ダブル・デザイア 〜最強の力は神をも超える〜
犬(レイド編)
レイドはサウンドウルフの実力を知るために攻撃範囲の手前に立つ。
「さて、速度重視の魔物をどう攻略するか…」
レイドは頭をかきながらそう呟く。
そして少し自分なりに考えた後に攻撃範囲に入った。
(考えても始まらねぇ、自分の体で感じる…)
レイドが攻撃範囲に入った瞬間、視界の中からサウンドウルフの姿が消える。
そして次にレイドの目に移った景色は地面だった。
「がっ…!?」
「グルゥゥゥ」
想像をはるかに超えた速度に驚きながらも立ち上がり唸り声が聞こえた方向を見る。
しかし、そこにはサウンドウルフの姿はなく、後ろから攻撃された。
「なっ!?」
攻撃力はロアモンキーよりは少し劣っていたが無防備な背中で攻撃を受けたため簡単にヒールスポットに吹き飛ばされた。一個目の部屋で何回も瀕死になったおかげで痛みには慣れていた。
「くそが…予想以上に早い、今回も時間がかかりそうだ」
二日目…傷を完治させたレイドはロアモンキーの時と同じく防御に専念して攻撃範囲に入った。
サウンドウルフもそれに反応し、レイドに攻撃を仕掛けた。
「グルゥゥゥ!」
「がっ…!?」
防御に専念したレイドだったがサウンドウルフの姿をとらえることができずに攻撃をまともに受ける。しかし、攻撃された場所を押さえながらその場になんとか立っていた。
「ステータスの値は同じでも差はあるようだな…一発は耐えたぞ、犬っころが…」
「ガアァァァ!」
「…二発目は無理だぜ」
サウンドウルフの容赦のない追撃を苦笑いしながら受けヒールスポットまで吹き飛ばされた。
「骨折れんのは…慣れても痛ぇな…」
三日目…傷を完治させたレイドは攻撃範囲の前に立ちサウンドウルフから目を離さないようにじっと見つめる。そして、攻撃範囲に入りサウンドウルフの攻撃をどうにか見ようとする。
「これでも見れないかっ…!?」
「グガァァァ!」
捉えることに集中したレイドは攻撃に耐えることができずに吹き飛ばされた。
今回も収穫が無いように見えたがレイドはあることを発見していた。
「見つけたぞ…あいつの倒し方…」
『へぇ、今回は早かったね、それで何なのさ?』
「俺に向かってくるまでの足跡を見つけれた、おそらくあいつも自分の速さになれていない、一直線にしか移動できないんだ」
『なるほどね、じゃあ今回は早く終わりそうだね』
四日目…傷を完治させたレイドは昨日見つけた相手の弱点を頭に入れながら攻撃範囲に入る。
サウンドウルフが反応し、レイドに攻撃を仕掛けた。
「いまだ…!」
レイドは視界からサウンドウルフがいなくなった瞬間、横に飛んだ。
サウンドウルフの突進が空を切り、攻撃の回避に成功した。
「よし、弱点はあっていたか」
レイドが口角を上げて喜んでいるとサウンドウルフが強靭な足で凄まじい速度から急停止した。
そして、後ろ足でちょうど着地したレイドを攻撃した。
「ウソだろっ…!?」
予想外の身体能力に驚き防御が遅れたレイドはヒールスポットまで吹き飛ばされた。
「そんな甘くねぇか」
『まだ時間がかかりそうだね』
五日目…傷を完治させたレイドは二撃を避ける作戦を頭に入れながら攻撃範囲に入る。
サウンドウルフが反応し、レイドに攻撃を仕掛けた。
「まず一発目」
昨日と同じ方法でレイドは一撃目を避け、サウンドウルフも昨日と同じ動きでレイドに攻撃を仕掛ける。レイドはつま先が地面に着くとつま先だけで無理やりバク宙をして攻撃を避けた。
「次は何だ?」
「ガルゥゥゥ!」
追撃を避けられたサウンドウルフは自慢のスピードで距離を縮め爪で攻撃を放つ。
鞘に入った剣でその攻撃を受け止め、その勢いを利用するようにカウンターを放つ。
「上級拳技【重拳】」
至近距離ではなった鋭い一撃、レイドは確実に決まったと思っていた。
しかし、その攻撃は空を切り体勢が崩れた。
「なにっ…」
「グルゥゥゥ!」
「もう…後ろに…?」
「ガルアァァァ!」
後ろからの唸り声に気がついたレイドは振り返る。
その瞬間に今まで以上の強力な一撃がレイドを襲いヒールスポットまで吹き飛ばした。
「想像以上のスピードだな…」
六日目…傷を完治させたレイドは攻撃範囲に侵入する。
サウンドウルフが反応し、レイドに攻撃を仕掛けた。
「一発目」
横に避け攻撃を避け、追撃も昨日と同じくバク宙で回避する。
そして三発目を受け止めることはせずに体をそらして避ける。
「よし、攻撃は見切った、体力無くなるまでやろうか」
レイドが笑いながらサウンドウルフに話しかける。
サウンドウルフもそれに応えるかのように連撃を放つ。
「グルゥゥゥゥ!」
レイドはサウンドウルフの攻撃を華麗によけていく。
しかし、時間がたつごとに避けるのがぎりぎりになって行った。
(なんでだ?まだ体力は残っているはずなのに避けるのが辛くなってくる)
『レイドが遅くなっているわけじゃないよ、サウンドウルフが速くなっているんだ』
(やはりか…スキルだろうが、これ以上速くなられると俺も…)
サウンドウルフの攻撃がさらに速くなり、レイドにかすり始める。
そしてついにレイドの腹に攻撃が直撃する。
「まずい…意識が…一瞬…」
レイドが意識を戻した瞬間、サウンドウルフの突進によってヒールスポットまで吹き飛ばされる。
「…っ!」
一週間目…傷を完治させたレイドは攻撃範囲に入り攻撃に備える。
サウンドウルフが反応し、レイドに攻撃を仕掛けた。
「まず一発目」
横に避け攻撃を避け、追撃も昨日と同じくバク宙で回避する。
そして三発目を受け止めることはせずに体をそらして避ける。
「避けんのはここまでだ」
レイドはそう呟いて、手をクロスさせて防御の姿勢に入る。
サウンドウルフの猛攻をレイドはじっと耐え続ける。
「ぐっ…!」
「ガルラァァァァ!」
防御に徹しているため耐えれてはいるが、ジリ貧なのは明らかだった。
レイドもそれを察して我慢比べの勝負を開始する。
「上級拳技【連打拳】」
サウンドウルフの攻撃を正面から受けながらレイドは攻撃を続ける。
今までダメージを与えられなかったが、今回は自分もくらう代わりに与えることができていた。
「先に受けていたせいか…厳しいか…」
強力な一撃に吹き飛ばされないように耐えていた足に限界に達し、吹き飛ばされた。
レイドは今まで以上のダメージを受け瀕死に陥っていた。
「攻撃を認識していればスキルで2分程度は耐えられることがわかった…」
二週間目…傷を完治させたレイドは攻撃範囲に入る。
サウンドウルフが反応し、レイドに攻撃を仕掛けた。
「今日も正面からやり合おうぜ、上級拳技【連打拳】」
「グルゥゥゥ!」
レイドはサウンドウルフの初撃を避けることなく受けその場で耐えた。
そして、お返しと言わんばかりにレイドがサウンドウルフを殴った。
「おらぁ!」
「グガァァァ!」
攻撃を受けては攻撃を当て、攻撃を受けては攻撃を当てを繰り返した。
しかし、その拮抗を破ったのはスピードが上がり続けるサウンドウルフだった。
(スピードが上がってくると一発ごとに二発も攻撃をもらっちまう…)
どんどんとキレを増すサウンドウルフの攻撃にレイドは意識を飲みこまれた。
意識を失っても続く攻撃でレイドは目を覚まし、それと同時に今日もヒールスポットまで吹き飛ばされた。
「また今日も…」
『毎日すごいね、少しは休憩したら?』
「待ってるやつらが…いるんだ…」
レイドが呼吸を乱しながらロキに応える。
『アニムス?恋の力はすごいねぇ~』
「恋なんかじゃねぇよ…」
ロキが煽るようにそう言うとレイドは照れながら口元を隠してそう呟いた。
『ふーん、君が言うなら信じるけどね~」
三週間目…傷を完治させたレイドは攻撃範囲に入る。
サウンドウルフが反応し、レイドに攻撃を仕掛けた。
「犬っころ、そろそろ勝負付けようぜ」
「グルゥゥゥゥ!」
今日もまたレイドはサウンドウルフの初撃を避けることなく受けその場で耐えた。
そして、お返しと言わんばかりにレイドがサウンドウルフを殴った。
「上級拳技【連打拳】」
今日も攻撃を受けては攻撃を当て、攻撃を受けては攻撃を当てを繰り返した。
毎日、同じことを続けているレイドは先週と比べ明らかに長い時間サウンドウルフと拮抗を保っていた。
(いいかげん倒れろ、犬!)
両者ともボロボロになり満身創痍だった。
そんな状態で先に体力が尽きたのは今日もレイドだった。
「足に限界が…!?」
「ウガァァァ!」
サウンドウルフの一撃でレイドはヒールスポットまで吹き飛ばされた。
一個目の部屋と違い怪我で動けないというよりは消耗しきってしまっている様子だった。
「はぁはぁ…はぁ…明日こそは…」
一ヶ月目…傷を完治させたレイドは攻撃範囲に入る。
サウンドウルフが反応し、レイドに攻撃を仕掛けた。
「来い…」
「グルゥゥゥゥゥ!」
今日もまた、レイドはサウンドウルフの初撃を避けることなく受けその場で耐えた。
そして、お返しと言わんばかりにレイドがサウンドウルフを殴った。
「今日こそ突破してやるぞ、犬っころが!」
今日も攻撃を受けては攻撃を当て、攻撃を受けては攻撃を当てを繰り返した。
毎日、同じことを続けているレイドはさらに長い時間サウンドウルフと拮抗を保っていた。
「まだか…!まだ足りないのか!」
レイドがサウンドウルフと殴り合いながらそいった瞬間、サウンドウルフに異常が出始めた。
ずっと上がっていた攻撃の速度が落ち始め、手足が震え始めていた。
「…あと少しか!」
レイドはそのことに気がつき攻撃の速度をさらに速める。
段々とサウンドウルフの攻撃の回数が減り、ついには受けるだけになってしまった。
「終わりだ!何日かわからんが、ありがとな!」
レイドの強烈な一撃がウルフの骨、内臓を壊しサウンドウルフを地面にたたきつけた。
サウンドウルフは弱い鳴き声を上げながら絶命した。
「はぁ…はぁ…はぁ…あと8個」
レイドはそんなことを呟きながらドアをくぐった。
そこには今までと同じような草原が広がり、ドアの目の前に一匹の白色のスライムがいるだけだった。
「ヒールスポットは…あるな。次はスライムか、【鑑定】」
レイドはサウンドウルフの時と同じ方法で安全地帯から【鑑定】を使用してステータスを見た。
----------------------------------------------------------------------
アンユージュアルスライム
種族 スライム族
HP:AA
MP:AA
INT:AA
STR:AA
DEF:AA
DEX:AA
AGI:AA
LUK:D
MGA:火 A 水 A 風 A 土 A 無 A 光 A 闇 A
----------------------------------------------------------------------
レイドは想定していた以上のステータスに固唾をのんだ。
「スライムがこのステータス…マジでどうなってんだ」
『このスライムがいるなんて珍しいね』
「何か知っているのか?」
レイドが呟いていると、ロキが入って来た。
そのロキにレイドが質問すると、ロキは思い出すように語った。
『あのスライムはスライム族の天才の中の天才って感じかな、スライムは繁殖能力が高いから天才はよく生まれるんだ。でも、その天才スライムの中でも天才なのがアンユージュアルスライムってこと。それ以外は知らないかな』
「なるほど…大した情報じゃなかったな」
『聞いといて失礼だなー』
ロキがふてくされたような声でそういう。
レイドはそんなロキを無視して、今回の部屋の攻略方法を考えた。
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