夢の世界はカオスが満ちる!

カビさせ

夢とフジと僕

あなたは普段どんな夢をみますか?

その夢の内容は楽しいものであったり、

また、悲しいものでもあったりするの
でしょうか、

それは人それぞれなのでしょう。

しかし少なくともこの男、出雲カナタは
毎晩悪夢にうなされているそうです。

もう少しこの男のことを紹介しますね。

20才で無職、アルバイト。

しかし1人暮しなのでアルバイトの
収入だけでもこの人は暮らせてるそうです。

1人暮しと紹介しましたが、正確には
1人と1匹で、犬を飼っています。

名前はちゅちゅ。

特徴は艶のある白い体毛と、
余裕で床に引きずる長い耳。

あまり紹介しすぎても面白くないので
これくらいにしときましょうか。

最後に1つ、

みんなには是非この物語を読んで欲しい。

なぜなら、これからこの男に起こることは、
とっても愉快で、とってもカオスだから!



















第1話   夢とフジと僕



「な、で、、な、でウ、ハな、よ、」

「な、でカナタじ、ない、、な、で、」

「ウ、ハを、か、して、」
           
                    、
                    、
                    、
                    、
(ん、あれ、寝てた、のか、)

目をあけるとパソコンのモニターにいつも

見ているゲーム実況者の動画が映っていた。

どうやら寝落ちしていたらしい。

時計の針は午前の2時を指している。

(ちゅちゅにご飯あげた後にバイト行くか、)

カナタはちゅちゅの存在が生き甲斐だった。

裏を返せば、それはちゅちゅ以外に
自分が生きている意味を見いだせない、
とても自分の人生に冷めている男だった。

(俺の人生のランクってどれくらいなん
だろうか?10段階だったら1か2、
ちゅちゅがいるから1はないか、) 

こんなことをバイトに行く途中に
考えながら行くのがカナタの癖である。

本人も自覚している事だが、
無論良くない癖である。

「おはようございます。」

「あれっ、出雲さんはやくないですか?」

「微妙な時間に起きてしまったので、」

「そうですか、じゃあ私少し早めに
あがりますね。」

この無愛想な女の子はひとみちゃん。

カナタと話してくれる唯一の女の子だ。

「わっ、出雲さんまた目の下のくま酷くな
ってませんか?」

「まじか、ちゃんと寝てきたのに、」

「どれくらい寝たんですか?」

「3時間くらい、」

ひとみちゃんは普段笑わない系の人だが、
柄にもなく笑ってしまった。

カナタが冗談を言っていると思ったのだろう。

「出雲さんのものさしおかしいですよw
ほんとにちゃんと寝た方がいいですよ。」

「それが寝たくてもねれないんだよねー、
寝る度に嫌な夢を見るんだよ、内容は
覚えてないけどそれのせいで寝れないんだ。」

彼女はそうですかと言ってレジ打ちに戻った。

カナタはひとみちゃんとの会話がすきだった。

(ひとみちゃんと一緒に暮らせたら俺の人生にも色がつくのだろうか、)

カナタはもしひとみちゃんから、
好きです!付き合ってください!と
言われたら、迷わずお願いしますと返事を
するつもりでいるぐらいにひとみちゃんの
ことが好きである。
 
しかし、俺なんかがひとみちゃんの人生に
干渉してしまってよいのだろうかと思って
しまい、バイト先の友達という関係以上に
進展出来ずにいた。

ぼーっとレジ打ちしている内に日が昇り
始めていた。

バイトをしていると、驚く程に時間が
早く過ぎていく。

(もしかして、俺の人生はこのまま何の
アクションも無くあっという間に
終えてしまうのでは無いか!?)

カナタがそう思ってしまうほどに、
カナタの体感している時間は短かった。






帰り道にカナタは考えた。

(明日ひとみちゃんに告白しよう。

たとえふられてもいい。
 
もしこのまま何もしなかったら、
俺は多分すぐに死ぬ。絶対に。

ひとみちゃんにふられても俺には
ちゅちゅがいるから大丈夫だ、、、
だ、大丈夫なはずだから、
絶対に明日告白しよう!)

これに関しては、カナタにしては
大胆で良い思考である。

カナタがせっかくいい感じの心意気になった
のに、神様というのは天邪鬼なもので、

カナタが想像しているような明日は、

いや、明日以降の全ての日は、まったく

違うものになってしまうのだった。












家に着くと鍵がかかっていないことに
気づいた。

(あれ、鍵閉め忘れたっけ、) 

部屋に入ると小学生くらいの女の子がいた。

(!?!!?)

カナタは唖然としすぎて声が出なかった。

少女はちゅちゅを撫でながら男を見ている。

「あの、部屋間違えてない?
ここ204号室だけど、」 

「いや、間違ってないぞ。
お前出雲カナタだろ?」

カナタは自分の名前を言われて確信した。

(おそらく、この子は俺ん家の鍵を
開けて入ったな、大家さんに借りた?)

家にいたのが知らないただの大人だったら
すぐさま警察に通報して逃げるのだろうが、

自分のことを知っている、小さな女の子
というのもあり、冷静に対処していた。

「あれ、意外と肝座ってるのね、
もっと驚くかと思ったのに。」


「あの、君は、」

「あたしはフジ。あー、フジっていう
名前ね。」

「えーっと、どこから来たのかな?
ここの部屋の鍵って大家さんに借りた?」

「あのさぁ、質問は1回につき1個にしてよ、
あたしまだ日本語覚えたてなんだから。」

「えっ、あー、なるほどね。ごめん、
じゃあ何処から来たのか知りたいな。」

カナタはフジが日本語を割と流暢に
話すので、覚えたてと言ったのを冗談だと
思っていたが、フジの顔立ちがハーフぽかっ
たので、本当に日本語覚えたての外国人
かと思った。

(今気づいたけどこの子の顔すごく
整ってるなぁ、顔立ちも目の色も日本人
っぽくないし本当に日本語覚えたての
外国人なのかな?)

「あたしはアメリカから来たの。 
無論あんたに用があってね。」

「フジちゃんって俺の親戚だったりしない
よね?外国人っぽいし違うとおもうけど、
まあいいや、用ってなんなの?」

少女はやっとかといった様子で話す。

「とりあえずあんたの力が必要なんだ。
この世界を守るために。」

カナタは急に冷めてしまった。

この少女が自分のつまらない人生に
何かしら影響を与えてくれると思ったのに、
あまりに非現実的で厨二病なことを言う
ので、おちょくりに来ただけかと
ガッカリしてしまったからである。

「フジちゃん1人で家にかえれる?
フジちゃんの家の場所さえ教えて
くれれば家まで送ってあげるよ。」

フジは少し目を細めて言った。

「まあ、嘘と思われても仕方ないけど、
この世界を救うためにあんたが必要なの!
それに、日本にあたしの家はないし!
つか、どこにもないけど、」

カナタがまだ疑っているようなので、
フジはそのまま続けて言った。

「あたしのこと馬鹿にしてるみたいだけ
ど、あんたよりずっと頭良いんだかんね! 
あたしの在学してる学校教えてやろうか?
バーバード大よ!バーバード大。
あんたでも名前くらい知ってんでしょ!」

「あー、フジちゃんって頭いいんだね。
ほんとにバカにしてるつもりはないんだ。」 

「ほんとに?」

「うん。ほんと。だから世界を救う方法
教えてくれたらすぐに帰ってくれる?」

「バカにしてんじゃない!」

フジが少し半泣きになっていたので、
子どもの遊びに付き合うつもりで
聞いてあげた。


彼女が話した内容はだいたい
こんな感じだった。


みんな誰しも寝る時に夢を見ることが
あると思うけど、

それは自分の頭の中で起こっていこと
では無く、精神世界というところに、
みんなが実際に行って見ている光景らしい。

別にそれだけでは問題は無いのだか、
近頃、精神世界から精神世界にある
物が現実世界に出てきているそうだ。

精神世界にある物に、もし現実世界に
出てきてしまったら、この世界が
滅んでしまうレベルの物があるため、
それの対策が必要なんだとか。

(って、そんなこと言われても
信じられるわけないだろ。)





「何度も言うようだけど、この話は本当
なの!そうねぇ、分かりやすい話しで
いうなら、夢って自分の頭の中で起こって
いることのはずなのに、予想外のことが
起こったりするでしょ? 

その理由は、それが夢じゃなくて
みんな共有された場所で、自分の頭の
中で起こっていることじゃないからなの。

これで分かった?てか、もう分かって。」

「んー、じゃあわかったよ。

それでこの世界出てきたらやばい物って
結局なんなの?」

「まあ何個かあるけど、
まず1番やばいのは夢結晶の核ね。」

「夢結晶の核?」

「夢結晶の核っていうのは精神世界の
存在を支えてる動力源、簡単に言えば
名前の通り精神世界の核ね。」

「それがこの世界に出てきてたらどう
なるんだ?」

「んーとね、まだ夢結晶の核の正体の
詳細は明らかになっていないんだけど、

その核の温度は推定1.4×10の32乗あると
言われているわ。

まあバカにも分かりやすく説明するなら、
この温度は太陽を焼き尽くせるわね、
余裕で。」

(この子口は悪いけど、ほんとに頭良さ
そうだな。)

「あー、まあだいたい理解したけど、
なんで現実世界を救えるのが俺なのよ?」

「それはあんたの精神エネルギーがもの
すごく高いの。
それでもって明晰夢能力者。
こんな人間世界的に見ても数百人しか
いないわよ。
まああんた以外のその数百人に頼れば
同じことなんだけどね。
たまたま見つけたのがあんただったわけ。」

カナタはここら辺で子どもの悪ふざけに
しては、設定が細すぎると思い、
ほんの少しだけ信じ始めていた。

「そういえば、明晰夢って夢の中で、
自分の好きなことをできる能力の 
ことだっけ?」

「そうよ。よく知ってるわね。」

「でもさぁ、俺が見る夢ってほとんど
悪夢みたいな感じだし、なんか内容も
よく覚えてないことが多いんだけど、」

「それは、えっとね、、
なんでだろ、、、。」

カナタはまた疑い始めた。

「とりあえずそこはどうでもいいの。
明晰夢能力者であることが大事なんだ
から。
んじゃ、さっそくやりますか。」

フジはそう言うと自分のカバンから
小型の機械を出した。

「あんた明日バイトないよね?」

「なんで知ってるんだよ、」

「ここに吸盤みたいなのがあるでしょ?
これを頭のどこでもいいからつけて。」

フジはそう言うと、その機械を
渡してきた。

「いやいや、待って、何これ、これつけ
たら気絶したりしないよね?」

「するに決まってんでしょ。
精神世界に行くのに気絶しない方法
なんてあんた知ってんの?」

「確かにそうだけど、だいたい俺は
その精神世界?みたいなところに
行くってまだ言ってないじゃん。」

「あれ、とっくに決心着いたと思って
たのに、まああんたが手伝わなかった
せいでちゅちゅやひとみちゃんが 
死んでも後悔しないでよね。」

フジは目を細くしながら突き放す
ように言った。

(なんで俺が悪いみたいになってんだ?
てか、なんでひとみちゃんのこと知ってる
んだよ。)

カナタ渋々というより、面倒くさくなって
来たので協力することにした。

「分かった、試すだけ試してやる。
その変なやつをかしてくれ。
それを頭につけるんだろ?」 

「変なやつじゃなくて"リンカネクト”、
正式名称は11次元脳波補強繋縛機器って
いうんだ。」

「これをつけたらどれくらい気を
失うの?」 

「つけてから24時間ちょっきりだ。
トイレは済ませた方がいいぞ。
漏らしていいなら別だが。」

「そういうのは先に言ってくれよ、
じゃあ鍵閉めてちゅちゅに餌やって、
あとはなんかあるっけ?、」

「あー、ちゅちゅに餌あげなくていいぞ。」

「えっ?どゆこと?」 

「こいつはね、夢の産物なんだけど、
まあ話すと長くなるし今度にしてくれ。」

「えー、どうゆうことだよ、
もういいや、色々面倒くさいし餌はやる。」

「いらないって言ってんのに、」

「鍵は閉めたか?」

「うん、リンカネクトだっけ?
ちゃんと頭につけてやるからかしてくれ。」

(茶番にしては長すぎるし、でも信じられ
ない話しすぎるし、もうどっちでもいいや、
これ以上悩むのは、めんどくさい。)

「無論、あたしもついて行くから安心
しろよ!」

「変な世界行くかもしれないのに
小学生の女の子で安心出来るやつなんて
いねぇよ。」

「あたし大学生だから。」

カナタは頭にリンカネクトをつけた。

「おっけ、準備出来たらスイッチおすぞ!」

「いつでもどうぞ、」

(こいつテンション低いな、)

フジがスイッチを押すとリンカネクトが
変形して、さらに8つの吸盤が頭に
くっついた。

「うわっ、なにこれ?大丈夫なやつ?
これって、」

「落ち着けよ、それは、その、
とりあえずめちゃくちゃ大丈夫なやつ。」

リンカネクトをつけた頭の位置に少し
電流のようなピリッとした痛みを感じ、

それを最後の記憶にカナタは本当に精神
世界に旅立ってしまったらしい。

「おっ、成功したみたいだな!
じゃああたしもいくかー、」








程なくしてフジも精神世界に行った。

結局精神世界はあったらしい。

めんどくさがり屋ではあるが、自分の
人生に刺激を求めてもいたカナタにとって、
これは良いことなのだろうか? 

それはこれから起こること次第なのだ
ろうが、これから起こることに、
とっても愉快なことと、カオスなことが
あるのは、間違いない。



コメント

  • カビさせ

    どうも!作者のカビさせです!
    読んでくれた人は全員好き/////♥。

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