悪役令嬢戦記:死ぬしかない悪役令嬢に転生したので、無双を目指す事にしました。
第11話:軍隊蟻1
「お嬢様、これは異常過ぎます、直ぐに撤退しましょう」
確かにこれは、クローディアの言う通り異常過ぎますね。
私が創った設定では、軍隊蟻の全長は二メートル以内でした。
ですが目の前にいる軍隊蟻は三メートル前後の全長です。
群れの設定も一〇〇頭以内にしていたのに、見える範囲にいる軍隊蟻だけで五〇〇頭は超えていて、全体で一〇〇〇頭以上いる可能性もあります。
この世界は本当に私の創ったゲームの世界なのでしょうか。
もしかしたら単に夢を見ているだけなのでしょうか。
あるいは私の死後に大きな設定変更をされてしまったのでしょうか。
こんな大きな変更をされてしまったら、私の持っている知識だけで対処できるとは思えなくなります。
「お嬢様専属護衛の一班は最後までお嬢様から離れない事。
二班は最後尾を護って盾になりなさい。
三班は二班が全滅したら時間稼ぎの盾になりなさい」
クローディアが私を逃がすために非情な命令を下しました。
普通なら絶対に私に計ってから物事を決めるクローディアが、私に聞く事も、私の指示を待つ事もなく命令したという事は、本気で危険だと思っているのです。
ですが、このクローディアの命令は認められません。
私が生き残るために、忠実な家臣を死なせる事など絶対にできません。
「待ちなさい、クローディア。
まずは私に攻撃をさせてちょうだい」
「いけませんお嬢様。
この軍隊蟻の群れに戦いを挑むなど、無謀過ぎます」
「ええ、分かっているわ、クローディア。
でもね、ブルーデネル公爵家の令嬢である私が、一度も戦うことなく魔獣の背中を見せる事などできないのよ。
そんな事をしてしまったら、ブルーデネル公爵家の誇りと名誉が地に落ちるわ」
「それは違います、お嬢様。
勝てるように準備をするために一度撤退する事は、戦術なのです」
「それも分かっているわ、クローディア。
でもね、家臣を犠牲にして逃げるわけにはいかないのよ。
せめて私の魔力が半分になるまで位は戦って、距離と時間を稼ぐわ。
距離と時間を稼いで、家臣を死なせないようにしてから撤退するのよ、いいわね」
「……仕方ありませんね。
ですが、少しでも危険だと思ったら、お嬢様を抱えて逃げますからね」
何とかクローディアに戦う事を認めてもらえました。
本当は、こんな無駄話をしている間に逃げるか戦うか決断すべきなのです。
わずかな会話の時間が、生死を分ける事も珍しくないのが実戦です。
普段のクローディアなら、こんな会話など断ち切って、私を抱いて逃げています。
クローディアがそれをしなかったのは、私が魔術発動の準備をしていたからです。
三百の金級風魔術を周囲に待機させているのを見て、認めてくれたのです。
「ハイエリアウィンドソード」
確かにこれは、クローディアの言う通り異常過ぎますね。
私が創った設定では、軍隊蟻の全長は二メートル以内でした。
ですが目の前にいる軍隊蟻は三メートル前後の全長です。
群れの設定も一〇〇頭以内にしていたのに、見える範囲にいる軍隊蟻だけで五〇〇頭は超えていて、全体で一〇〇〇頭以上いる可能性もあります。
この世界は本当に私の創ったゲームの世界なのでしょうか。
もしかしたら単に夢を見ているだけなのでしょうか。
あるいは私の死後に大きな設定変更をされてしまったのでしょうか。
こんな大きな変更をされてしまったら、私の持っている知識だけで対処できるとは思えなくなります。
「お嬢様専属護衛の一班は最後までお嬢様から離れない事。
二班は最後尾を護って盾になりなさい。
三班は二班が全滅したら時間稼ぎの盾になりなさい」
クローディアが私を逃がすために非情な命令を下しました。
普通なら絶対に私に計ってから物事を決めるクローディアが、私に聞く事も、私の指示を待つ事もなく命令したという事は、本気で危険だと思っているのです。
ですが、このクローディアの命令は認められません。
私が生き残るために、忠実な家臣を死なせる事など絶対にできません。
「待ちなさい、クローディア。
まずは私に攻撃をさせてちょうだい」
「いけませんお嬢様。
この軍隊蟻の群れに戦いを挑むなど、無謀過ぎます」
「ええ、分かっているわ、クローディア。
でもね、ブルーデネル公爵家の令嬢である私が、一度も戦うことなく魔獣の背中を見せる事などできないのよ。
そんな事をしてしまったら、ブルーデネル公爵家の誇りと名誉が地に落ちるわ」
「それは違います、お嬢様。
勝てるように準備をするために一度撤退する事は、戦術なのです」
「それも分かっているわ、クローディア。
でもね、家臣を犠牲にして逃げるわけにはいかないのよ。
せめて私の魔力が半分になるまで位は戦って、距離と時間を稼ぐわ。
距離と時間を稼いで、家臣を死なせないようにしてから撤退するのよ、いいわね」
「……仕方ありませんね。
ですが、少しでも危険だと思ったら、お嬢様を抱えて逃げますからね」
何とかクローディアに戦う事を認めてもらえました。
本当は、こんな無駄話をしている間に逃げるか戦うか決断すべきなのです。
わずかな会話の時間が、生死を分ける事も珍しくないのが実戦です。
普段のクローディアなら、こんな会話など断ち切って、私を抱いて逃げています。
クローディアがそれをしなかったのは、私が魔術発動の準備をしていたからです。
三百の金級風魔術を周囲に待機させているのを見て、認めてくれたのです。
「ハイエリアウィンドソード」
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