あの時はこんなことを感じ考えた。今はどう?(心の混沌を言語化するプロジェクト)

ありを・アッと・ノベルバ

10.空想の夏


今だから言える

僕は高校生くらいまで
重い厨二病を患っていた



昔は流行りの歌には興味がなくて
代わりによく聴いていたのが
好きな映画やドラマの主題曲だった
特にドラマは毎週のように観るから
その音楽は映画よりもよく聴いた

むろん恋愛ものなどには目もくれず
太陽に向かって吠える刑事とか
江戸を隠密に守る闇の同心とか
仕留めて仕置きする裏稼業とか
およそ現実離れしたドラマばかり観た
始まりの曲には呆れるほど毎回血が騒いだ

その余韻はTVの前を離れても残り
登下校や塾の行き帰りなど何かにつけ
脳内にそういうテーマが流れた

そして曲が流れている間の僕の心は
完全に「彼ら」と一体になっていた

末期的ともいえるこの症状は
中学前半に発症し高校後半
いや大学の一年頃まで
ずいぶん長く続いた気がする

だが安心して欲しい

そんなイタタな病状も
勉学あるいは恋愛に勤しむ中で寛解期に入り
就職・結婚などしてからこのかた
すっかり忘れてしまっていたほどだ

ゴリさんも山さんもテキサスも
死しても屍拾われぬツワモノも
昼行灯も坊主上がりの骨接ぎも
今や遠き人々忘却の彼方である

これはもう自然治癒した
完治したと言っていいのではないか

そう思っていた矢先

夜の帰り道で先ごろ頭に浮かんだ言葉が
いい感じのリズムになりそうだったので
続く言葉を指折り数えながら歩いてた

そうしてできた下の句に…

戦慄した





暗闇で 輝(ひか)るスマホに 血が騒ぐ
「選ばれし者 世界を救え」

(*`・ω・)ゞ

これは紛れもなく病の再発である
ただ…キャラクターは違うようだ





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(写真を近況ノート”「10.空想の夏」のこと”に載せました)

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