元SSSランク冒険者だった咎人は脱走して人生をやり直す! ~幽閉された10年で鍛えた魔力は最強魔導士に~ 若返った俺を捕まえようとしてももう遅い!
トールと水着選び
水着。 冒険者にとって水辺を舞台とする旅には必要不可欠な物だ。
水龍の鱗を伸ばし、特殊な加工を終えて繊維になったそれで作られた物。それが水着だ。
水中でも呼吸が可能であり、泳ぐ速度は魚に匹敵するという。
素材的に高価ではあるが、鱗1つで水着で1着が作れると考えれば非現実的な値段とはならない。
とは言え――――
トールは女性用水着売り場で1人待たせられていた。
「……俺がここにいなくても2人だけで買いにくればいいのでは?」
そんな独り言を漏らす。なぜなら、ジロジロと女性客が牽制するように離れて視線を向けてくるからだ。
「うむ、ひどく居心地が悪いな。もう、黙って帰ろうか」
そんな事すら脳裏に過ぎる頃合いだったが……
「あの、お待たせしました」とレナの声。
彼女が選んだのは極端に露出を抑えたワンピースタイプの水着だった。
フレアというのだろうか? トールは女性の水着に詳しくないが、ふわふわとしたディテールがキュートで彼女の持ち味を生かしている。
「どう……ですか? 変じゃない……ですかね?」
恥ずかし気に顔を染め、上目遣いの彼女。 普段と違う姿のためか、トールも少し狼狽えながら、
「似合ってる……少なくとも俺はそう思う」
「わぁい、ありがとうございます」と花が咲いたような笑顔だった。
「またせたわね! 貴方のグリアが来ましたよ!」
その姿は、堂々としていた。 まるで、「どこからでも、誰が見ても構わないわよ」と言っているようだった。
レナとは対極的に露出が多めの水着。 クロスデザインと言うらしい。
黒くセクシー系ではあるが、どこか上品さはなくなっていない感じがするのはグリア本人が持つ個性によるものだろうか?
「どうです? トールさま? そんなに照れずに誉めてくださいよ」
「そうだな……少し露出が多すぎる気もするが……」とトールも直視できないように視線を逸らす。
「あら、わかりますよ。私を独占した男心も、でも安心してください。私は他の男になびく事はありません!」
「いや、そういう意味じゃない」
「え? どうして、急に素になるんですか?」
「大げさに言われると、少し冷静になった」
「し、しまった。戦略ミスでした!」
頭を抱えてグリアはしゃがみ込んだ。
「それでは、トールさま。水着を選びましょう」とレナ。
「ん? 2人はそれで決めたんじゃないのか?」
「何を言ってるんです? トールさまの水着じゃないですか」
「え? 俺の水着を? 2人が選ぶのか」
「はい。先ほどグリアさんと話し合って決めました」
「その通りよ。すぐに男性物売り場に行きましょう」と復活したグリア。
「いや、まて。引っ張るな! ……それに2人共、商品の水着を着たままだろ? せめて会計を! 着替えてから……水着で店内を歩き回ろうとするな!」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
「はい、お客様は筋肉質なので、こちらでも似合いますよ」
「すまないが、露出が多すぎでは?」
「いえいえ、今時、男性でもTバックの水着くらい当たり前になってきています」
「いや、それはおかしい」
そう言いながら、グリアとレナの方を見ると2人は視線を不自然に逸らした。
なるほど……どうやら、トールに奇抜だったり、大胆なタイプの水着を穿かせようと裏で企んでいたようだ。
「いや、俺はこれでいいさ」と手に取ったのはトランクスタイプの水着だった。
「あっ! お客様! 試着はまだ……」
「いや、これでいい」と強い口調で良い会計をすませた。
トールが離れたのを確認して、残った2人は、
「うまくいきましたね」とレナ。
「そうね」とグリアは頷いて、こう続けた。
「いつもだったら、俺は水着なんて必要ない! なんて言い出しかねないからね」
「はい、下手をしたらハイド神父から借りるなんて言い出しかねないほど無頓着なので……」
「あのトールさまに水着を新調させる計画は大成功ね!」
そんな2人の思惑、トールは想像する事すらできず、当たり前のように水着を購入したのだった。
水着の他にも必要な道具などの準備を終わらせ、トールたちは明日、
出発の備えを終わらせた。
水龍の鱗を伸ばし、特殊な加工を終えて繊維になったそれで作られた物。それが水着だ。
水中でも呼吸が可能であり、泳ぐ速度は魚に匹敵するという。
素材的に高価ではあるが、鱗1つで水着で1着が作れると考えれば非現実的な値段とはならない。
とは言え――――
トールは女性用水着売り場で1人待たせられていた。
「……俺がここにいなくても2人だけで買いにくればいいのでは?」
そんな独り言を漏らす。なぜなら、ジロジロと女性客が牽制するように離れて視線を向けてくるからだ。
「うむ、ひどく居心地が悪いな。もう、黙って帰ろうか」
そんな事すら脳裏に過ぎる頃合いだったが……
「あの、お待たせしました」とレナの声。
彼女が選んだのは極端に露出を抑えたワンピースタイプの水着だった。
フレアというのだろうか? トールは女性の水着に詳しくないが、ふわふわとしたディテールがキュートで彼女の持ち味を生かしている。
「どう……ですか? 変じゃない……ですかね?」
恥ずかし気に顔を染め、上目遣いの彼女。 普段と違う姿のためか、トールも少し狼狽えながら、
「似合ってる……少なくとも俺はそう思う」
「わぁい、ありがとうございます」と花が咲いたような笑顔だった。
「またせたわね! 貴方のグリアが来ましたよ!」
その姿は、堂々としていた。 まるで、「どこからでも、誰が見ても構わないわよ」と言っているようだった。
レナとは対極的に露出が多めの水着。 クロスデザインと言うらしい。
黒くセクシー系ではあるが、どこか上品さはなくなっていない感じがするのはグリア本人が持つ個性によるものだろうか?
「どうです? トールさま? そんなに照れずに誉めてくださいよ」
「そうだな……少し露出が多すぎる気もするが……」とトールも直視できないように視線を逸らす。
「あら、わかりますよ。私を独占した男心も、でも安心してください。私は他の男になびく事はありません!」
「いや、そういう意味じゃない」
「え? どうして、急に素になるんですか?」
「大げさに言われると、少し冷静になった」
「し、しまった。戦略ミスでした!」
頭を抱えてグリアはしゃがみ込んだ。
「それでは、トールさま。水着を選びましょう」とレナ。
「ん? 2人はそれで決めたんじゃないのか?」
「何を言ってるんです? トールさまの水着じゃないですか」
「え? 俺の水着を? 2人が選ぶのか」
「はい。先ほどグリアさんと話し合って決めました」
「その通りよ。すぐに男性物売り場に行きましょう」と復活したグリア。
「いや、まて。引っ張るな! ……それに2人共、商品の水着を着たままだろ? せめて会計を! 着替えてから……水着で店内を歩き回ろうとするな!」
・・・
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「はい、お客様は筋肉質なので、こちらでも似合いますよ」
「すまないが、露出が多すぎでは?」
「いえいえ、今時、男性でもTバックの水着くらい当たり前になってきています」
「いや、それはおかしい」
そう言いながら、グリアとレナの方を見ると2人は視線を不自然に逸らした。
なるほど……どうやら、トールに奇抜だったり、大胆なタイプの水着を穿かせようと裏で企んでいたようだ。
「いや、俺はこれでいいさ」と手に取ったのはトランクスタイプの水着だった。
「あっ! お客様! 試着はまだ……」
「いや、これでいい」と強い口調で良い会計をすませた。
トールが離れたのを確認して、残った2人は、
「うまくいきましたね」とレナ。
「そうね」とグリアは頷いて、こう続けた。
「いつもだったら、俺は水着なんて必要ない! なんて言い出しかねないからね」
「はい、下手をしたらハイド神父から借りるなんて言い出しかねないほど無頓着なので……」
「あのトールさまに水着を新調させる計画は大成功ね!」
そんな2人の思惑、トールは想像する事すらできず、当たり前のように水着を購入したのだった。
水着の他にも必要な道具などの準備を終わらせ、トールたちは明日、
出発の備えを終わらせた。
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