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ダブル・デザイア 〜最強の力は神をも超える〜

真心の里

先手(レイド編・シン編)



シンとレイドが出会う十分以上前、大量の木に囲まれた整備された道が大破している場所に、二人の男が立っていた。
黒髪、黒目の青年レイドと緑髪、緑目の青年クルスが殺気を出しながらも会話をしていた。




「星の瞳を持っているのはお前ら側だけではない」


「アニムスとかいう少女だろ? そんな重要な情報は当然知っている」


「お前達が知っているアニムスの星の瞳の情報は運命を見れる能力を持っていると言う事だけだろ?」


「まさか……貴様!」




レイドの言葉によって何かに気がついたクルスは額から汗を流し声を荒げた。
その様子を見たレイドは不敵な笑みを浮かべながら得意げに話を続ける。




「ずっと先手を打っているつもりだったよな、相手の行動まで監視できて、未来まで見る能力者がそっち側にしかいないと思っていたんだからな」


「一体いつからだ、ずっと監視していたんだ、星の瞳の力が覚醒したらすぐに分かったはずだ」


「星の瞳の未来を見る力にはいくつか条件がある事は知っているだろう?」


「見た事のある者の未来しか見る事が出来ない、さらに見た事がない対象が深くかかわる未来の場合は詳しい内容は見る事が出来ずに断片的な未来しか見る事が出来ない」


「正解だ、だからお前たちは俺達を見る方法を考えた、俺達が戦争に参加することは神玉の歴史を知っているお前や頭の回転が異常に速いシンならすぐに予想できるだろうからな。占いの能力で遠くの敵を監視できる事は知っていたがまさかの既に味方にしているとはな、さらにその能力で見た者にまで星の瞳の効果が有効なのは完全に予想外だった」


「……お前たちは完全に俺達の監視に気が付いていなかったはずだ、占いの力は本物だ、普通に気がつくはずがない」


「アニムスは星の瞳に覚醒し未来を見た、お前達の作戦がうまくいき、俺達が死刑にされる最悪の未来をな……その未来を見たアニムスは負け方に疑問を持ち監視を疑った、アニムスが何か伝えたいのを俺は理解して話を聞きだした」


「未来を見て察したのは何となくわかった、だがその伝えた方法だ、監視していたんだぞ、アニムスがお前に伝えた時点でばれていたはずだ」


「普通の状態ならな、思い出してみろ占いの力が解除された時が本当になかったか?」


「まさか!?」




レイドとアニムスがノーム国に入った時には占いの力が消えていた。
その理由としては二人に付けられた制約の魔道具だった。




「制約の魔道具はステータスの制限以外にも、その種族の特性の弱体化、スキルによっての効果を消したりする」






確かに俺達がレイド達を監視していた方法はスキルだ。
だがノーム国の制約の魔道具がチャーラの力をも消し去る程の力だったとは予想外だったな……






「随分と賭けに出たもんだな、制約の魔道具が監視の力に効かなかった場合は考えなかったのか?」


「もし効かなかったとしても問題は無い、効かなかった場合はばれるのを無視して正面から話すつもりだった。効かない場合を考えてもこれ以上現状が悪化することは無いんだ、賭けに出るのは当然の話だろう」


「なるほどな、その賭けに勝ちお前たちは監視されている事を知り、そこから星の瞳である可能性を導き出したということか」


「そういうことだ、そして俺達が監視に気が付いていないと思っているお前たちはノーム国に出るとまたも監視を始めた」


「それと同時に干渉してきた力から逆探知をして監視をしている契約の神玉使いの事を見て何をしようとしているかの情報を奪い取った」


「正解、さらにアニムスの星の瞳の情報を知らないからアニムスの星の瞳によって変わった戦争については見る事が出来ないからな、俺達はお前たちは全てひっくり返すための準備をした」


「……ジャックとルージュをどこに向かわせた!」


「さっき俺のポケットにある魔道具から音が鳴っただろう? これは合図だ、人間連合に参加している国の軍事機関のトップが集まっている会議場を攻撃して全員殺した、というな」


「完全に出しぬかれたということか……」




自分達の作戦が失敗した事を悟ったクルスは一息ついて、力を解放した戦闘状態を解除した。




「作戦が失敗した事によって神玉使いの肩身は狭くなるだろう、そしてさらに負けが近づく。負の連鎖だな」




人間側にこれから起きる事を笑いながらレイドは話した。
その言葉に同意しながら追い込まれているはずのクルスは笑って答える。




「確かにそうなっていただろうな、俺達が保険に保険をかけていなかったらな」


「なんだと?」


「会場にはお前達が調べた通りに軍事関係の重役がそろっている、神玉反対派のな」


「……星の瞳でそんな未来は見ていないぞ」


「だろうな、星の瞳で繊細な情報を知るためにはかかわる相手を全員知っている必要がある、国の重役全員に会ったことあるはずがない、せいぜい見れても会議に重役が集まる程度の未来だ」


「そっちもただではやられないと言うことか……なるほど、反対派がいなくなった事によって神玉使いが戦争に参入できるようになる」


「少し違うな、死人を出してしまっては反対派の下についていた人が付いてこないだろう、だから俺達はその重役を神玉の力によって守ることにした、目の前で自分の命を真っ盛られれば流石に神玉が必要だと言う事が分かるだろう」


「……!? まさかお前ら! すでに神玉使いを動かしたのか!」


「正解だ、まぁルージュやジャックの戦力が分かっていない以上、重役を守る役目しか与えていないがな、その証拠として仲間はお前に成功の連絡をした」


「チッ……最後の最後で少し抵抗されたか……だが次会うときは騙し合いなしの正面対決だ、その時に息の根を止めてやる。少し寿命が延びただけという事を忘れるな」


「俺を倒さないのか? 一時的に戦いをやめることによって重役が死亡したと言う混乱が完全に行きわたった後にもう一度戦いを仕掛ける予定だったんだろう? それだったら作戦が失敗した段階で俺を倒しておいた方が良いんじゃないか?」


「いや、予定外の事態が起きた時点でこれ以上手を見せるのは危険だ、占いの力で見ていると言う事が分かった以上な」


「なるほどな……お前の言う通り一時休戦だ」




そう言いながらクルスはその場に倒れ、空を見た。




「ふぅ……疲れたぜ、やっぱり騙し合いってのはやっぱり性に合わないな」


「同感だ、これっきりだと言う事を願うばかりだ」




二人の間には敵とは思えないゆるい空気が流れた。
そして二人の顔に少しの笑みが浮かんだ瞬間、レイドの後方に突如としてとてつもない力が出現した。




「「……っ!?」」




その凄まじい程の力に二人の直感から放たれた危険信号が全身に伝わった。




「こ、この魔力の質……一体誰だ?」


「……ま、まさかシンか? は、ははは」




魔法の感知などできないに等しいレイドが感知できるほどの魔力を持ちこの場所にいる可能性のある者の存在など二人にはシン以外考えられなかった。
その魔力の持ち主を察したクルスは笑みがこぼれた。




「嬉しい誤算だ、俺と戦った時よりも遥かに殺気の混じった魔力、シンの性格上アニムスに深手を負わせる程度だと思っていたが、これなら戦力を削ぐことでき…そ…」


「……るか!」




予想外の仲間のやる気に喜んでいたクルスも隣のレイドからあふれ出るとんでもない殺気によって声が段々と小さくなった。




「殺させてたまるかぁ!!」


「ちっ! 行かせるか!」




クルスとの戦闘の時以上のスピードでシンの溢れ出る魔力の元へ急いで向かった。
その瞬間クルスは残っている力を解放しレイドの足止めを行う。




「風精霊魔法【暴風】」




本来ならば広範囲に建物を簡単に壊すほどの風を起こす魔法の【暴風】の力を完全にコントロールして上から下向きへと変化させた。
クルスが戦闘中に感じたレイドの力ならばそれで足止めができるはずだった。
しかし、レイドは少し体勢を崩した程度で倒れる事さえなかった。




「なに……!?」




残っている力が少ないとはいえ自分の魔法が効かなかった来栖は大きな衝撃を受けた。




「俺とやっていたときはそこまで本気じゃなかったってことか……セバスさんの言う通りじゃねぇか」




魔法で止める事の出来無かったレイドはシンの元へ凄まじい速度で向かって行った。
そんなレイドの姿を見たクルスは諦めた表情で笑いながらその場に倒れた。













「覚悟しろよ、シン! 上級剣技【回転切り】」






常人には視認することすらできない程のスピードで体を回転させ攻撃を仕掛けた。
しかし、シンはその攻撃を完全に予測していたかのように、攻撃するより少し前に下に魔法を放ちレイドの攻撃を避けた。




「戦術級剣技【一点突き】」




空中で逃げ場を失ったシンに対してレイドはまたも凄まじいスピードで追撃を放った。
その追撃も同様に攻撃を放つよりも先に魔法によって攻撃の進路から体を退かしていた。




「戦術級剣技【千羽切り】」


「上級土魔法【硬土壁】」




シンが着地をしたと同時に距離を詰め、一瞬でとてつもない数の攻撃を仕掛ける。
その攻撃の開始と同時にレイドの片足の下だけに土の壁を作り出し大きく体の体勢を崩し、攻撃を大きくずらした。






前に復活したときにより先読んでもギリギリか、あのゴミとの戦いで力が半減している上に変わってから大した時間が立っていない事を考えるとまぁ妥当か
それにしてもとんでもないスピードだな……目で追えても体がついて行かなくちゃ意味がないからな






魔法使い相手にこの距離で攻撃が一回も当てられないか……アニムスが負けたのもうなずける戦闘能力だ。
やはりここで殺しておかなければ大きな障害となる。






「……準備運動はこの程度でいいか?」


「ゴミと同意見とは最悪の気分だが、俺もダラダラとやるのは嫌いだからな、決着を急ごうか」






二人が力をどんどんと高めていき本気の戦闘態勢に入りかけた瞬間、上空からグレイヴをのせたヴリドラが現れた。
突然の出現に力の解放を辞めた二人はヴリドラへと視線を移動させた。






「ヴリドラ……?」


「主、既に目的は達成しました、ここは撤退しましょう」


「何を言っている! アニムスがやられたんだぞ! こいつを殺さずに逃がせって言うのか!」


「アニムス様は既に危ない状態です! アニムス様の事を考えるならば今すぐ撤退するべきです!」


「……っ!」


「アニムス殿が回復するためにもレイド殿がそばにいてあげた方が良いでしょう、ここは撤退するのが最善かと」




グレイヴとヴリドラの提案に悔しくも納得しながらアニムスの元まで一瞬で移動しシンに一度視線を向け、すぐに視線を外しアニムスをお姫様だっこしながらヴリドラの背中に乗った。
その様子を見ていたシンは右手を向けて魔力を集めた。




「おめおめと逃がすと思ったか、お前達全員この場であとかたもなく消し飛ばしてやる」




殺気を放ちながら言葉を発するシンに対してグレイヴとヴリドラが戦闘態勢に入る。




「おい……これ以上俺の仲間を傷付けてみろ……地獄ですら生ぬるい苦しみを味あわせてやるぞ……!」




シンの殺気すら陳腐に感じるほどの殺気を禍々しい力と共に放つ。
その殺気に流石のシンすらも額に一筋の汗を流した。




「次に会うときは正々堂々全力の正面対決だ。それまでの余生楽しんでおくんだな」




そうレイドが言うとヴリドラは大きな翼をはためかせ上空へと飛びあがった




「この俺が震えているだと……くっくっくっ……この世界にも俺を楽しませてくれそうな奴がいるか、あいつとは俺が戦う、その時にまた体を返してもらうぞ」




シンが独り言にしては大きな声でそう言うと、邪悪な顔つきが優しそうな顔つきへと変化し、その場で倒れた。

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