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悪役令嬢戦記:死ぬしかない悪役令嬢に転生したので、無双を目指す事にしました。

克全

第10話:侍女心

「お嬢様、それは危険過ぎます、お止めください」

 クローディアが本気で止めてきます。
 まあ、その気持ちは分かります。
 狩りを始めてたった二日で、恐ろしく危険な軍隊蟻を狩ると言ったのです。
 普通なら正気を疑うか、常識を知らずと叱り飛ばすところです。
 ですが私は、常識からは遠く離れた存在なのです。

「クローディアも昨日の広域魔術を見たでしょう。
 角兎は軍隊蟻よりも小さいのよ。
 その小さい角兎の急所を、的確に魔術で攻撃したでしょ。
 今回も軍隊蟻の急所を貫くから大丈夫よ」

「しかしお嬢様、軍隊蟻は強固な外骨格に覆われています。
 腹部はやわらかですが、腹部を攻撃しただけでは即死させられません」

「大丈夫よ、何も心配はいらないわ。
 私は風魔術で軍隊蟻の首の付け根を狙って、一撃で切り飛ばすわ」

「お嬢様、軍隊蟻の首と胴体のすき間はとても狭いのです。
 それに、すき間とはいってもとても固いのですよ」

「心配してくれてありがとう、クローディア。
 でも大丈夫よ、何も心配いらないわ」

「ですがお嬢様、万が一の事がありましたら、公爵閣下に申し訳がありません」

 心配してくれるのはありがたいですが、軽くて頑丈な軍隊蟻の外骨格は、私設傭兵団の鎧や盾にするのにどうしても必要なのです。
 軍隊蟻の牙を槍先に使えば、鉄製の鎧など簡単に貫けます。
 王子ルートで王国軍と戦う時はもちろん、兄ルートで公爵軍と戦う時を考えれば、どうしても大量の素材を確保しておきたいので、ここで引くわけにはいきません。

「ではクローディアが安心できるように、私の実力を見せておきましょう。
 あの大岩と、そこの大木を、風魔術で断ち切って見せましょう」

 私は全長二メートルくらいの大岩と直系二メートルくらいの魔樹を指さしました。
 この二つを風魔術で断ち切ることができれば、軍隊蟻の外骨格でも断ち切れます。
 断ち切れないとしても、破壊力で内部にダメージを与えられます。
 実戦経験の豊富なクローディアなら、実力さえ証明すれば、感情よりも利益を重視してくれるはずです。

「……仕方ありませんね、やってみてください。
 ただし、私が書き加えた印に沿って的確に断ち切ってください。
 軍隊蟻は角兎よりも動きが遅いとはいっても、生きて動いているのです。
 それくらいの事はやっていただかないと、我儘をお認めするわけにはいきません」

 クローディアは何でも反対という訳ではなく、私の事を思って反対してくれているのが分かるので、ちゃんと実力を証明しなければいけない気持ちになります。
 だからクローディアが書き記した印に沿って断ち切りました。
 大岩と魔樹の二つだけでなく、同時に百の魔樹も断ち切りました。
 材木として使ってもいいですし、素材に使う事もできます。

「ここまでしていただいた以上、お認めするしかありませんね。
 ですがお嬢様、的確に狙った場所に攻撃する事と、破壊力が強いのは別ですよ」

 仕方のないやんちゃな子、という優しい目で見られながらお小言をいただくと、心が温かくなりますね。

「分かっていますわ、クローディア。
 全ては王家の刺客を止めるためです。
 死にたくないからやるのです。
 だから私なりに万全を期していますから、安心してください」

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