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悪役令嬢戦記:死ぬしかない悪役令嬢に転生したので、無双を目指す事にしました。

克全

第39話:閑話・従軍神官

 オードリー様お陰で貧しい生活から抜け出すことができました。
 教会の人間を恐れて隠れる必要もなくなりました。
 恩師を殺したメイシン教団の連中も手出しできません。
 教会には多くの派閥がありますが、特にお金と権力に妄執るするのがメイシン教団派の連中なのです。
 だからこそ、逆に力を持つ者には露骨に媚びるのです。

「司教様、ケガ人をお願い致します」

 傭兵の人達が負傷した戦友を連れてきます。
 最悪の状況なら、手持ちの回復薬をその場で使う事も許されています。
 ですが余裕がある時は、私達従軍神官の所に連れて来る事になっています。
 回復薬と快復薬はとても貴重で高価な物です。
 哀しい事ですが、中には使ったと偽って着服しようとする者もいます。
 それを防ぐためにも、通常は私達が使う事になっています。

「分かりました、ご自身の回復薬を使っていただきます。
 使った分は私が補充品をお渡しします」

 胃が、胃が痛いです。
 銅級でも高価な回復薬と快復薬です。
 それなのに、私が預かっている薬は鉄級銀級どころか金級まであるのです。
 大量の薬を預かる責任はとても重く、毎日胃の痛い思いをしています。
 ですが、子供達の食べ物を確保するために残飯を漁っていた頃を思えば幸せです。

「ありがとうございます、司教様」

 司教様、そう呼ばれる事にも未だに慣れません。
 あのお優しく威厳も備えられた恩師と同じ司教と呼ばれるなんて、居たたまれないのですが、子供達を護るためだと言われればお受けするしかありませんでした。
 教会の、メイシン教団の連中から子供達を護るには地位が必要なのは分かります。
 王都にいる間はオードリーお嬢様の庇護の下にいられます。
 ですが、万が一オードリーお嬢様が亡くなられでもしたら……

「司教様、お顔が怖いよ」

 いけません、子供達に不安を与えてはいけません。

「大丈夫よ、ちょっと考え事をしていただけよ。
 私の事よりお仕事は終わったの、みんなケガしていない」

「お仕事終わったよ、誰もケガしていないよ」

 子供達に与えられた仕事、それは薬の材料となる薬草や果実を集める事です。
 私が教会で学んだことよりも、とても難しく繊細な作業です。
 最初は子供達にできるのか心配でしたが、とても丁寧にやってくれます。
 これが日々食べている美味しい食事になる、とオードリーお嬢様に教えていただいてからは、土のひとかけらも残さず、わずかな痛みも丁寧に分けてくれます。

「そう、それはよかったわ。
 確認に行くと伝えてきてちょうだい」

「はい、司教様」

 また魔法袋を使う事になるのですね。
 子供達には見せられないので、心の中でため息をつきます。
 容量の大きな魔法袋が、私などが考えられないくらい高価なのは分かっています。
 大きな容量の魔法袋を一つ持つよりも、少ない容量の魔法袋を複数持つ方が安く済むのは頭では分かっています。

 ですが、だからといって、魔法袋を五つも持たせるのは止めてください。
 その容量の少ない魔法袋でもそれなりの家が一軒建てられるのですよ。
 回復薬用と薬草用、食料用と野営用、最後に予備だなんて、私には必要ありませんオードリーお嬢様。
 子供達のためだと言って、魔法袋を渡すのはもう止めてください。

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