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ダブル・デザイア 〜最強の力は神をも超える〜

真心の里

圧倒的な戦略(シン編)

 シンはアニムスに吹き飛ばされ地面に近くなると風魔法で受け身を取った。
 そして元いた場所の方向を見ると風魔法でこちらへと向かってくるアニムスを確認した。




「さて…お前も神玉については知っているんだよな?」


「話している時間がもったいない、早くあなたを殺してクズに復讐をしたいの」




 アニムスはそう言って魔法の詠唱を始めた。




「火の精霊よ、我の目線にあるものを燃やしつくさばや、今こそ我にその力を貸したまへ、中級炎魔法【爆炎エクスファイヤー】」


「いきなりか…水の精霊よ、我の正面に水球を飛ばしたまへ、初級水魔法【水球ウォーターボール】」




 アニムスの魔法がシンに向かって放たれる。
 その瞬間にシンが水魔法で応戦する。




水球ウォーターボールにしては大きい、でも初級魔法でわたしの魔法は防げない」


「知っているさ…魔法の精霊よ、無の力を衝撃に変へよ、初級無属性魔法【衝撃インパクト】」




 シンの魔法とアニムスの魔法が当たる瞬間に水球ウォーターボールの中に向けて衝撃インパクトを放つ。
 その瞬間に大きな水の球がはじけ飛び、激しく砂埃が舞う。




「くっ!内部から威力を加えて相殺…水と火が相性悪いから意外と簡単に消された、普通の魔法使いじゃなさそう」




 アニムスはシンの評価を変えて砂埃を消えるのを待つ。
 砂埃が消えると、シンの姿がそこにはなかった。




「どこに…」




 シンの行方を捜すようにアニムスは気配を探る。
 そのシンはというと近くの岩の後ろに隠れていた。




(多分だが魔法の力はアニムスとか言う奴のほうが上だ…しかしあいつは俺の【状魔変化】の存在を知らない、
 この戦いは【状魔変化】の使い方によって決まるはずだ…)




 シンはそう考えてこっそりと【状魔変化】を使用する。




「魔法の精霊よ、無の力で敵を探りたもう、今こそその力を貸したまへ、上級無属性魔法【探知サーチ】」




 アニムスの魔法によってシンの居場所がばれる。
 場所が分かると容赦なくアニムスは岩に攻撃を放った。




「風の精霊よ、我にその力を纏わせたもう、今こそその力を貸したまへ、上級風魔法【風衣】」




 シンは自分の瞬発力を上げる魔法を使用してかろうじて攻撃をよける。
 アニムスは間髪いれずに追撃を放つ。




「風の精霊よ、我に敵対し者全てを貫きたもう、今こそその力を貸したまへ、上級風魔法【風貫エアスパイラル】」




 アニムスの頭上に複数の風の槍が出現してシンに襲いかかる。




「土の精霊の力よ、我の目の前に壁を作りたまへ、中級土魔法【土壁】」




 シンは自分の目の前に土の壁を作りだしてアニムスの攻撃を防ぐ。
 そしてダッシュでアニムスに近づく。




「近寄らせない、風の精霊よ、我の目の前の敵を貫きたもう、今こそその力を貸したまへ、中級風魔法【風槍エアスピア】」




 アニムスの目の前に槍が出現してシンに向かって発射された。
 シンは魔法を使うことなくアニムスの表情から狙っている場所を特定して魔法が発動する前に移動して避けた。




「攻撃を読まれた?」


「騙すスキルを持っていなくて助かった、火の精霊の力よ、全てを吹き飛ばす力を我に貸したまへ、戦術級炎魔法【爆炎】」




 シンが先ほど作り出した魔法がアニムスの近くで発動し
 青い炎の火柱が立ちアニムスを包み込んだ。




 シンは油断せずに火柱との距離を取る。
 少し経つと火柱が消えてアニムスの様子が見えた。




「少しだけびっくりした」


「…あれで傷一つなしかよ」




 アニムスは服についた汚れを払いながらそう言った。
 そのあまりの予想外の状態にシンは笑いながらそう呟いた。




「あなたは確かに私たちの障害になりえるかもしれない、この場で殺しておくのが得策
 火の精霊よ、地獄の門を開き地獄の滅びの炎の一部を使いし力、その力を今一度我に貸したまへ、戦略級炎魔法【地獄炎インフェルノ】」




 シンの上空に大きな魔法陣が出現し、黒い炎の弾がシンに向かって放たれた。
 その様子にシンは驚きながらも笑っていた。




「なんで笑っているの?さっきの様子からしてあなたの最高の技は戦術級のはず」


「くっくっく…賭けに勝ったからさ、お前が戦術級魔法を使ってくれるのをな【解析】」




 シンはアニムスが放った【地獄炎インフェルノ】を【解析】した。
 シンの頭に魔法の情報が流れる。




(一番最初に【解析】を発動したときにある文字列が頭に流れてきた。
【状魔変化】に慣れてきたせいか、【解析】を使わないことが多くなってきていた。
 しかし岩の裏で考え事をしていたときにふと思い出した、それは…)




[解析結果]
 詠唱が唱えられる→対象の魔法が発動
 設定してください→発動中止




「やはりあったな…【状魔変化】[何か物体に触れる→発動中止]に変更」




 シンは【状魔変化】を使用してシンが隠れていてアニムスが壊した岩の残骸を【地獄炎インフェルノ】に向けて投げる。
 岩が【地獄炎インフェルノ】に触れた瞬間、【地獄炎インフェルノ】が消滅した。




「なっ!」




 アニムスは突如起こった予想外の減少に驚きを隠せなかった。
 シンはアニムスに近寄り笑って話しかける。




「やっと鉄仮面がはがれたな…お前が大技を使ってくれて助かった。
 この能力はできるだけ見せたくなかった、警戒されたら元も子もないからな。
 しかしさっきのでお前はだいぶ魔力が無くなっただろう。さてこっからは魔力が無くなった同士の勝負と行こうか」




 シンは不敵な笑みでアニムスに近寄る。
 アニムスは残った魔力で身体能力を強化した。




(私も一応レイドに近接戦は教わったし、ステータスだってきっと負けてない、この人も魔法使いなんだったら
 強化魔法を使っている分私が勝つはず)




 アニムスは空中に出現した黒い円から杖を取り出してシンに攻撃を仕掛ける。
 シンはそれを軽々と避けて腕をつかみ背負い投げした。




 アニムスは杖を巧みに扱い地面にたたきつけられるのを回避する。
 シンが距離を縮めるとアニムスは杖で突いて攻撃を仕掛ける。




「やっぱ近接術はできないようだな、あせって表情で行動が丸わかりだ」




 シンは未来でも見ているかのようにアニムスの攻撃をよける。
 アニムスはシンの言葉に冷静さを無くして大ぶりで攻撃を仕掛けてしまう。




「すまないがこれで終わりだ、魔法の精霊よ、無の力を衝撃に変へよ、初級無属性魔法【衝撃インパクト】」




 シンはアニムスの大ぶりの攻撃を避けて顔に向かって魔法を使用した。
 まともに食らったアニムスは簡単に吹き飛ばされた。




「な、なんで、魔法を使えるの」


「俺は魔力をなくなったと言ったが勝負の世界には嘘は必要だ」


「嘘なんかつかなくとも…最初から魔法で攻撃を仕掛ければよかった」




 アニムスはゆっくりと起き上がり質問をする。




「使ったとしたらお前の魔法で無効化されていただろう」


「わかっていたの…?」


「あの魔法を食らっていて無傷なら俺に勝ち目はない。ならそう考えたほうが精神状況が安定するだろ?」


「少しわからないことがある」


「なんだ?」




 アニムスは頭を撃たれた衝撃での回復を待つために時間稼ぎをする。




「私だって伊達に魔法使いをやっているわけじゃない。相手の魔力残量ぐらいはわかる。
 あんたの魔力残量は完全に0だった。どうやって騙したの?」




(…やっと回復できた、これでレイドが来るまで時間稼ぎをするだけ)




「なぁ、お前だったらもうわかってるだろうが俺は未来を見ることができるんだ」


「……」


「そんな俺がお前が時間稼ぎをしていることが分からないと思わなかったのか?」


「…わかっていて何で攻撃を仕掛けなかったの?」


「それは…いままでの言葉全部うそだからだ」


「え?」




 アニムスの後ろで…シンが隠れていた岩の残骸がある場所で魔法が発動する。
 その魔法は【衝撃インパクト】、その衝撃により大きな岩がアニムスを襲う。
 弱ったアニムスにそこそこの速さで向かってきた岩をよけることはできず、骨を何本か折られてしまった。




「っ!」




 アニムスは足の骨を折られ地面に倒れる。
 そしてシンのほうを向いて質問を投げかけた。




「どうやって…」


「俺の言ったことは嘘なんだ。未来を見ることはできないし、魔力も残っていなかった。
 更には戦術級を防がれたところで勝ち目がないとも思っていないし、作戦がうまくいくか精神は安定なんかしていなかった。
 すべてが最初から嘘なんだよ」


「どういう…」


「飛ばされた瞬間に作戦を考えたんだ…この結果になるようにな」




(そうか…この人は完全に私の思考をコントロールしていたんだ…私に大技を使わせてそれを防いで、
 その時点でこの人は何かしらの方法で時間差で発動する魔法を設置していた。そして勝負をしながら、
 私の感情を高ぶらせ、魔法を発動させたかのような完璧なタイミングで詠唱を唱えた。
 そして私が回復の為の時間稼ぎをするように気絶しやすい場所ではなく顔を狙った。
 私はこの人が思い描いていたように時間稼ぎをした、いやさせられた…私が回復をして油断した瞬間に攻撃するために)




 シンは最初から、岩に隠れたときからこの作戦を実行に移していた。
 シンの読唇術は元の席でも一級品だった。アニムスがいかに優秀な魔法使いとはいえ完全に作戦で負けてしまっていた。




「さて…そろそろ来てもおかしくない時間だな」




 シンがそう呟いた瞬間にアニムスの前にレイドが出現した。
 アニムスは申し訳なさそうに泣きながら謝り始めた。




「ごめんなさい…レイド、役に立つって言ったのに、邪魔はしないって言ったのに…」




 レイドはアニムスのことを静かに見つめる。
 アニムスは黙っているレイドを怒っていると思い、更に謝る。




「私のことを置いていってあなたの言うとおり私じゃあなたの邪魔になる…」


「もうだれも信用しないつもりだったのにな…」




 アニムスの必死な様子にレイドは口を開いてぼそっと呟く。




「今回のは俺の判断ミスだ…俺に責任がある、あまり気にするな」




 レイドはそう言って空中に出現した黒い円から鼻を取り出してアニムスの鼻に近づける。
 その瞬間、アニムスは静かに眠りについた。




「お前…名前は?」




 レイドはそう言いまがらアニムスのことをお姫様だっこする。
 シンはその様子を見ながら答える。




「シン…シン・アステカだ」


「…やはり神名を持っているか」


「レイド…神玉についてお前はなにを知っているんだ?」


「何のために神玉を欲しているかは知らないが、知りたければポートタウンに行け」


「ポートタウン?」


「そうだ…アニムスを殺さないでくれた恩はこれで返した。お前も神玉を欲するなら次に合った時は命はないと思え」




 レイドはそう言い残してシンの目の前から消えた。
 それと同時に雨が降り始めた。



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