シーマン

文戸玲

肩パン


 関西では,自分の学年のことを回生で表現する。
 のんきな生活を送っていたおれたちは,そろそろ卒業単位や就職活動を意識する三回生になっていた。


「清介,今日暇やんな?」
「決めつけんなよ。暇だけど」
「忙しいなんて口が裂けても言えへんよな。女もいーひん。お前の横にいるんは,いつもおれだけやで」
「くだらないんだよ。要件は? どうせ飲みたいだけだろ」


 分かってるやん,と大貴は肩パンをすると,一方的に時間を告げて帰っていった。


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