元SSSランク冒険者だった咎人は脱走して人生をやり直す! ~幽閉された10年で鍛えた魔力は最強魔導士に~ 若返った俺を捕まえようとしてももう遅い!
特別指令 ミッション
2階、ギルド長室に移動した3人だった。しかし――――
「俺を誰だと思っている!」とか……
「世が世なら猟犬部隊の隊長だって……」とか……
「貴様の名前は覚えたからな! 正式に抗議してやる」
「必ず処分させてやる!」などなど。
聞くも堪えない罵詈雑言が室内まで聞こえてくる。
「これは酷いですね……」とレナ。
トールは「すまない。迷惑をかける」と頭を下げた。
「いえいえ、大丈夫ですよ。あれは正規の手順を取っていません。すぐに憲兵がやってくるでしょう。そうでなくとも……」
途中で言葉を止めたギルド長。
「?」とレナは疑問符を浮かべるもトールにはわかっていた。
冒険者には荒くれ者が多い。 その本拠地で騒いでいたら――――
「……静かになりましたね。きっと憲兵さんがやってきたのでしょう」とシレっとした顔で言うギルド長。
「ちなみに、憲兵に連絡したのは、どのくらい前だ?」
「ん~ あれ? いつだったかな? リリアちゃん、わかんない!」
「……(憲兵に連絡してないパターンだ)」
ギルド長は「さて……」と咳を1つ。
「あの看守が騒ぎ立てるのもギルドとしても、トールさんにしても困ると思うので、提案が1つあります」
「解決案があるのか?」
「はい、トールさんたちにギルドからの特別指令を受けてもらいます」
「特別指令!? ……ですか?」とレナは驚きを隠せなかった。
本来、冒険者ギルドは、依頼者と冒険者の仲介を行うのが役割だ。
その一方で特別指令とは、依頼者からの依頼ではない。
ギルド自体……あるいは、それ以上の行政が発動する緊急特別事態を解決するため冒険者への強制依頼。 それが特別指令である。
「でも、トールさまは冒険者に再登録したばかり……魔力測定の時に飛び級が認められましたが私と同じBランク冒険者ですよ?」
本来、特別指令が下るのは、その難易度の高さからAランク冒険者からとなる。
「うん、それがね……」
「何か謀ったのか? リリア」
「な、なんの事かな? この時期、Sランク以上の冒険者は出払っていて、じゃ魔導士として異常な数値を叩き出した新人の実力を見極めるために……って強行しただけだよ?」
「Sランク冒険者が全員、依頼を受けるなんて年末でもあるまいし……」
冒険者の繁忙期は年末となる。 冒険者ギルドが国からの支援金を年内に消費しなければ、予算多可として翌年の支援金を減らされる。
そのため、年末になると
「これ冒険者の仕事か? いや、成功報酬はバカ高だから良いけど!」
なんて声がする依頼が大量に発注されるのだ。
「ん~ 何て言いますか…… 元SSSランク冒険者のトールさんをギルドとして遊ばせてるわけにもいかないのです!」
「そう……なのか?」
「そうなのです!」とギルド長は立ち上がり、熱弁を振るう。
「無茶をしてBランク冒険者にねじ込んだのに、ここ数日2人は薬草狩りから初めて、今日は亜種ゴブリンの退治……さっさとドラゴンでも退治してSランク以上に昇格してください」
「ドラゴン退治って、随分と簡単に言うけど……」
「トールさんが持つ、現役時代のドラゴン討伐記録は今も塗り替えられていませんよ?」
「いやぁ……でもなぁ、俺は逃亡者なんだよ。あまり目立つ事はしたくないというか」
「いえ、十分に目立ってます」
「むっ!」と抗議の声を出そうとしたが、遮られ――――
「だったら、目立ちまくればいいのです。 逃亡犯トール・ソリットと同姓同名の凄い冒険者が現れたとなれば、いずれ誰も同一人物とは思わなくなり、あの看守みたいな人もいなくなる……そのはずです!」
「そうかな?」
「そうなのです! ちなみに特別指令は特別指令なので冒険者には拒否権は認められませんから!」
「そうか……じゃ、受けようと思うが、レナはどうする?」
「特別指令……わ、私が特別指令を受けれるなんて……大感動です!」
「はい、話は決定ね。 じゃ、これが資料だから目を通しておいてね!」
「うむ、ところで……」
「はい?」
「俺が特別指令を受けているから暫くギルドに現れませんって、あの看守を冒険者ギルドから遠ざけようとしていないか?」
「……その手がありましたか! 」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
1階に下りると、騒いでいた看守の姿は消えていた。
憲兵に連行されていったのだろう。きっと……
(いつもより、荒くれ冒険者の数が少ないのは、たまたまに違いない)
そう言い聞かせて、特別指令の資料を読んでいく。
「北の町で大型魔物が出現。 正体不明……これだけか」
「こんなに情報量が少ないものですか!?」とレナ。
「あぁ、情報収集も冒険者の役目だからな。 しかし、大型魔物の討伐指令か……」
「大型となれば2人では難しいですね。 臨時の仲間として冒険者を急募しましようか?」
「ん? いや、それは問題ないかな?」
「――――っ、やっぱり……何度もドラゴン討伐を成功させていると、大型魔物くらいなら1人でも勝てるのですね」
「お、応」と答えるトール。 キラキラと尊敬の眼差しのレナに動揺するのだった。
「俺を誰だと思っている!」とか……
「世が世なら猟犬部隊の隊長だって……」とか……
「貴様の名前は覚えたからな! 正式に抗議してやる」
「必ず処分させてやる!」などなど。
聞くも堪えない罵詈雑言が室内まで聞こえてくる。
「これは酷いですね……」とレナ。
トールは「すまない。迷惑をかける」と頭を下げた。
「いえいえ、大丈夫ですよ。あれは正規の手順を取っていません。すぐに憲兵がやってくるでしょう。そうでなくとも……」
途中で言葉を止めたギルド長。
「?」とレナは疑問符を浮かべるもトールにはわかっていた。
冒険者には荒くれ者が多い。 その本拠地で騒いでいたら――――
「……静かになりましたね。きっと憲兵さんがやってきたのでしょう」とシレっとした顔で言うギルド長。
「ちなみに、憲兵に連絡したのは、どのくらい前だ?」
「ん~ あれ? いつだったかな? リリアちゃん、わかんない!」
「……(憲兵に連絡してないパターンだ)」
ギルド長は「さて……」と咳を1つ。
「あの看守が騒ぎ立てるのもギルドとしても、トールさんにしても困ると思うので、提案が1つあります」
「解決案があるのか?」
「はい、トールさんたちにギルドからの特別指令を受けてもらいます」
「特別指令!? ……ですか?」とレナは驚きを隠せなかった。
本来、冒険者ギルドは、依頼者と冒険者の仲介を行うのが役割だ。
その一方で特別指令とは、依頼者からの依頼ではない。
ギルド自体……あるいは、それ以上の行政が発動する緊急特別事態を解決するため冒険者への強制依頼。 それが特別指令である。
「でも、トールさまは冒険者に再登録したばかり……魔力測定の時に飛び級が認められましたが私と同じBランク冒険者ですよ?」
本来、特別指令が下るのは、その難易度の高さからAランク冒険者からとなる。
「うん、それがね……」
「何か謀ったのか? リリア」
「な、なんの事かな? この時期、Sランク以上の冒険者は出払っていて、じゃ魔導士として異常な数値を叩き出した新人の実力を見極めるために……って強行しただけだよ?」
「Sランク冒険者が全員、依頼を受けるなんて年末でもあるまいし……」
冒険者の繁忙期は年末となる。 冒険者ギルドが国からの支援金を年内に消費しなければ、予算多可として翌年の支援金を減らされる。
そのため、年末になると
「これ冒険者の仕事か? いや、成功報酬はバカ高だから良いけど!」
なんて声がする依頼が大量に発注されるのだ。
「ん~ 何て言いますか…… 元SSSランク冒険者のトールさんをギルドとして遊ばせてるわけにもいかないのです!」
「そう……なのか?」
「そうなのです!」とギルド長は立ち上がり、熱弁を振るう。
「無茶をしてBランク冒険者にねじ込んだのに、ここ数日2人は薬草狩りから初めて、今日は亜種ゴブリンの退治……さっさとドラゴンでも退治してSランク以上に昇格してください」
「ドラゴン退治って、随分と簡単に言うけど……」
「トールさんが持つ、現役時代のドラゴン討伐記録は今も塗り替えられていませんよ?」
「いやぁ……でもなぁ、俺は逃亡者なんだよ。あまり目立つ事はしたくないというか」
「いえ、十分に目立ってます」
「むっ!」と抗議の声を出そうとしたが、遮られ――――
「だったら、目立ちまくればいいのです。 逃亡犯トール・ソリットと同姓同名の凄い冒険者が現れたとなれば、いずれ誰も同一人物とは思わなくなり、あの看守みたいな人もいなくなる……そのはずです!」
「そうかな?」
「そうなのです! ちなみに特別指令は特別指令なので冒険者には拒否権は認められませんから!」
「そうか……じゃ、受けようと思うが、レナはどうする?」
「特別指令……わ、私が特別指令を受けれるなんて……大感動です!」
「はい、話は決定ね。 じゃ、これが資料だから目を通しておいてね!」
「うむ、ところで……」
「はい?」
「俺が特別指令を受けているから暫くギルドに現れませんって、あの看守を冒険者ギルドから遠ざけようとしていないか?」
「……その手がありましたか! 」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
1階に下りると、騒いでいた看守の姿は消えていた。
憲兵に連行されていったのだろう。きっと……
(いつもより、荒くれ冒険者の数が少ないのは、たまたまに違いない)
そう言い聞かせて、特別指令の資料を読んでいく。
「北の町で大型魔物が出現。 正体不明……これだけか」
「こんなに情報量が少ないものですか!?」とレナ。
「あぁ、情報収集も冒険者の役目だからな。 しかし、大型魔物の討伐指令か……」
「大型となれば2人では難しいですね。 臨時の仲間として冒険者を急募しましようか?」
「ん? いや、それは問題ないかな?」
「――――っ、やっぱり……何度もドラゴン討伐を成功させていると、大型魔物くらいなら1人でも勝てるのですね」
「お、応」と答えるトール。 キラキラと尊敬の眼差しのレナに動揺するのだった。
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