絶対に犯しません」
「ならば、ハリー殿は我と戦う気がないと言うのだな」
「たった一つの条件を除けば、戦う気はありません。
その証拠に、過去一度も皇都に兵を向けた事はありません」
「ふむ、たった一つの条件とは、我らが皇帝陛下に弓引かぬ事か」
「左様でございます、カンリフ公爵閣下」
「ではハリー殿は我に臣従してくれるのか」
「それはできかねます」
「我らが皇帝陛下に弓引く可能性があるというのか」
「いったん臣従してしまったら、理不尽な命令にも従わねばなりません。
従わなければ謀叛になります。
僅かでもその危険がある限り、臣従はできません」
「我が皇帝陛下に臣従し、神に皇帝陛下に弓引かぬと誓ったら、ハリー殿は他の王国貴族に先駆けて臣従してくれるのか」
「カンリフ公爵閣下が皇帝陛下に臣従を誓われ、皇帝陛下が閣下に王国の設立を認められ、ハリーに東方と北方の王国貴族の切り取り勝手を認めていただけるのなら、喜んで臣従させていただく事でしょう。
その間に閣下は怨敵を滅ぼされればいいのです」
「率直に申し上げさせて頂きますが、我が家も王国貴族でございます。
座して滅びる訳には参りませんので、カンリフ公爵閣下が攻めて来られるのであれば、全力で抵抗させていただきます」
「王国貴族なら当然の事だな」
「ですが、孫には皇帝陛下を担いで天下を乱す気などありません。
一族から出た皇帝陛下の愛妾が、寒い冬に薪一つ満足に買えないどころか、毎日の食事さえ満足に食べられない状態を、座してみている事ができなかっただけでございます。
カンリフ公爵閣下には厳しい言い方をさせていただきますが、ハーパー殿がフリーク侯爵に嫁がれた時の条件通り、ご実家に十分な支援をしていてくだされば、ハリーが苦しい状態で遣り繰りしながら支援する必要はなかったのです」
「約束通りの支援ができなかった事は、確かにこちらが悪かった。
その事に関しては率直に詫びよう。
だが、御隠居殿も知っての通り、我らも存亡の危機に立たされていたのだ。
支援できない状態であったのだ」
「でしたら、こちらの支援に関して邪推するのは止めていただきたい」
「いいや、だからこそ、ハリー殿の支援がただ事とは思えん。
我らも苦しかったが、ハリー殿の苦しさは我ら以上であったはずだ。
しかも皇帝陛下の依頼を受けて、シェフィールド騎士家が奪っていた皇室直轄領を、全軍を率いて取り返している。
何か心に秘したる事があるに違いない。
ハリー殿は天下を望んでいるのではないのか、そう考えて当然ではないかな」
「はっきり申し上げますが、ハリーから天下を望むと聞いた事は一度もありません。
ハリーから聞いているのは、天下泰平を望むと言う事だけです」
「その天下泰平を己の手で成し遂げると思っているのではないか」
「カンリフ公爵閣下、もしハリーがそれを望んだとしたら、閣下との決戦は避けられず、皇都は灰燼に帰してしまうではありませんか。
末端の兵が暴走してしまったら、閣下やハリーが望むと望まざると、皇帝陛下を弑逆してしまうかもしれません。
ハリーはそのような危険を絶対に犯しません」
「ならば、ハリー殿は我と戦う気がないと言うのだな」
「たった一つの条件を除けば、戦う気はありません。
その証拠に、過去一度も皇都に兵を向けた事はありません」
「ふむ、たった一つの条件とは、我らが皇帝陛下に弓引かぬ事か」
「左様でございます、カンリフ公爵閣下」
「ではハリー殿は我に臣従してくれるのか」
「それはできかねます」
「我らが皇帝陛下に弓引く可能性があるというのか」
「いったん臣従してしまったら、理不尽な命令にも従わねばなりません。
従わなければ謀叛になります。
僅かでもその危険がある限り、臣従はできません」
「我が皇帝陛下に臣従し、神に皇帝陛下に弓引かぬと誓ったら、ハリー殿は他の王国貴族に先駆けて臣従してくれるのか」
「カンリフ公爵閣下が皇帝陛下に臣従を誓われ、皇帝陛下が閣下に王国の設立を認められ、ハリーに東方と北方の王国貴族の切り取り勝手を認めていただけるのなら、喜んで臣従させていただく事でしょう。
その間に閣下は怨敵を滅ぼされればいいのです」
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