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散文と祝祭

捨無

停車駅


駅に着いた
長い旅の停車駅
人々は降りていって
次の発車を待つ

そこは寂れた無人駅
見るべき山や海はなく
青々とした平野の只中

列車はまだ出ない
駅を出た人々は
どうやらバラバラに歩いていった

車掌が検札に来た
この列車はいつ出るのか
彼は微笑み
いつでも出られますとだけ

プラットホームに降りる
珍しく灰皿があった
レールを曲げた鉄骨 錆びかけのトタン屋根
煙草の灰を皿に落として
発車のベルが鳴り響く

重くコトコトと走る気動車
そういや何処へ行くんだっけ
さっきの座席に落ち着いて
動き出した車窓を眺める

行き先も分からないのに
なぜか不安も感じない
次の駅はどこに着くのか
まだワクワクしたままに

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