ばぶー!我は赤ちゃん皇帝なり!〜魔術王と呼ばれた俺が転生したけど追放されたし、前世真面目に生きすぎたから今世は皇帝目指してハーレム作って好きに生きるぜ!〜

コレゼン

あうあうあーー!!(俺は……皇帝になる!!)


「あうー。(暇だなー誰か来ないかなー)」
 
 ガチャ
 ドアを開けて誰か入ってきた。

「元気にしておるか?」
「あら、起きてたみたいですね。」
 入ってきて俺を見下ろす人物は両親だった。

 その時……
 突然俺の頭にすごい量の情報量が一気に流れ込んできた。

 そうだ俺は前世は魔術師…
 それも魔術王と呼ばれた最強の魔術師だった。

 老い先短くなったところで転生魔法を自身にかけたのだった。
 初めての転生魔法で半信半疑だったがどうやらうまくいったようだ。

「あうあうあー」
 記憶が戻って喋ろうとしてみたがだめだ。
 今は赤ん坊だからうまく喋れない。

「あらこの子、今喋ろうとしましたよあなた。こんな年で喋ろうとするなんて天才に違いありませんわ。」
「おお、そうだな。わしに似て賢く生まれたようだ。きっとこの子は天才だ。すごい魔術師となるぞ!!」

 両親は二人共魔術師で家系は代々魔術師をしている由緒ある貴族の家系だ。
 そんな両親から生まれた俺だ。魔術師として両親はもちろん、親類からも期待をかけられている。
 前世では恵まれない生い立ちだった為、このように期待をかけられるのは悪くない。

 最も僅か数日後にはこの期待は打ち砕かれる事になるのだが…





「これはこれはセシウス様。わざわざご苦労様です。それでは御子息をこちらに。」
「ふむ。今日はよろしく頼むぞ。」

 牧師は父セシウスから赤ん坊の俺を受け取ると祭壇に乗せた。

「大抵の赤ん坊は祭壇に乗せるのとすぐに泣くのですがこの子は強いですね。」
 そりゃあ前世の記憶があるからな。
 牧師は物おじせずに見ている俺を不思議なものを見るようなまなざしだった。

「それでは魔術師の適性検査を開始いたします。」
 そういうと牧師は詠唱を始めた。
 祭壇の下に円形の水桶があり、そこに水が溜められていた。

「こちらの水桶の水面に魔術師の適性が浮かび上がります。」
 途中から水桶の水面が光り輝き始めた。パーっと強い光が放たれた後、その光は無くなった。

「こちらで儀式は終了になります。ご子息の適正は……」
 牧師は水面を確認したようだが……

「いや!?…バカな…そのな事があるのか…」
「なんだ!?どうした!」

「あの…それがですね…非常に申し上げにくいのですが……」
「もったいぶらずにさっさと話さんか!!」

「いえ…あの……一致する適正なし…です」
「なに!?一致する適正なしだと!?そんなことあるわけ……確かにそう出ておるな…」

 いやいや適正なしってあり得ないだろう。
 俺は魔力をすでに有しているし、試しにいくつか魔法を使ってみたが問題なく使えたぞ!

「あうあうあー!!(適正なしなぞありえないぞー!!)」
 俺は伝えようとするが当然赤ちゃん言葉誰にも伝わらない。

「一致する適性がないということは当然魔術師として今後やっていく事はできないな。」
「はい…申し上げにくいですがそうなります…例え魔術師になったとしてもなんの才能もないかと…」

「ステータスオープン」
 俺は自分のステータスを確認する。
 魔術適正という項目が確かにある。そしてそこは魔術王となっていた。
 もしかしたら儀式の適正項目に魔術王がないだけでは?
 だとしたらとんだ欠陥儀式だ!!

「息子は流行り病で亡くなった…今日魔術師の適性検査を受けることもなかった……」
「セシウス様!?」
「そういう事にする!!いいか今日の検査結果を誰にも漏らすな!漏らした時には…」
「……承知しました…」

 …………!?
 俺はそんな事で自分の息子を亡き者にする父親を呆然として眺めていた。
 そういうことで俺の追放が決定した。





 目を覚ますと申し訳程度に下に毛布が敷いてあり、辺りは木々の生い茂る森林のようだった。

 ピーピヨピヨ
 小鳥の囀りが聞こえる。

 どうやら人々が寝静まった真夜中に俺は森の中に捨てられたようだ。

 しばらく呆然とした。

 ……これからどうしよう
 まずこの赤ん坊から生きて抜いていかなければならない。

「サーチ!」
 と付近を探索魔法で探ってみる。
 どうやら近場には人はいないようだ。
 しかし魔物はいくつか探知した。

 面倒だから見つからなければいいが……
 と思っていると
「ゴワーゴワー!!」

 探知した中で最も近くにいた魔物だがどうやらこちらに気づいたらしい。
 魔物は5匹のゴブリンだった。

「ゴキュギョキュゴー!」
 近づいてきたゴブリン達は口から涎を垂らしながらこちらを見ている。
 俺のことを食べる気のようだ。

 やれやれ赤ん坊の容姿とはいえ魔術王とまで言われたこの俺がゴブリン如きに舐められるとは。
 少し派手にいこう。
 俺は両手を掲げ雷撃魔法の為にまず気候操作から取り掛かる。
 辺りはあっという間に雷雲が立ち込め、そのうち周囲にも目視で電気がただよっているが見えるよう状態となった。

「ギョギグワ!?」
 ゴブリン達は突然の周囲の様子の変化に慌てた様子を見せる。
 1匹が棍棒を振り上げて俺に襲いかかってきた。
 だがもう遅い。

「ギガサンダー!」
 と俺は雷撃魔法を放ち、3匹のゴブリン達はあっという間に真っ黒な消し炭状態となり絶命した。


 やれやれ…と安堵しかけたのも束の間、遠方から凄まじい魔力を持った魔物が近づいてきているのに気づく。

 なんだろう?
 俺の強大な魔力を検知した?
 こちらの魔力を把握した状態できているのであればかなりの強敵だ。
 気を引き締めなければ。

 バサバサーーーーー!
 降り立ってきたのは巨大な1匹の竜だった。
 真っ黒な鱗を纏っており暗黒竜と呼ばれる竜種の中でも最強と呼ばれる種別だ。
 面白い。転生してから初めての強敵だ。相手になってやろう。

 俺が両手を掲げて魔法発動の準備に入ると
『ご主人様!お久しぶりです!』
 と念話で話しかけられた。

 ご主人様!?ああ、そういえばもしやこいつ・・・?

『お前もしかして暗黒竜のラミアか?』
『ああ、はいその通りでございます。懐かしい魔力を感じて急いで参りましたがまたボードル様に会えるとは感激の限りでございます!!』

 前世で一度対決してボコボコにした後に俺を慕ってきた竜だ。そういえばそんな奴もいたっけな。

 ボフ!!
 とラミアは人型に変化した。メイドのような服を着ている。

『ボールドは前世の名だ。今世での名はエレンという。』
『エレン様!承知しました!また私をそばに置いてほしゅうございます。』
『それは別にいいぞ。前は俺の居宅の裏山に住んでいたんだよなあ。』
『はい!ありがとうございます!嬉しいです!ところでエレン様はなぜこんな所にお一人で?』
 俺はラミアに追放の経緯を話した。

『なんという不届き者達!エレン様、今からそこに向かってその領地もろとも滅ぼしてきましょうか!?』
 また物騒なことを言う。ラミアは元々人間に神の如き恐れられている暗黒竜という事もあってか思想や行動が過激だ。

『いやいやそこまでじゃあない。恨みがないと聞かれたが嘘になるがな。相変わらずお前はいう事が過激だな。」
『だって私よりも強いエレン様のような優れた方を追放するのがそもそも許せませんし……それではこれからどうされるおつもりですか?』

 これからどうするか……
 前世では真面目に生きたが結局利用されるだけで終わったような人生になってしまった。
 そして心機一転頑張ろうと思っていた今世ではいきなり追放だ。

「……そうだな……うん!決めた!!」
「おや?どうされました!?」

「あうあうあーー!!(俺は……皇帝になる!!)」

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