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ダブル・デザイア 〜最強の力は神をも超える〜

真心の里

レイドの決意

 レイドはアニムスと出会った後にポートタウンに向かった。
 何事もなくついた2人は外壁を登りこっそり侵入した。




「やっぱりまだ船は来ていないらしいな。…あの場所に行かないといけないのか」


「あの場所って?」




 レイドは質問に答えずに町の裏路地に向かった。
 アニムスはムスッとしながらレイドについて行った。




 2人は明らかに怪しい裏路地に入る。
 裏路地は綺麗な町並みとは対照的で荒れていた。




「ねぇレイド、どこに向かってるか教えて」


「…こっからは俺一人で行く、金は渡すから宿で待ってろ」




 レイドはそう言ってアニムスにお金の入った袋を渡した。
 アニムスはそれを受け取る素振りはなかった。




「私も行く、邪魔にはならない。囮に使ってもかまわない。だから私のことを連れてって」


「…ッチ!後悔しても知らないからな」




 レイドはそう言って裏路地の奥へと向かった。




 2人が数分歩くと古びた苔の生えた民家があった。
 レイド達はその民家に入り人影を探す。




「レイド…この民家なにか変。魔力濃度が濃すぎる」


「そうなのか?俺じゃわからないな」


 民家の不自然さに違和感を覚えたアニムスはレイドにその違和感を告げる。
 2人が警戒をしていると民家の奥から老婆が出てきた。




「なにもんだ?」


 レイドが老婆にそう問いかける。
 老婆はついてこいと言わんばかりに無言で奥に向かった。
 レイド達もその老婆の後を追った。




「さて座りなされ」




 少し歩くと何もない空間の中心に椅子とテーブルが置かれている不思議な空間についた。
 老婆は2人に座るように促す。
 老婆が先に座るのを見てからレイド達は警戒しながら椅子に座った。




「さて、何から話しましょうかね…」


「その前に俺の質問に答えろ。一体お前はなにもんだ?」


「それを知らずにここに…お主は一体」


「俺はある存在からこの場所に来るように指示されただけだ」


「なるほどのぉ…では何か証拠を見してもらえるかい?」




 レイドは頷き右目を瞑り目を変える。




(レイドは星の瞳を見せるつもりなの?この人が星の瞳について知っている人だっていうの…)




 アニムスは老婆の体を隅々まで観察する。
 すると老婆はアニムスのほうを向き話しかける。




「嬢ちゃんも星の瞳は持っているようじゃな…しかしそれじゃちょっと無理じゃよ」


「なにが…」




 アニムスが質問をしようとするとレイドがゆっくりと瞼を開いた。
 レイドの右目は星の瞳ではなかった。
 その眼は瞳の中に模様が刻み込まれていた。




「これで証拠は十分か?」


「お主…それを渡されたのか?」


「そうだ、これについて何か知っているのか?」




 老婆はふるえながらレイドにそう問いかける。
 レイドは当然のごとく答える。




「それは…神玉。神の力が込められた物体、そしてこの世界を破滅に追いやる物体じゃ」


「神の力…?」




 アニムスは老婆の発言を不思議に思い言葉が漏れる。
 レイドは微動たりともせずに老婆の眼を見続ける。




「お主は一体どこまで知っているんじゃ?」


「これが神玉で合計で100あることは知っている。そしてこの力が俺の目的に必要だってことも」


「…その力を持ってしまった以上、まともな道には戻れん…それはわかっているのかい?」


「もともとまともな道に行くのは諦めた。目的を達成するのに一番効率的な手段をどんな方法であっても使う…俺はあの時そう誓ったんだ。そのためにはこの力をあの時より知る必要がある」


「そうかい…この神玉というものはもともと神が持っているをさらに引き出すための物体なんじゃ。
 たとえば風の神が神玉がない状態で力を使ったところで大した力はでん。他の生物に比べたら
 神という高次元な存在じゃからのもちろんすさまじい威力じゃが、この世界をどうにかできるほどの力はでん。しかし、神玉を使えば使ってない状態の比にはならんほどの威力が出せるという代物じゃ。神玉の仕組みは元のある力を強化することではなく上乗せなんじゃ。だからお主も使うことができる」


「なるほどな…しかしなぜこんな小さい物の中に神の力をはるかに超える力が詰まっているんだ?」




 レイドは右目を指さしながらそう質問した。
 アニムスはなにを言ってるのか分からないという表情をしながら黙って聞いていた。




「この神玉を作ったのは、神の、そしてこの世界の生みの親である創造神なんじゃ」


「…創造神?」


「創造神は子である神の遊戯としてこの世界を作った。そしてある時をきっかけに自分の力を子どもたちに託して、この作りだした世界の管理を任せた。その時に渡した力が…」


「神玉か…」


「そうじゃ。この世界を管理していたのはもともと創造神じゃったが。その管理していた力を分散し
 神玉として子どもたちに渡したんじゃ」


「話は理解した、それでこの物体が世界を破滅に追いやるってのはどういうことだ?」




 レイドがそう聞くと老婆は深呼吸をして答える。




「ふぅ…神玉は世界中に散らばっていたり、他の者の手に渡っていたり神が所持していない理由は知っているかい?」


「……」


「その理由は神たちが神玉をめぐって戦争したからじゃ。もともと神玉は創造神という神という存在よりもさらに上の存在の力が分散したものと言ったのぉ。つまり神玉を集めればどうなるかのぉ?」


「…そうか!今よりさらに上の次元の存在になれる!」




 アニムスが長らく閉じていた口を開いて立ちあがって大声を上げる。
 アニムスはすぐに冷静になり椅子に座る。老婆はアニムスの言葉に頷いて話を続ける。




「嬢ちゃんが言ったことと同じようなことを神たちは考えたんじゃ。神たちは他の神が持つ神玉を奪うために戦争をした。この世界はもちろんバランスが崩れ崩壊に近づいて行った。しかし創造神はその時の為にある存在達をひそかに隠していたんじゃ。その存在達は創造神が自分たちに渡していた力のほとんどを消費してあるルールを作ったんじゃ。それは…」


「……」


「……」




 レイドとアニムスは静かに次の言葉を待つ。




「神たちの直接的な戦闘行為の禁止じゃ」


「…なるほどな、そういうことか。勇者が神玉を渡される理由も、勇者の資格である神玉を魔王が持っている理由も、神が直接魔王を倒しにいかない理由も、全てわかったぞ」


「…?」




 アニムスはまたも状況が分からなくなり頭の上にクエスチョンマークを浮かべる。
 そんなアニムスを無視して話は続く。




「直接的な戦闘を禁止された神たちは一度は管理をまじめにし始めたが、一度はいがみ合った仲じゃ。そんな簡単に仲は治らん。すぐに戦争ははじまったんじゃ。
 勢力ごとに分かれて戦争は今もなお続いている。それこそ魔王や勇者といわれる存在を使って」


「そうか…そうか…、くっくっく…ありがとうな婆さん、二つ目の目標ができた」


「お主がやろうとしていることはわかる…しかしそれは長く険しく不可能に近い道じゃよ」




 レイドは不敵な笑みを浮かべながらそう言った。
 老婆は何かを悟りレイドに確認を取る。




「このくそみたいな争いは神とかいう奴のせいなんだろう?なら俺があいつらの計画をぶち壊してやる。俺がこの世界を一回リセットしてやる。そしてやり直しだ。全てを…そのための情報、ありがとうな、感謝する」




 レイドはそう言って民家の出口へと向かう。
 アニムスはレイドの後ろについていこうとする。




「嬢ちゃん…嬢ちゃんはあやつについて行くつもりかい?」


「…あなたたちの会話はあまり理解できなかった。けど話の途中で運命が見えた。
 レイドがこの世界を変える瞬間が…私は自分の眼を信じる」




 アニムスはそう言ってレイドの後を追った。




「あやつが世界を…かっかっかっ、面白いのぉ、ならわしも穣ちゃんの眼を信じてみるかの、この30億年も続く…終わりのない戦争を終わらしてくれることを…」




 老婆はそう呟いてその場所から突如として消えた。




 レイドとアニムスは外に出てすぐに宿に向かった。
 その道の途中でアニムスはレイドの前に立ち質問をした。




「さっきの話を聞いて剣聖への復讐はやめたの?」


「…そしたら、お前は俺から離れていくのか?」


「…ねぇ、やっぱりあなたにとって私は邪魔?」




 レイドの様子を窺うようにアニムスは首を傾けて聞く。




「俺の道には泥臭くて、クソみたいな道しかない。まともな奴が来る道じゃない」


「…私は昔から自分の眼を何よりも信じている。この眼はあなたについて行けって言ってる。
 あなたの言葉を否定はしない。けどそれ以上に私はこの眼が伝える運命を否定しない」


「そうか…」


「それでも私の最大の目標は剣聖に復讐すること、それを捨ててまではついていけない」


「…安心しろ、あいつらへの復讐は俺にとって最大の目標なのは変わりはない」


「よかった…」




 アニムスは少し微笑んでそう呟いた。
 二人は会話を終えて宿に向かった。

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