体験奇談猫又日記

猫又

発覚の原因

今から三十年程前の吉祥寺での体験。

吉祥寺駅近くのその界隈の四十年程前頃は、都内のみならず全国的に、悪党の有名スポットだった。

銭湯を中心に飲み屋、風俗店が建ち並び、その殆どが暴力的なボッタクリしか存在せず、子供は勿論サラリーマンですら近付かないスポットが存在した。

駅が近い為地元のサラリーマン以外の方々が近道だとその通りに入ろう物なら、柄の悪い男達に囲まれ、店内に蹴り込まれシャッターを閉められてしまう。
そんな恐ろしい地域も存在した。

従って、指名手配の潜伏先としても有名で、月に数回、警察から従業員確認が有ったそうだ。

そんな時代から十数年後、ほぼ全て健全な営業が当たり前になった頃の話し。

駅前の大通りから路地を曲がるとその地域に入る。

ピンクサロンがひしめき、キャバクラ、スナック、大人のオモチャ屋。二~三階建ての建物が建ち並びそんな店がビッシリ。
路地には呼び込みの方が多い位。

ある日の夕方、出勤してきた女性が呼び込みと挨拶しながらオモチャの前に通り掛かった瞬間。

ギャ~!っと絶叫しその場で腰を抜かしてしまった。

地域性の為結束力の強い地域で、路地に居た呼び込みが皆走り寄った。

どうした!
どうした!

腰を抜かし泣きじゃくる女性を取り囲み皆で事情を聞くと、震えながら女性がオモチャ屋の二階を指差した。

二階はスナック、窓は板で塞いで看板になっていた。

皆何の意味か解らず詰めよった。

少し落ち着きを取り戻した女性が、あそこから血だらけの女性が顔を出して居たと。

勿論、板張りの為不可能だ。

更に皆でなだめている最中、数人の呼び込みが有ることを思い出した。

そう言えばここ最近店休んでないか?

ママも見掛けないな?

電気も点いてないな?

呼び込み達が疑問に思い、ママと仲の良い二人が店に入る為階段を登っていって数分後、今度は二人の絶叫がした。

急な階段を転がる様に飛び出して来た二人は、警察!警察!と絶叫する。

ただ事では無いと皆直感し即通報。

なんとママは店内で刺殺されていたのだ。

警察曰く、死後数日経っていたと。

犯人は客で、直ぐに捕まった。


実はその一帯は、吉祥寺駅が出来る為に墓地を潰して作られた地区で、他に三件店内宿泊禁止の店が存在した。

現在のその一帯は、古いビルを全て取り壊し、全く面影は無い。
墓地だった風俗街のみ無くした感じだ。

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