箱庭の魔王様は最強無敵でバトル好きだけど配下の力で破滅の勇者を倒したい!
5・人柱の少女
俺は柱の陰からこちらを覗いている少女に声を掛けた。
「誰だい、お前は?」
俺の質問に柱の陰から姿を完全に出さないまま少女が弱々しい声で答える。
『あなたこそどなたですか……?』
ああ、質問に質問で返してきたよ。
面倒臭いタイプの女の子かな?
でも声は綺麗で口調も可愛かったぞ。
しゃあない、ならば俺から答えてやるか。
「俺は転生してきた新しい魔王だ。名前は……。あ~、なんだったっけな……。ド忘れしちゃったよ……」
うぬぬ~、名前を思い出せない。
確か舌を噛みそうな名前だったのは覚えているが、それ以上は思い出せないぞ。
「確か名前はエリクなんたらだ」
『エリクなんたら?』
巫女服を纏った金髪の少女は首を傾げる。
「エリクでかまわん。そう呼んでくれ」
『魔王、エリクさま……』
「そう、新魔王エリクだ」
思い出せないものは仕方がない。
この先はエリクと名乗っていこう。
そもそも名前なんぞ小さな問題だからな。
「それで、お前は何者だ?」
ついでだからどんどん質問しちゃおうかな。
「そして、ここはどこだ?」
少女は俺の質問に答えてくれた。
『ここは忘れられた墓城です……』
「ぼじょう?」
お墓の城なのか?
それとも、お墓が城なのかな?
どっちだろう?
俺が詰まらないことで悩んでいると少女が柱の陰から語り出す。
『昔は魔王様の眷族が住んでおられましたお城でしたが、魔王様が亡くなられたあとはお墓として使われておりました』
「それで墓城なのか」
『はい……』
「それで、お前は誰だ?」
少女はおどおどしながら答えた。
『僕は人柱の巫女の……霊です……』
「人柱の巫女の……霊?」
人柱って、生け贄とかの類いなのかな?
少なくとも祀られて殺された人だよね?
それよりも、こいつ僕っ娘だよ。
本当に居るんだな、僕っ娘って……。
『簡単に申し上げますと、僕は巫女の幽霊です。ゴーストです』
俺はポンっと手を叩いてから言った。
「なるほど。要するに、ゴーストでアンデッドってことか」
『そうなります……』
それにしてもだ。
「こんな可愛らしい少女を人柱として捧げてしまうなんて、なんて美少女の無駄遣いなんだろうな。実に勿体無い話だぜ」
『そ、そうですか、てへへ……』
あっ、なに、このゴーストは?
死人なのに照れてやがるぞ。
でも、可愛いじゃあねえか。
「ところでお前の名前はなんて言うんだ?」
柱の陰から姿を出した少女の霊は微笑みながら名乗る。
『僕はキルルと申します、魔王様』
なんだ?
名前を訊かれて嬉しそうだな?
まあ、いいか。
「ところでキルルとやら、いろいろ訊きたいことがあるのだが、訊いても良いかな?」
『はい、なんでございましょう?』
キルルは柔らかく微笑みながら答えた。
その美少女に俺は個人的な質問を投げ掛ける。
「歳はいくつなん?」
キルルは俯きながら少し暗い表情で答えた。
『おそらく死んでから数千年ぐらいかと……』
「数千年って、すげ~長生きだな。いや、死んでるんだっけ」
『はい、僕は死んでいます……』
「生前の歳は?」
『14歳で人柱として祀られました……』
「14歳か~。そこで精神年齢は止まっているのか?」
キルルはキョトンっとした表情で首を傾げる。
『僕には訊かれている意味が理解できませんが……』
「なるほどね」
おそらく精神年齢は14歳だが、実年齢は数千歳を突破しているのだろう。
要するに、手を出しても合法だ。
犯罪にならないぞ!
そもそも幽霊だ。
エロいことをしても犯罪にならないだろうさ。
なんかラッキーな出会いである。
これは俺のハーレム一号として確保しなくてはならない人材だろう。
童貞放出の候補である。
「キルル、最後の質問だ。これは重要なことだから素直に答えるのだぞ!」
『は、はい……』
俺はズバリと訊いた。
「お前は処女か!?」
そう、俺は誓いの呪いのために処女には手が出せない。
おそらく相手が死んでいようと生きていようと関係ないだろう。
だから、これはヒロインを選ぶのに重要な質問である。
キルルの顔が真っ赤だった。
モジモジしながら恥ずかしそうに答える。
『ひ、人柱の巫女は、基本的に汚れなき乙女しか選ばれませんでしたから……』
っと、言うことは……。
「ちくしょう!!」
俺は膝から崩れ落ちて、石畳の床を拳で叩いた。
「なんたることだ!!」
『ど、どうかしましたか!?』
俺は女神アテナの言葉を思い出していた。
それは処女の誓いの文言だ。
「俺は処女を抱くと死んでしまう。それが俺に着せられた誓いと言う名の呪いなのだ!」
死の呪い。
それは屈辱的な呪いだ。
ムカつく運命である。
「ち、ちくしょう! こんな可愛い娘に出会えたのに、抱くことが出来ないなんて、ガッカリだ! マジでガッカリだぞ!!」
『抱くってなんですか!!??』
こうして俺の異世界転生は、少しずつ歯車が噛み合わなくなっていくのである。
まるでネジが外れて演奏が可笑しくなったオルゴールのように……。
「誰だい、お前は?」
俺の質問に柱の陰から姿を完全に出さないまま少女が弱々しい声で答える。
『あなたこそどなたですか……?』
ああ、質問に質問で返してきたよ。
面倒臭いタイプの女の子かな?
でも声は綺麗で口調も可愛かったぞ。
しゃあない、ならば俺から答えてやるか。
「俺は転生してきた新しい魔王だ。名前は……。あ~、なんだったっけな……。ド忘れしちゃったよ……」
うぬぬ~、名前を思い出せない。
確か舌を噛みそうな名前だったのは覚えているが、それ以上は思い出せないぞ。
「確か名前はエリクなんたらだ」
『エリクなんたら?』
巫女服を纏った金髪の少女は首を傾げる。
「エリクでかまわん。そう呼んでくれ」
『魔王、エリクさま……』
「そう、新魔王エリクだ」
思い出せないものは仕方がない。
この先はエリクと名乗っていこう。
そもそも名前なんぞ小さな問題だからな。
「それで、お前は何者だ?」
ついでだからどんどん質問しちゃおうかな。
「そして、ここはどこだ?」
少女は俺の質問に答えてくれた。
『ここは忘れられた墓城です……』
「ぼじょう?」
お墓の城なのか?
それとも、お墓が城なのかな?
どっちだろう?
俺が詰まらないことで悩んでいると少女が柱の陰から語り出す。
『昔は魔王様の眷族が住んでおられましたお城でしたが、魔王様が亡くなられたあとはお墓として使われておりました』
「それで墓城なのか」
『はい……』
「それで、お前は誰だ?」
少女はおどおどしながら答えた。
『僕は人柱の巫女の……霊です……』
「人柱の巫女の……霊?」
人柱って、生け贄とかの類いなのかな?
少なくとも祀られて殺された人だよね?
それよりも、こいつ僕っ娘だよ。
本当に居るんだな、僕っ娘って……。
『簡単に申し上げますと、僕は巫女の幽霊です。ゴーストです』
俺はポンっと手を叩いてから言った。
「なるほど。要するに、ゴーストでアンデッドってことか」
『そうなります……』
それにしてもだ。
「こんな可愛らしい少女を人柱として捧げてしまうなんて、なんて美少女の無駄遣いなんだろうな。実に勿体無い話だぜ」
『そ、そうですか、てへへ……』
あっ、なに、このゴーストは?
死人なのに照れてやがるぞ。
でも、可愛いじゃあねえか。
「ところでお前の名前はなんて言うんだ?」
柱の陰から姿を出した少女の霊は微笑みながら名乗る。
『僕はキルルと申します、魔王様』
なんだ?
名前を訊かれて嬉しそうだな?
まあ、いいか。
「ところでキルルとやら、いろいろ訊きたいことがあるのだが、訊いても良いかな?」
『はい、なんでございましょう?』
キルルは柔らかく微笑みながら答えた。
その美少女に俺は個人的な質問を投げ掛ける。
「歳はいくつなん?」
キルルは俯きながら少し暗い表情で答えた。
『おそらく死んでから数千年ぐらいかと……』
「数千年って、すげ~長生きだな。いや、死んでるんだっけ」
『はい、僕は死んでいます……』
「生前の歳は?」
『14歳で人柱として祀られました……』
「14歳か~。そこで精神年齢は止まっているのか?」
キルルはキョトンっとした表情で首を傾げる。
『僕には訊かれている意味が理解できませんが……』
「なるほどね」
おそらく精神年齢は14歳だが、実年齢は数千歳を突破しているのだろう。
要するに、手を出しても合法だ。
犯罪にならないぞ!
そもそも幽霊だ。
エロいことをしても犯罪にならないだろうさ。
なんかラッキーな出会いである。
これは俺のハーレム一号として確保しなくてはならない人材だろう。
童貞放出の候補である。
「キルル、最後の質問だ。これは重要なことだから素直に答えるのだぞ!」
『は、はい……』
俺はズバリと訊いた。
「お前は処女か!?」
そう、俺は誓いの呪いのために処女には手が出せない。
おそらく相手が死んでいようと生きていようと関係ないだろう。
だから、これはヒロインを選ぶのに重要な質問である。
キルルの顔が真っ赤だった。
モジモジしながら恥ずかしそうに答える。
『ひ、人柱の巫女は、基本的に汚れなき乙女しか選ばれませんでしたから……』
っと、言うことは……。
「ちくしょう!!」
俺は膝から崩れ落ちて、石畳の床を拳で叩いた。
「なんたることだ!!」
『ど、どうかしましたか!?』
俺は女神アテナの言葉を思い出していた。
それは処女の誓いの文言だ。
「俺は処女を抱くと死んでしまう。それが俺に着せられた誓いと言う名の呪いなのだ!」
死の呪い。
それは屈辱的な呪いだ。
ムカつく運命である。
「ち、ちくしょう! こんな可愛い娘に出会えたのに、抱くことが出来ないなんて、ガッカリだ! マジでガッカリだぞ!!」
『抱くってなんですか!!??』
こうして俺の異世界転生は、少しずつ歯車が噛み合わなくなっていくのである。
まるでネジが外れて演奏が可笑しくなったオルゴールのように……。
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