元SSSランク冒険者だった咎人は脱走して人生をやり直す! ~幽閉された10年で鍛えた魔力は最強魔導士に~ 若返った俺を捕まえようとしてももう遅い!

チョーカー

不可思議な地下路と魔物

 攻撃パターンや攻撃のバリエーション。

 そういうものは、多ければ多い方が良いものなのだろうか?

 例えば、このメンバー……トール、レナ、グリアの3人。

 本来ならば剣士であるグリアが前衛として敵を引き付けながら攻撃。敵が自分を集中して襲うように誘導する役割もある。

 魔導士であるトールは支援攻撃。あるいは前衛が稼いだ時間を利用して大がかりな魔法を執行する。

 そして、回復術士と結界術士を1人で兼任しているレナが支援。必要とあらば攻撃にも転じる。

 これが基本的な戦術として考えるだろう。 しかし、問題が1つ。

 この3人……世界最高峰の前衛として機能するのだ。

 「この!」と攻撃を開始したグリアだったが、いきなりの空振りファンブル

 「危ない!」とトール。 「危険です」とレナ。

 2人が同時に前に出ようとしたため接触。 小柄なレナがよろめく。

 パーティ全体に大きな隙が生まれる。それを敵影は逃がさない。

「GOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」

 と原始的な武器である石の斧を振り回す魔物。

 その質量を前にグリアの脳裏に過ぎったのは――――

(気による身体強化を持っても耐えれるかしら……)
 
 けど、魔物が獲物を振り落とすよりも早く、後衛からの支援が入った。

華の盾フラワーシールド』」

 石斧はグリアの剣に接触する間もなく、弾かれた。

「ついでこれを―――『茨の罠スオントラップ』」

 地面が出現した茨が魔物を捕縛。 このタイミングでトールが動く。

『火球《ファイアボール》』

 高熱の閃光が魔物に直撃する。 トールの魔法発動が終われば、立っている魔物はいない。

 そこには、倒された魔物――――オーガがいた。 

「うん、やはり通常のオーガよりデカい。身長でも2倍以上はある」

「変ですね。今までは、地下路に合わせたように小柄な魔物が多かったのですが……広い空間に出たと同時に、こんなに大きな魔物が出現するなんて……」

「最初に地図を見た時は……これは、もしかしたら宝の地図でウハウハ! って可能性も高まってきましたね!」 

「……いや、その話は初耳だが、そんな事を考えていたのか?」

「あ、あれ……言っていなかったかしら? さ、さて、レナちゃん先へ急ぎましょう?」

「えっ? わぁ! グリアさん待ってください!」

 強引に引っ張るグリアに対して、レナは「ん~」と足を止めた。

「ん、ん? 何、レナちゃんどうかしたの?」

「少しだけ気になったのですが……私たち、コンビネーションが下手になってません?」

「……それは私も気にはなっていたところよ。トールさまはどう思います?」

「ん? 単純にブランクじゃないか?」

「ブランクですか?」とグリアとレナは声を合わせた。

「た、確かに最近は忙しかったですが、最後に3人で冒険に行ったのは、えっと……1か月前くらいですよ?」

「そうよ、いくらなんでも1か月でぐだぐだにならないと思うわ」

「いや、俺たちはパーティを組んで日が浅い。それを短時間高頻度で冒険にでていたから、戦闘の練度と言うのが高くなっていたんだ」

「……短時間で上達した技術は短時間で消失してしまうという事ですね」

「うん」とトールはレナの言葉に頷いた。

「え? それじゃ、どうしたらいいのよ!?」とグリア。

「いや、どうも何も、最初から連携の練習をやり直すしか……いや、ちょっと待てよ」

 途中で言葉を切ったトール。 2人に「静かに」と合図を送る。

 何が起きたのかわからないレナとグリアだったが、これ以上は詮索しない。

 トールが視線を向けた先に2人も神経を集中する。すると――――

「誰かいる。……これは人だ。魔物じゃない」

「――――っ!」と2人は驚くも「こんな場所に人間が!?」と驚きの声を出しそうになって我慢した。

 こんな場所に……だ。 こんな場所にいる者が普通の人間であるはずはない。

 警戒心を強めて、3人は人の気配を追っていく。

 

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