【完結】好きな人にされたら嬉しい50のコト
Chapter.53
やっと月曜日。
約束はしていないけど、会えたらいいなと思ってまた学校へ行く。
由上さんの“隠れ家”にはまた猫ちゃんたちが集まっているのだろうか。気になるけど、断りも入れず行くのは悪い気がして図書室へ向かった。
受付で借りていた本を返却して、図書室の奥へ向かう。ロフトへ続く階段をのぼると、誰かの靴が見えた。今日は先客ありだ。
どうしよう、読みたい本、ロフトの棚にあるんだよな……。
そっと持ち出して階下の席で読めばいいかと思い直して階段をのぼり切ったら、その先客は由上さんだった。
机に突っ伏して寝息を立てている由上さんを起こさないように、そっと歩を進める。
いらしてたんだ……受付用紙で名前見かけなかったけど、違うページだったのかな。
机の上には勉強をしていたらしい痕跡が残っている。ノートに数式が途中まで書かれている。どうやら回答にたどり着く前に力尽きたらしい。
首、痛くならないのかな……。
ちょっと心配になって、顔をのぞき込む。長いまつげと白い肌、少し伸びてきた髪が流れて、スッと通った鼻筋にかかっている。なんだろう、なんだか色っぽい……。
漫画とか小説だと、ここでタイミング良く起きて目が合ってビックリ、みたいなことあるけど、現実にはそうそうないよね。
中腰だった姿勢を伸ばして、目当ての本を取りに棚へ向かう。
確かこの辺に……あった。
少し背伸びして目当ての本を棚から取り出した。
席どうしようかな。起きたときいきなり人がいたら怖いよね。残念だけど、下の階に陣取るか……。
本を抱えて振り返ったら、由上さんがこちらを見ていた。
柔らかなまなざしが持った光にドキリとする。
戸惑って思わず会釈したら、由上さんがふっと小さく噴き出した。右手を差し伸べて、向かいの席を勧めてくれる。
ありがとうございます、と口を動かして、椅子に座った。
由上さんはペンを取り、ノートに何か書いた。そのノートをこちらに向けてくる。最終ページの片隅に、由上さんの字が書かれていた。
【いつ来たの?】
ノートと一緒に差し出されたペンを使って、返事を書く。
【ついさっきです。】
私が返したノートを見て、由上さんは乱れた髪を手ぐしで掻きあげて苦笑した。
【恥ずかしいとこ見られちゃった】
【そんなことないですよ?】
【そう?ならいいけど】
由上さんの返事を読んで、笑みを浮かべながらうなずいた。
“恥ずかしいとこ”というより、可愛いとこ見れちゃった、って私は嬉しいんだけど、言われたらイヤかなって思って胸の中にしまった。
由上さんが勉強を再開したから、私も本を読み始める。
今度会ったらどんな風にしたらいいかなって悩んでたけど、由上さんはいつもと変わらない態度だったから、私もあまり意識しすぎないようにと考え直した。
* * *
本を読みふけっていたら、あっという間に時間が経っていた。由上さんが向かいの席に座っていたことも一瞬忘れていたくらい没頭してしまった。
うーん、面白い。今日はこの本、借りて帰ろうかな。
バッグの中からスマホを取って時間を確認する。時間は13時すぎ。
今日はいつもより遅めに到着したから、時間の進みが速く感じる。
メッセを送ろうかな、と思ったけど、さっきのノートでのやりとりが楽しかったから、それに倣ってメモ用紙にペンを走らせた。
【ご飯、食べましたか?】
そっとメモ帳を差し出したら、気づいた由上さんが少し嬉しそうにしてメモ帳を引き寄せた。
【まだ。食堂行く?】
由上さんが差し出したメモ帳に書かれたメッセージに返事を書いて、そっと差し出す。
【そうしましょう。】
私の返事を読んだ由上さんが笑顔でうなずいた。
* * *
約束はしていないけど、会えたらいいなと思ってまた学校へ行く。
由上さんの“隠れ家”にはまた猫ちゃんたちが集まっているのだろうか。気になるけど、断りも入れず行くのは悪い気がして図書室へ向かった。
受付で借りていた本を返却して、図書室の奥へ向かう。ロフトへ続く階段をのぼると、誰かの靴が見えた。今日は先客ありだ。
どうしよう、読みたい本、ロフトの棚にあるんだよな……。
そっと持ち出して階下の席で読めばいいかと思い直して階段をのぼり切ったら、その先客は由上さんだった。
机に突っ伏して寝息を立てている由上さんを起こさないように、そっと歩を進める。
いらしてたんだ……受付用紙で名前見かけなかったけど、違うページだったのかな。
机の上には勉強をしていたらしい痕跡が残っている。ノートに数式が途中まで書かれている。どうやら回答にたどり着く前に力尽きたらしい。
首、痛くならないのかな……。
ちょっと心配になって、顔をのぞき込む。長いまつげと白い肌、少し伸びてきた髪が流れて、スッと通った鼻筋にかかっている。なんだろう、なんだか色っぽい……。
漫画とか小説だと、ここでタイミング良く起きて目が合ってビックリ、みたいなことあるけど、現実にはそうそうないよね。
中腰だった姿勢を伸ばして、目当ての本を取りに棚へ向かう。
確かこの辺に……あった。
少し背伸びして目当ての本を棚から取り出した。
席どうしようかな。起きたときいきなり人がいたら怖いよね。残念だけど、下の階に陣取るか……。
本を抱えて振り返ったら、由上さんがこちらを見ていた。
柔らかなまなざしが持った光にドキリとする。
戸惑って思わず会釈したら、由上さんがふっと小さく噴き出した。右手を差し伸べて、向かいの席を勧めてくれる。
ありがとうございます、と口を動かして、椅子に座った。
由上さんはペンを取り、ノートに何か書いた。そのノートをこちらに向けてくる。最終ページの片隅に、由上さんの字が書かれていた。
【いつ来たの?】
ノートと一緒に差し出されたペンを使って、返事を書く。
【ついさっきです。】
私が返したノートを見て、由上さんは乱れた髪を手ぐしで掻きあげて苦笑した。
【恥ずかしいとこ見られちゃった】
【そんなことないですよ?】
【そう?ならいいけど】
由上さんの返事を読んで、笑みを浮かべながらうなずいた。
“恥ずかしいとこ”というより、可愛いとこ見れちゃった、って私は嬉しいんだけど、言われたらイヤかなって思って胸の中にしまった。
由上さんが勉強を再開したから、私も本を読み始める。
今度会ったらどんな風にしたらいいかなって悩んでたけど、由上さんはいつもと変わらない態度だったから、私もあまり意識しすぎないようにと考え直した。
* * *
本を読みふけっていたら、あっという間に時間が経っていた。由上さんが向かいの席に座っていたことも一瞬忘れていたくらい没頭してしまった。
うーん、面白い。今日はこの本、借りて帰ろうかな。
バッグの中からスマホを取って時間を確認する。時間は13時すぎ。
今日はいつもより遅めに到着したから、時間の進みが速く感じる。
メッセを送ろうかな、と思ったけど、さっきのノートでのやりとりが楽しかったから、それに倣ってメモ用紙にペンを走らせた。
【ご飯、食べましたか?】
そっとメモ帳を差し出したら、気づいた由上さんが少し嬉しそうにしてメモ帳を引き寄せた。
【まだ。食堂行く?】
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【そうしましょう。】
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