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ダブル・デザイア 〜最強の力は神をも超える〜

真心の里

準備(レイド編)

 私の名前は知識の神トト、この本を記すのは■■■に関する事を神が残せなくなるからだ。
 ■■■は自分に関する情報を記憶や本から消滅させるつもりだ。
 だから、俺の魔法でこの本だけは残す。■■■の危険性を伝えるためにも。




 ■■■は■■■の神玉をもった■■■の魂から作り出された普通の人間だ。
 だが、普通の人間だったのは数百年の内だけだった。
 ■■■の魂が入っているとは思えない程、■■■は手段を選ばない。




 反逆の神ロキは■■■の神玉を手に入れるために■■■に勝負を挑んだ。
 もちろん、ロキは破壊の神ハデスの最悪の神玉を持っていた。
 俺達、神はロキにもう一度、■■■の神玉を作らせないためにも、■■■に協力しようとした。




 しかし、■■■はロキとハデスの勝利し、二人を封印した。
 普通ならば二人が封印され喜ぶはずだった、●●●が死ななければ。
 ■■■がロキと戦っている時を狙い、破壊神様の失敗作、▲▲▲によって●●●は殺された。




 ●●●を失った■■■はを殺しに行った。
 ■■■にとって▲▲▲は敵ではなった。
 しかし、▲▲▲には奥の手があった。




 ▲▲▲は自分の力のほとんどを使うことによって■■■から逃げた。
 次に▲▲▲がこの世界に現れるのは「到達者」が生まれた時だ。
 つまり、もう一度この世界が壊れかけるほどの戦争の開始の予兆が見えた時だ。




 その時が来るまで■■■は待つはずだ。
「到達者」などが同時に生まれるはずが無いのに。




 もし、この本を見ている者でレイヴという者を知っていたら殺せ。
 年齢的にはまだ赤子だろう、いくら強くとも殺せるはずだ。
「到達者」を生まれさせて、この世界を壊す可能性のある戦争なんてものを起こしてはならない。






(ページが破かれている)






 ■■■と▲▲▲の能力は書いたとおりだ、運命の子のについても知っている限りは書いた。
 これを見ている時に戦争がまだ始まっていない事を心の底から祈る。
 もし、■■■や▲▲▲に会っても戦おうなんて考えるな、無駄だ、逃げるのに専念しろ。






 ◆






 レイドは読めない部分を補佐しながら音読した。
 そしてその本を目の前にいるベットで上半身だけを起こしているレイヴに投げた。




「レイヴ、あんた一体何者だ?」




 隠れ家でルージュに本を渡され、全部読んだレイドは平和都市ライフに来ていた。
 そしてライフに到着すると同時にセバスチャンによって屋敷に招待されていた。




「……」


「最低でも■■■に関係はしているはずだ、何が目的だ? ■■■の手伝いか?」


「……セバス、箱を持ってこい」


「はっ、了解しました」




 レイヴに指示を出されるとセバスチャンは頭を下げて部屋から出て行った。
 そして、レイヴはレイドとルージュを見ながら質問を投げかけた。




「この宝石は何だと思う?」




 レイヴはネックレスの赤い宝石を指でつまみながらそう言った。
 ルージュは顎に手を置いて真剣に考え、レイドは不機嫌そうな顔をした。




「ふざけた質問をしていないで、まず俺の質問に答えろ」


「……これはクラウン、クラウン・ハトホルの形見だ、そして俺が戦う意味だ」




 レイヴが悲しそうに赤い宝石を見ながらそう言った。
 そして、それと同時にセバスチャンが箱を持って、部屋へと帰って来た。




「セバスチャンの箱を見ろ」




 二人は指示通りに、セバスチャンが持っている箱を見る。
 視線が移ったのを確認したセバスチャンは箱をゆっくりと開けた。




「これは……?」




 箱の中にあったのは小さな白い筒、ただ一つだけだった。
 セバスチャンはその白い筒を取り出し、筒から何かを取りだした。




「……な、なんだそれは?」




 筒から取り出されたのは小さな、小さな人間のようなミイラ。
 人間の形をしていながらも小さすぎる、そのミイラにレイドは少し驚く。




「これはウェンズ・イルミネイト、俺の前の体だ」


「前の体……?」




 レイヴの言っている意味が分からないレイドは疑問の声を漏らした。
 渡された本をレイヴは開き、「■■■」を指さしながら疑問に答えた。




「これはウェンズの事を言う、俺を殺せと指示したのは俺のスキル【回帰転生】を防ぐためだ」


「【回帰転生】?」


「【回帰転生】については私から説明させて頂きます」




 レイドが再度、疑問を投げかけると横に控えていたセバスチャンが会話に入ってきた。




「【回帰転生】とは魂のない体を事前に作っておき、使用者が死亡した際に体に魂を入れ生き返るスキルです。 寿命で死んだ場合にしか使えませんがね」


「ならばレイヴは一度、寿命で死んだということか?」




 セバスチャンが詳しく説明をすると新しい疑問を投げかけた。
 その疑問を投げかけられたレイヴは首を横に振った。




「わざと死んだのさ、寿命を早送りしてな、その影響で前の体はミイラになったがな」


「寿命を早送り? よく分からないが、何のためにだ?」


「それは簡単だ、ラーを殺すためだ……奴はウェンズがいる限り、この世界に来る事は無い、だから一度死んだ」


「なるほど、「■■■」がウェンズ、「●●●」がクラウン、「▲▲▲」がラーってところだね」




 ルージュがレイヴの話を聞いて本の読めなかった部分を解き明かした。
 しかし、それと同時におかしいところにも気が付いた。




「でも、神玉の前にもウェンズが入るんじゃ変だよね? やっぱり違うのかな?」


「いや、■■■はウェンズに関係している事に使われているんだろう」


「そんなことはいい、レイヴ、お前の目的はラーを殺すことなのは分かった、それと俺とアニムスに何が関係する?」




 レイドは前に殺すのを止められた事を思い出しながら質問した。
 レイヴは優しい笑みをこぼしながら答えた。




「運命の子、簡単にいえば世界の終焉が始まる戦争ラグナロクに深く関わる可能性が高い存在の事だ」


「お前は俺達にラグナロクを起こそうとしていたってことか?」




 レイドはすぐに起きそうな戦争の事を頭に浮かべながら質問をした。
 自分の意思でやっているつもりが操られていたという事実に少し怒りを覚えていた。




「安心しな、今の君たちの力じゃラグナロクは起きない、ラーを殺せれば人間が殺し合っても関係は無い」


「……それにしては俺とお前が戦うのには都市から離れたよな」


「この都市は体を育てるのに世話になった、戦争になればこの都市は守るつもりだ」


「つまり、お前は俺がいくら神玉を集めようと、時が来るまで手を出さないと言うことか?」


「そうだね、俺は時が来ない限り手を出さない事を誓おう」




 レイヴがレイドの顔を見ながらそう言った。
 それを聞いたレイドは笑みを浮かべながら、レイヴに背を向けた。




「ルージュ、行くぞ」


「えっ……? 他にも聞く事があるんじゃないの?」


「時が来たらこいつも話す、ならば無理に聞く必要性は無い、俺達が今やるべきことは戦争の準備であって、聞く事じゃない……邪魔するってんなら戦うつもりだったが、手を出さないなら無理に命をかけるつもりはない」


「……わかったよ」




 レイドが部屋のドアに向かって歩きながら説明をした。
 説明をされたルージュはため息をつきながらレイドについて行った。




「……お前が何者とかはもうどうでもいい、神玉を持っているなら最後には殺す、俺の目的の為にもな」


「その時は相手をしよう、次は本気でね」




 レイヴが笑いながら宣言すると、レイドとルージュは部屋から出て行った。




「さて、運命の時は近いみたいだね……「到達者」もレイドに任せておけば生まれそうだ」






 ◆






「お父さん! 今日の晩御飯はなに?」




 透き通るような金色の目を持った茶髪の少女。
 その近くには白い綺麗な服を着た初老の男性がいる。




「今日はアニムスが好きな火炎豚のステーキだ」


「火炎豚!? やったー!」




 初老の男性の言葉で笑顔を見せる少女……アニムスは初老の男性に抱きつく。
 今のアニムスは考えられない程、無邪気な姿だった。




「聖龍様! 今日の分です、お納めください」




 二人がいる洞窟の中に剣を背中に掛けた男性が大声を出しながら入ってきた。
 その男性の左手には水色の液体が入った小さな瓶があった。




「毎日すまぬ、聖水も安くないと言うのに」


「何をおっしゃるんですか、村を救ってもらった恩に比べれば聖水など安いものですよ」




 男性が聖龍と呼ばれる初老の男性に近寄るとアニムスは後ろに隠れてしまった。
 そんなにアニムスを男性は見て少し笑顔になりながら聖龍と話した。




「魔王との戦いでついた傷は治りそうですか?」


「うーむ、聖水をつけているとはいえ少しづつしか治らないようだ、これからも世話になるかもしれん、すまぬ……」




 聖龍が申し訳なさそうに言いながら頭を下げる。
 そんな聖龍の姿を見て、男性は慌てながら声をかけた。




「あ、頭を上げてください! 村人全ての恩人なのですから、気にしないでください」


「すまぬ……」




 男性が頭を上げるように言うと、再度、聖龍は頭を上げながら、小さく謝罪の言葉を発した。
 そして、聖龍の横から顔を出したアニムスを見ながら話しかける。




「そういえば、この女の子は聖龍様の子供でしょうか?」


「いや、二週間ほど前に引き取った子供でな、両親が既に他界しておる」


「そうなんですか……でも、二週間前ですか? 今日初めて会ったと思うのですが」


「今日まで奥にいたからな、やっと外に興味を持ってくれたころだ」


「なるほど……これからよろしくお願いします、アニムス様」




 男性はアニムスに挨拶をした後、聖龍と少し会話し、洞窟から出て行った。
 終始、アニムスは聖龍の後ろに隠れて、男性の様子をうかがっていた。




「さて、アニムス……食事にしよう」


「はい! お父さん!」




 聖龍が振り向いて、アニムスの頭に手を置きながら優しく声をかけた。
 声をかけられたアニムスは嬉しそうに笑顔を露わにして元気良くうなずいた。






 ◆






 アニムスが石の墓を前にして目を瞑っていた。
 その横には聖龍……ではなく黒い服を着たレイドの姿があった。




「レイヴは時が来るまで手を出さないと言っていた」


「……聞きに行ったの?」




 レイドが墓を見ながらそう呟いた。
 その言葉を聞いたアニムスが瞑っていた目を開いて質問した。




「あぁ、奴が出てこないのならば警戒するのは一人だな」


「シン……ルージュによれば神玉を既に持ってる、一番の強敵」


「目的も一緒だからな、できれば今のうちに殺しておきたい、この戦争がチャンスでもある」




 レイドは視線を墓から空の雲へと移した。




「悪魔たちは二体の大佐を召喚して魂のストックが無いはずだ、戦争にはかかわってこないだろう」


「……レイドは世界をどんな世界に作り直したいの?」


「そうだな……平和な世界かな」




 アニムスに質問をされたレイドは視線を再度、墓に移した。
 そして小さな笑顔を浮かべながらアニムスに語った。




「まぁ、この世界でこれから何百人も殺す予定の奴がなに言ってんだって話だがな」


「必要な犠牲、そう思えばいい」




 レイドの言葉のいい訳を代りにするかのようにアニムスが言った。
 その言葉にレイドが少し驚き、少しだけ声を出して笑った。




「それもそうだな、正義のヒーローになるのは世界を作り直してからでいい……今は悪の方がちょうどいい」




 レイドは自分の腰に掛かっている剣を見ながら、右目の近くを触る。




「帰るか……まだ魔道兵はできていないんだろ?」


「うん、あと少しでできる」




 アニムスがそう言いながらレイドの手を掴む。
 その瞬間、二人が黒い円に包まれ、その場所からいなくなった。




「あれがレイドか……暗殺対象にしては上玉だな」




 遠くで二人を監視していた怪しげなやせ形の男性が呟く。
 そして、腰から抜いたナイフを高揚しながら舐めていた。






 ◆






「魔道兵の進み具合はどうだ? グレイヴ」


「レイド殿、一応できてはいるのですが消費する魔力が多い状態でして……」


「すまん、魔法に関してはさっぱりなんだ、詳しく説明してもらえるか?」


「はい、そうですね……




 私達が作ろうとしている魔道兵はアニムス殿が作り出した魔力を溜めておける魔道具を使用して動きます。
 魔道具に溜めておける魔力はアニムス殿の総魔力の内、20分の一程です。




 魔道兵は胴体、足、腕、手、頭がそれぞれ違う魔道具を組み合わせることで作ることができます。
 事前に簡単な指示をしておくことによって、自動で動作させることが可能です。




 例えば、半径3m以内に入った生命活動をしている物体を攻撃、と指示を出しておきます。
 それに加えて、胴体に埋め込まれている魔道具が壊れるまで歩き続けろという指示も出しておきます。




 すると、前に前進しながら近くに来た敵を機械的に攻撃することができます。
 知能が無いですが恐怖心もありません。ですので軍隊としては優秀かと思います。




 ですが、先ほども言った通り、複数の魔道具を使うため消費魔力が多いです。
 アニムス殿の二十分の一という凄まじい量の魔力を溜めておいたとしても活動時間は一時間程だけです。




 戦争になれば長期戦になります。最初の戦闘では一時間で足りるかもしれませんが次の戦闘までに魔力を補充できる数は100が限界だと考えています。
 戦争に導入するためには魔力の消費をもう少し抑えなければなりません。




 ………レイド殿の知恵もお借りしたくてですね」




 レイドは頭をかきながらグレイヴの説明を受けていた。
 そして真顔のまま隣にいたアニムスとグレイヴに提案した。




「手に魔道具を埋め込めばいいんじゃないのか?」


「……と、言いますと?」


「俺の使っている【魔滅剣】は魔力を切ることによって魔法を無効化している。それを利用した魔道具を埋め込めば魔力を吸収するぐらいできるんじゃないのか?」


「……なるほど、それなら可能かもしれません」


「レイドって頭いいんだ」




 自分達が思いつかなかった案を一瞬で出したレイドに驚きながら二人が呟いた。
 二人が驚いているわけが分からないと言った表情でレイドも応える。




「一応、教育は受けていたからな、というか、発想力に知能は関係ないと俺は思うが」


「頭の回転が速かった、案は出せてもここまで早く出せない、レイドが頭いいのは意外」




 レイドの出した案によって魔道兵の研究は一気に進展することになった。



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