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ダブル・デザイア 〜最強の力は神をも超える〜

真心の里

神の力(シン編)

 
 シンは異世界転移をして最初に訪れた町ジュエリニアから離れ、草原を歩いていた。
 向かっている場所は本に記されていた神秘的な遺跡跡地だった。




「ここら辺のはずだが…………ここか……」




 木や草しかない草原の中にポツンと人工的に作られた石の柱が立っている。
 そこにシンは近づき、中心に置かれている石碑の文字を読む。




「これはフランス語……この世界にフランス語が存在するのか?」




 シンは石碑に刻まれているフランス語に驚きながら、その文を読んだ。




「ここに知識の神を封印した。力を必要とするなら、日本語で「神に誓う」と言え……か」




 シンは指示に従い英語で「神に誓う」と呟いた。
 その瞬間、シンは眩い光に包まれ、真っ白い空間に一瞬で移動した。




「ここは神と話した空間……」




 シンは異世界転移前に神と話した場所と酷似していることに気がついた。
 ここに転移してから少し経つと、シンの目の前に眼鏡をかけた本を持った知的な男性が現れた。




『まさかあの文字が読めて、条件もクリアできる生物が現れるとは』




 シンは突如として現れた男に驚きながらも、じっくりと観察する。
 男は手に持っている本を見て何かを調べている様子だった。




『ふらんす語とにほん語は世渡人しか読めないはずですが、世渡人には読めないように魔法をかけておいたはずなんですがね』


「欠陥があったんじゃないのか?普通に読めたぞ」


『あなた……世渡人ですか?』


「あの文字を読めるのは世渡人以外あり得ないだろ」




 男は顎に手を置いて何かを真剣に考えていた。
 そしてシンの体を下からじっくりと観察をした。




『おかしいですね、あなたからは世渡人特有の魂の弱さがありません、弱いどころか神玉を持つことができる程の魂の強さがあります』


「そんなこと言われてもな、世渡人以外の何者でもないからな」


『もしかして勇者ですか?いや、それならすでに神玉を手にしているはずです、それに勇者のような使命感は感じられません』




 男がシンに聞こえないほどの声でぼそぼそと呟く。
 その様子を見たシンは埒が明かないと思ったのか本題に入った。




「読めたことに変わりは無いんだ、ここで何かしらの力はもらえるんだろ?」


『そうでしたね、長い間この空間に一人で忘れていました』




 男は咳払いをして、持っている本を空中に浮かせてシンに話しかけた。




『私の封印を解いた賢き者よ、そなたは何を望む?魔法の知識か?医学の知識か?それとも……』


「力だ、神の力が必要だ、文献で呼んだ情報が正しければ俺以上に知識の神と相性のいい者は存在しないはずだ」


『……君にはすでに神名があるようだけど』


「レイドにも言われた、しかし、この世界のアステカと言う神はすでに存在しない」




 シンの言葉で知識の神は少し楽しそうな表情になる。
 そしてシンにさらに質問を投げかける。




『【勇者解放】を持ってるじゃないか』


「この勇者解放は条件を満たしていな、それは神玉を持っていないからだ」


『神玉を持つことによって【勇者解放】は手に入れることができるはずだけど』


「確かにそうだ、俺はアステカの神玉を持ってはいる、しかしアステカが存在しない今、神玉の使い方も分からなければ力を解放することもできない」


『……それだけの情報、文献には書いてあるはずがないけど』


「交易が盛んな国でな、珍しくこの分野に詳しい婆さんがいたんだ」


『…………』




 知識の神とシンの間に沈黙が訪れた。
 そして知識の神は息を吐いてこの沈黙を破った。




『なるほどね、相性がいいというのは本当のようだ』


「信じてもらえて助かる」


『今のこの世界じゃ、適合者は少ない、この力を渡すのもいいかもしれない』




 知識の神が空中に浮いている本を指先で突くと本がグニャグニャになり形が変化した。
 それは模様がある神秘的な玉……神玉だった。




『知識の神トト、あなたに力を貸しましょう、知識の渦に飲み込まれないでください……』




 トトが神玉をシンの方向に飛ばす、それと同時に白い空間が崩れ去り元の景色に戻る。
 シンは目の前に浮いている神玉を掴み、自分の体の中に入れた。




「……ぅ!?」




 神玉の吸収と同時に頭の中に膨大な量の知識が流れ込む。
 普通魔法、上位魔法、精霊魔法、この星の地理、他の神玉のありか、植物から動物の細部の知識、全てが一瞬でシンの頭に叩き込まれた。




(取捨選択しろ……いらない情報は捨てていかないと大事な情報が流れていく……)




 そして、知識の神玉の中に合った模様が左手の手の甲に出現する。
 情報の流れ込みが終了したシンは疲労でその場に膝をついた。




「はぁ……はぁ……本来なら神玉で手に入った能力の使い方まで感覚的にわかるわけか……何もわからないアステカは例外ってことか」




 シンは知識の神玉によって手に入れた【能力看破ステータスチェック】を自分に使い自分のステータスを見る。






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 シン・アルカナ


 種族 人族


 HP:B+


 MP:AAA


 INT:S


 STR:C+


 DEF:A-


 DEX:A+


 AGI:B-


 LUK:C-


 MGA:火 AAA 水 AAA 風 AAA 土 AAA 無 AAA 光 AAA 闇 AAA




 〔スキル〕


【魔力操作Lv10】【魔力消費減少Lv10】【成長促進】


【格闘Lv3】【魔法攻撃力増加Lv8】【聖魔法】




 〔特殊スキル〕


能力看破ステータスチェック】【人類語理解】【記憶追憶】


【思考加速】【魔道士】




 〔固有スキル〕


【賢者】【解析】【状魔変化】


【魔導】【魔法制御】




 〔神与スキル〕


【勇者解放】【能力獲得】【神の加護】








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 シンは大幅なステータスの増加に驚きながら、新しく手に入ったスキルを頭の中でまとめた。




【格闘】
 ・拳術が使えるようになる。




【聖魔法】
 ・聖なる魔法が使用可能になる。




【魔道士】
 ・魔法関連のステータスが増加する。




【魔法制御】
 ・指の数によって魔法の威力を制御できる。




【賢者】
 ・一度記憶したものを一生忘れなくなる。




【魔導】
 ・魔法関連のステータスが増加する。
 ・自分の魔法の適性の一個下の魔法まで無詠唱で使うことができる。




 豊富なスキルと強力なステータスを手に入れたシンは周りを見渡して魔物を探す。
 そして少し先にいるオオカミの魔物を三体ほど見つけ、手を向けた。




「【魔法制御】で指の数で魔法の威力を制御できるなら、常識的に考えて一本ごとに一割の力のはずだ」




 シンは人差し指の一本を一番近いオオカミに向ける。




「魔物にはF~Aランクがある。一つ上のランクの冒険者が単独で勝てるようなランクづけになっている。Sランクの冒険者で倒せない魔物は、災害として認識される。デアウルフはEランクの魔物だ、一本で十分のはずだ」




 シンの人差し指に魔力が集まりだす。
 自然とも言えるような魔力の流れの変化にデアウルフたちは気づくことは無かった。




「初級無属性魔法【衝撃インパクト】」




 目に見えない魔力の塊が一番近いデアウルフに直撃し、吹き飛ばした。
 たった一発の初級魔法、さらに一割の力で放たれた魔法でデアウルフは絶命した。




「一割でも相当な威力だな、手加減するためにも弱い魔法を作らないとな」




 残りの二匹のデアウルフは怯えながらも仲間を倒されたことによる怒りでシンに襲いかかった。
 シンは微動だにせずにその攻撃を待ち構えた。




「その牙も一本で十分そうだな、上級炎魔法【火衣】」




 デアウルフの牙がシンが作り出した炎の衣に防がれる。
 そして炎が勝手にデアウルフを包み込み、一瞬で焼死させた。




「これでレイドと同じ立ち位置まで来た、神玉は必ず俺が集める、戦術級風魔法【風遊】」




 シンはそう呟いて、頭に入って来た神玉の情報を思い出す。
 風魔法で空中に浮かび、魔族軍との戦争の最前線、北の国アイスに向かった。






 ◆






 シンは肌寒さを感じると同時に目的地のアイスを見つける。
 魔法をかけて寒さを凌ぎ、地面に着地した。




「中級炎魔法【温暖ホット】」




 シンは門の近くに行き、武装している門番に話しかける。




「軍に入るために来たんだけれど、どうすればいいですか?」


「まず身分証明書の提示を」


「わかりました」




 シンは門番の指示に従ってポーチからギルドカードを門番に見せた。
 門番はシンのギルドカードを魔道具にかざし、犯罪歴が無いかをチェックしてシンに返した。




「犯罪歴は無いようだな、軍に入りたければ道をまっすぐ行った所にある軍事施設で試験を受けて合格すれば入れるはずだ、冒険者のお前は身分証の提示で入れるとは思うがな」


「ありがとうございます」




 シンは門番に一礼して門を通り、道をまっすぐ進む。
 少し歩くと長く高い壁があり、その先は空が暗く禍々しい雰囲気が漂う魔大陸があった。




「ここが最前線……神玉を手に入れるには魔王を倒すのが一番早いはずだ……」




 シンは呟いて壁の先にある軍事施設に入った。
 そこには包帯を巻いた兵士、戦争用の魔道具、大量の回復薬ポーションがあった。




「おう!そこの青年よ!勇敢な戦士になりに来たのか!?」


「あぁ、この戦争に援軍としてきたジュエリニア西地区の魔道士のシンだ」


「魔道士か!それは助かるぜ!早速今やってる作戦会議に参加してくれ」




 想像以上の雰囲気に少しばかり驚いているシンにガタイのいい男が話しかけた。
 シンはポーチから魔道士の資格を取り出して、見せながら言うと男は喜びながらシンを部屋に連れて行った。




「魔族に対して我々は優勢だ!今こそ攻めあるのみ!」


「いや、ここで焦ってはならない!今は守りに専念だ!」


「兵士たちの消耗を考えろ!」


「お前らとりあえず落ち着け!冷静にならなければ!」




 シンが部屋に入ると様々な意見が大声で飛び交っていた。
 それぞれの言い分を言いたい放題言っているだけで何もまとまっていなかった。




「またやってんのか……魔族たちの進行が止んでからこんな調子なんだ」


「なるほどな……」




 言い合っている偉そうな服を着た軍人たちがシンと男を認識する。
 シンと男は一礼して挨拶をする。




「ドーグ、その男は一体誰だ?」


「こいつは新しく援軍として来てくれた魔道士だよ」


「魔道士だと?なぜここに呼んだ」


「こいつの方がおっさん達より頭良さそうだからだよ」


「なんだと」




 ドーグがシンの頭に手を置いて座っている軍人を煽る。
 軍人たちはドーグの言葉に反応してドーグを睨んだ。




「あと少しで作戦が始まるんだろ?グダグダしてないで攻めるか守るか決めてくれねぇか?」


「南の騎士団長だがなんだか知らないが生意気言いよって」


「攻めだ……」


「なに?」




 ドーグのへらへらした様な声でそう言うと、近くにいた軍人が立ち上がる。
 それと同時にシンが呟く、それで立ち上がった軍人がシンに目線を向ける。




「攻めしかない、今の現状で守りに入るのは愚策だ」


「なんだと……!」


「今守りに入った場合、現状は悪化以外しない、あいてに体勢を立て直す時間を与え、自分たちは消耗する」


「…………」


「本来守りに専念する場合は拮抗している場合だ。拮抗している場合は相手も攻めか守りに入る。その読みあいの中で守りに専念するのは策としてあるが、今の状況で守りはあり得ない」


「貴様のような素人に何がわかる!」


「あんたらが何年戦争をやっているか知らないが、この状況での守りが得策じゃないのは明らかだ、それでも守りに入るというなら勝手にしろ、俺は負ける戦争に加わるほど時間は無い」


「魔道士風情がっ……!」


「まぁまぁ、落ち着けよ、俺はこいつの指示に従ってみるぜ、失敗したら俺も責任を負うからよ」




 シンと軍人の間にドーグが入りなだめた。
 そしてドーグがそう言ってシンを連れて部屋から出た。




「お前、よく初対面の奴にガツガツいけるな」


「本当なら敬語も使うさ、でも下手に出たら終わりにタイプだ」


「なるほどな」


「お前こそ、よく来たばっかりの俺を信じようとしたな」


「お前は…………何となく大丈夫そうだったからな」




 ドーグは少し真顔になった後に笑顔に戻り外に歩き始めた。
 シンは少し不信感を抱きながらもドーグについて行った。




「さて、すぐに作戦が始めるんだが、攻めでいいんだよな?具体的な作戦とかあるか?」




 ドーグとその仲間たちが防具を着て戦争の準備をしている。
 それを後ろで見ているシンにドーグが話しかけた。




「最初に俺が魔法を放つ、それで魔族軍の魔物部隊を壊滅させる。その後は戦争状況によるが俺の予想なら奴らも本気で仕掛けてくるはずだ、だから偉そうにしていたおっさん達には魔法でメッセージを残しておいた」


「待て待て、突っ込みどころが沢山あるぞ、まず魔法で壊滅させるだと?そんな強力な魔法の準備はしていないぞ」


「それについては大丈夫だ、心配しなくていい」


「あ、あぁ……わかった、それでメッセージってのは」


「軍隊長、もしくは幹部が出現する可能性が高い、その時は守りに集中しろっていうメッセージだ」




 ドーグがシンの言葉で表情が変わる。
 そしてシンの肩をつかみ真偽を確認をする。




「幹部だと!魔王城は勇者のパーティによって制圧されたはずだ!魔王と幹部は全て倒されたんじゃないのか!」


「それは嘘だ、勇者は魔王の討伐に失敗した、幹部も生きている」


「なら責めるのは得策じゃない!魔王城を制圧してから残りを倒すのが歴史上での正しい戦い方だ!」


「勇者はもういない、それに幹部は俺が相手をする」


「不可能だ!幹部は勇者以外には絶対に勝てない!神の力を分けられたとしても勝てない場合があるんだ!」


「大丈夫だ、トトが大丈夫だと教えてくれた、今の魔王なら俺は倒せる」




 シンの自信に満ちた目でドーグは諦めがついた。
 ドーグはシンから離れて戦争の準備を開始した。そして……




「始まったか」




 少し経つと、戦争が始まった、シンは壁の上に立ち自分の軍と魔族の軍を見る。
 人数的に仲間の軍が勝っていたが、魔物がいる分、歩兵では不利に見える。




「さて……歩兵の数を減らさせてもらおうかな」




 シンが呟くと魔力が一瞬で莫大に増える。
 あまりの魔力量に隣にいた魔法使いとドーグが後ずさる。




「な、なんて魔力量だ……魔法使いじゃない俺ですら感じられるほどの魔力量、シン、お前は一体何者なんだ……」


「災害級炎魔法【地獄の炎】」




 シンが両手をつきだして魔法を放つ。
 魔族軍の上空に凄まじい大きさの魔法陣が出現し、そこから下に黒い炎が放たれた。




「なっ……!?」




 ドーグが熱気で顔を隠しながらも魔法を見ると、黒い炎が魔族軍と共に下の地面すらも溶かしていた。シンのたった一回の攻撃によって準備していた魔族軍の8割は灰すら残らなかった。




「これで動き出すはずだ、魔王城のだれかが」




 シンは壁から飛び降り、風魔法を使い魔族軍のもとに向かった。
 途中でシンの魔法に驚いている人族の軍隊に声をかけ、攻めるように指示を出した。




「早く出てこい、力を試したいんだ」




 シンの表情がレイドのような黒い表情に変わり飛ぶスピードが上がる。
 神玉を手に入れてからシンはどこかおかしかった。

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