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ダブル・デザイア 〜最強の力は神をも超える〜

真心の里

準備開始(レイド編)

 
 ノームが服を脱ぎ終え、執事がアニムスのシャツに手をつけようとした瞬間、その手が何者かに掴まれる。
 掴んでいる力が強くなり執事の細い腕の骨を簡単に砕いた。




「ぐぁあぁぁぁ!」




 折られた腕を押さえながら執事は大きく叫んだ。
 その声と同時に執事とノームに近づいてきた者がいた。




「な、なぜ起きている!」


「……この臭いは毒か何かか、くだらない、お前ら程度の毒が俺に効くと思ったか?」


「100倍の濃度だぞ! 普通なら死ぬほどの濃度だ……あ、ありえない!」




 ノームがゆっくり近づいてくるレイドから逃げながらそう言った。
 そしてレイドは抵抗しないアニムスを見て、ため息をついた。




「はぁ……起きていいぞ、アニムス」


「……わかった」




 アニムスは髪についている魔道具を外して起き上がる。
 そして脱がされたローブを羽織って、レイドの隣に移動した。




「ま、魔道具をつけていて……な、なぜ起きれる!」




 ノームがアニムスを指さしながらそう叫んだ。
 レイドはもう一度、深くため息をついて、話しかけた。




「……選べ、俺達の要求を飲むか飲まないかを」


「よ、要求だと……?」




 レイドが地面に倒れているノームの髪を掴みながら質問をした。
 ノームは顔をしかめて、体を震わせて疑問を投げかけた。




「そうだ、始まる戦争に俺達が求めている物が出回る可能性が出てきた、それが出た時点でこの国は負ける、有効活用してやるから軍隊を渡せ」


「ふ、ふざけるな! 契約と違う! 禁術を渡せば我々の傘下になる契約だろ!」


「これの事か?」




 レイドが上着から一枚の髪を出して、ノームの目の前に落した。
 その紙には契約書と書かれており、レイドとノームの印が押されていた。
 しかし、契約の内容はノームが知っている物とは違かった。




「こ、これは……?」


「昼に契約したときに使用した契約書だ、もう忘れたのか?」


「そんなわけがないだろ! 契約内容が違うじゃないか!」




 ノームは地面に落ちている契約書の契約内容の部分を指さしながら叫んだ。
 そこには両者が納得した契約内容の他に、契約破棄の条件が書いてあった。




「契約破棄の条件、仲間に手を出す……こんな物は昼にはなかった!」


「お前達ができて俺達ができないとでも思ったのか?」




 レイドはそう言いながらもう一枚、服から紙を取りだした。
 落ちてきた紙をノームは掴み、内容を見ると、そこには自分が用意した本物の契約書があった。




「お前達じゃ、俺の本気のスピードにはついてこれない、交換しても気が付かないのが当然だ」


「貴様! 禁術はいらないのか!」


「……色が悪いんだよ、お前は」




 レイドは星の瞳になった右目を指さしながらそう言った。
 星の瞳に映っていたのはノームの横にある黒い糸のようなものだった。




「色が黒の時点で嫌な予感はしていたが禁術も当てが外れた、お前たちに従う理由が無い、だから選べ、服従か死を」


「国を敵に回すつもりか! いくら強くとも国に勝てるはずがなっ……!」


「くっくっくっ……本気でそう思うなら死を選ぶんだな、生憎、魂が沢山必要なんでな」




 レイドはノームの首を絞めながらそう言った。
 そしてノームの首を離して、いつの間にか部屋から消えていた。






 朝になるとノームと執事は医務室へと運ばれた。
 そして、レイドとアニムスは隠れ家の前に来ていた。




「作戦とはいえ、すまなかったな」


「大丈夫……作戦より早めにレイドが動いたから、本当なら下着を脱がされてからだった、手を出されたの範囲が分からないからギリギリまでやる、レイドにしては珍しく作戦を無視した」




 レイドが隣を歩いているアニムスに謝ると、アニムスは真顔でレイドの目を見つめながら指摘をした。
 アニムスの言葉を聞いたレイドは頭を掻きながら、恥ずかしそうに言う。




「……体が動いただけだ」


「……レイドは素直じゃない」




 アニムスがジト目で少し不機嫌そうにレイドに言った。
 そんなアニムスを無視してレイドは隠れ家の中に入った。






 ◆






 アニムスとレイドが部屋に入ると、人化した少年姿のジャックがアニムスに飛びついて来た。
 その勢いで倒れそうになるが、レイドが背中を手で支えて倒れるのを防いだ。




「アニムス様! 大丈夫ですか!?」


「ジャック……重い、邪魔」




 ジャックがアニムスに抱きつきながら顔を顔に擦りつけた。
 その様子を奥で控えている三人は苦笑いで見ていた。




「ジャックがそうなるのも仕方ない、魔道具で作戦を聞いていたからな、アニムス様が囮になるって聞いて国に行くのを止めるのが大変だった」


「そうですね、ジャック殿はアニムス殿が大好きですからね」


「ジャックってスピードがあるから大変だよね」




 そんな苦労話をしている三人の近くにある椅子にレイドが座る。
 未だに、ジャックとアニムスはじゃれ合っている。




「おつかれ、レイド」


「全くだ、やはり人間は嫌いだな」




 疲れている様子のレイドにルージュが笑いながらねぎらいの言葉をかけた。
 机の上に置かれているクッキーを食べながらレイドは返事をした。




「……知っているとは思うがノーム庫講との戦争が始まる。その後も他の国と戦争する可能性がある。準備を開始するぞ」


「ノーム国が攻めてくるまでおよそ何日ぐらいでしょうか?」




 レイドが肘を机に置いて真剣な表情でそう言った。
 その言葉を聞いたグレイヴが質問をすると、ジャックを連れたアニムスが椅子に座りながら答えた。




「早くても二週間」


「うーむ……二週間ですか、それなら皆の準備は間に合いますかな?」




 星の瞳によって得た情報をアニムスは話した。
 二週間という期間を聞いたグレイヴは顎に手を置いて仲間たちに質問した。




「魂の回収に必要な魔法陣は既に完成している、俺は問題無い」


「俺は神玉使いと戦うにはもう少し期間が必要だが、普通の戦争となれば問題は無い」


「僕は準備が無いからね、問題ないよ」


「僕も」




 他の仲間たちは頷いて問題ないと言った表情だった。
 グレイヴはそれを見て少し安心して、話を始めた。




「私とアニムス殿は飛行物が未完成です。風の魔法では消費魔力が多いため闇の重力魔法にしようと思ったのですが調整が難しく」


「もう少し時間が欲しい、二週間あれば一隻は完成するはず」


「了解した、二人は引き続き魔道兵と魔道船の作成を頼む、それとジャックとヴリドラはルージュと一緒に訓練しろ」




 レイドが指示を出すと、アニムスとグレイヴは研究室に向かった。
 そして名指しされた二人はその場に座って説明を待っていた。




「前に説明しただろうが俺が力を手に入れたのはルージュの作り出した空間で過ごしたからだ、お前たちには、そこに入ってもらう」


「ジャックはまだしも俺は神玉すら持っていません、【神玉解放】を使えるようになったから主は出れたんですよね? 俺には不可能な気がしますが」


「僕の能力は解除条件を設定できるんだよ、レイドとは違う設定にするつもりだよ」


「レイド様、僕たちの条件は何にするんですか?」




 ジャックがレイドの事を見ながら質問をした。
 顎に手を置いて少し考えた後にルージュに囁いた。




「……なるほどね、了解」


「何を言ったんですか?」




 囁かれたルージュは笑いながら小さくうなずいた。
 何を囁かれたか気になったジャックはレイドに近寄って質問をした。




「教えたんじゃ意味が無い、中に入ってから自分で考えてみるんだな、その過程で他の物も手に入るかもしれないからな」


「なるほど、分かりました!」




 ジャックは元気良くうなずいてレイドからルージュの近くに移動した。
 ヴリドラもジャックと同じようにルージュに近づいた。




「じゃあ、二週間以内に帰ってきてね、No.20【審判】」




 ルージュがカードを引くと、そのカードが光に変わり、二人を包み込んだ。
 それと同時に二人はレイドの目の前からいなくなった。




「それでルージュ、お前は何をするつもりだ? お前が何もせずに二週間待っているとは思わないが」


「そうだね……レイドってやることあるの?」


「俺は神玉を取りに行こうと思ったが、何か用でもあるのか?」


「ちょっと一緒に来てほしい場所があってね」




 送り終わるのを見たレイドが質問するとルージュが質問で返した。
 レイドが返事をすると不敵な笑みでルージュがそう言った。




「どこだ? 何のために?」


「場所は平和都市ライフ、ある人物に会いに行く」


「平和都市ライフ、ある人物だと?」




 レイドは顔をしかめながら質問をした。




「レイヴ・イルミネイト、ライフを作った貴族だ」


「レイヴ……!」




 レイドは昔の出来事を思い出して拳を強く握った。
 それは圧倒的な力によって完敗した苦い記憶だった。




「……何しに行くんだ?」


「簡単だよ、レイヴと少し話に行く、僕たちが知らない事を彼は知っているから」


「……奴は一体何者なんだ?」




 世界の事に詳しくなったレイド達より知っている。
 その事実に疑問を感じ、ルージュに質問をした。




「ロキはレイヴの事は何故か話せない様子だった、でも一冊の本を商人にもらったんだ、これに少しなら答えが載っているよ」


「……二ページしかないようだが?」


「途中でなぜか破かれているんだよ」


「そうか……」




 ルージュが上着の中から取り出した本を手に持つ。
 そしてレイドは椅子に座り、本を読み始めた。

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