悪役令嬢戦記:死ぬしかない悪役令嬢に転生したので、無双を目指す事にしました。

克全

第36話:第二傭兵団

 私が最初に集めた王都の貧民で編制された第一傭兵団。
 一番狩りの経験が多く、モンスター相手とはいえ戦い慣れています。
 装備も王家の正規軍以上に充実していて、戦っても負ける事はないです。
 そんな第一傭兵団を率いて大魔境に奥深くに入るのです。
 私がこの国の女王に相応しい人間である事を証明して、戦うことなくエストリア帝国が介入しないようにするのです。

 まあ、私が女王に戴冠することはありません。
 好きでもない相手と政略結婚させられるのは嫌ですから。
 この世界で生きていかなければいけないのなら、精一杯楽しみます。
 この世界を楽しめるようにするための努力は惜しみません。
 私を殺す可能性もある兄上に面倒な国王の役目を押し付けさせていただきます。

「クローディア、第二傭兵団の準備はできましたか」

「はい、いつでも第一傭兵団の代わりに動けるようにしてあります」

 第二傭兵団、彼らは公爵家に味方してくれていた貴族家の貧民です。
 どの貴族家でも領地経営はとても大変なのです。
 領内の生産力は限られていて、生まれてくる人間をすべて養えないのです。
 奴隷のような扱いを受けようとも、生きて行ける者はまだマシです。
 餓死するか、王都に出て一旗揚げようとするか、最悪の場合は生きるために盗賊に成る者までいます。

 まあ、真っ当な性格の人間ならば冒険者になります。
 座して死を待つ気もなく、人殺しをするような悪人でもなければ、運と実力しだいで正当に大金を稼げる冒険者を選ぶでしょう。
 ですが、冒険者として働けるようになるまでには時間がかかります。
 最低でも十二歳くらいまでは生きていかなければなりません。
 その年齢まで生きられる子供はほとんどいません。

 だから、子供を売るか殺すかしなければいけないくらい貧しい親を、私が傭兵として雇うと味方の貴族に伝えたのです。
 良心的な貴族は、領内の貧民を自由にしてくれました。
 中にはわずかな税でも失うのが嫌だと貧民を手放さなかった貴族もいましたが。
 そんな貧民が公爵領にもいた事に自責の念も感じました。
 第二傭兵団はそんな貧民から編制された五千人の部隊です。

 第一傭兵団に比べたら、狩りの経験はとても少ないです。
 指揮官に命令される事にも慣れていません。
 ですが、武器や防具は第一傭兵団と同じ物を貸し与えています。
 叩き合いになったら、逃げださないかぎり王家の正規兵が相手でも負けません。
 問題は貴族や騎士相手に怯むことなく戦えるかです。
 まあ、その辺は魔境で狩りの経験を積めば大丈夫でしょう。

「第三傭兵団の準備はできていますか」

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