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Fog HOTEL

二重丸 大牙

第五章 渇き ~2~







 快は、必死で仲間を探した。
自分だけでは、あのように理性を失った零士を止める事は出来ないからだ。
歩夢だけで抑えきるのにも時間が限られている、それを知っているから快は焦っていた。
誰も傷つかないように、誰も悲しい思いをしないで済むようにと祈りながら快は走っていたのだった。







 零士は、血を欲する欲求のあまりに完全に理性を失っていた。
頭の中では、喉をあの美味しい血で潤したい・・・・その獲物が目の前から逃げようとしている、もう直ぐ手に入るはずなのに、それを邪魔する者がいる。
零士の目には、既に歩夢は仲間ではなく欲求を邪魔する者になり果てていたのだった。



「早よ退けや!エサが逃げてしまうやろうがぁ!!!!!!!」



零士は感情のままに怒鳴る。私は、その声で、歩夢の事が心配で仕方なかった、不安と緊迫した状況を感じながら走り続けた。

理性のない零士は感情のままに暴れまくる。それを歩夢は必死で取り押さえようと苦しんでいた。



「彼女を傷つけさせない。彼女と約束したのだから・・・・」



歩夢はそう言うと、零士をやっとのことで床に抑えつけたのだ。
その瞬間、零士が嫌らしくニヤリと笑うと、どこに隠していたのだろか恐ろしいほどの力で歩夢を突き飛ばすと、歩夢は抵抗できずに天井に突き上げられ床に倒れたのだ。



「弱い奴が俺に勝てると思ってたんか・・・」



零士は床に倒れこんでいる歩夢に冷たく言い放つと、ゲストを追いかけようとした
その時だった、歩夢が零士の足を掴み抵抗を試みたのだ。



「零ちゃん、お願い・・・しっかりして・・・」



自分の受けた身体の痛みに耐えながら歩夢は懇願するが、零士は冷たく見下ろした途端
歩夢のお腹を力一杯に踏みつけたのだ。



「うっ!!!!!!!」



歩夢は苦しさのあまりに声が出た。
そんな歩夢を見て、口角を上げて嬉しそうな表情で



「本当の飢えを知らん奴は、そんなのんきな事を言ってられる・・・
この渇きがどれほどに辛いかも知らんからな・・・・」



そう言うと、踏みつけている歩夢を意地悪気に蹴りを入れたのだ。
歩夢は、痛みに耐えながら身体を丸くして自分を守る



「ダメだよ・・・」



歩夢は、弱々しい声で言うと伸ばした手で足を掴んだ。
その歩夢の行動に零士の怒りは頂点に達しのだろ



「なら、教えてやるわ・・・・」



そう、言うとまだ倒れている歩夢の胸ぐらを強引に掴むと、その刹那零士は牙を剥きだし歩夢の喉元に喰らいつき、大きな音をたてて血を飲み始めたのだ。



「ぐぁ・・・・っ・・・ あ”・・・・」



あまりの激痛が歩夢の身体を走る。歩夢は零士から離れようともがくが、零士は強引に歩夢を抑えつけ離そうとしなかった。




そんな二人の前に恵吾が現れ、驚きながら二人に掛けよった。



「お前たち、これは何事やねん!離れろよ!」



快からこの惨状を聞いて駆け付けた恵吾は強引に二人の間に入り、歩夢を離そうと試みる。



「恵吾、アカンわ・・・零ちゃん完全に理性を失ってる・・・」



青空は目の前の零士の姿を見て愕然としていた。
今まで、心を通わせていた仲間の想像も出来ない変貌に足が動かなかったのだ。



恵吾が引き離そうとするが、零士は自分の欲望のままに強引に血を吸い続けている
痛みに耐えられず歩夢は叫びだし、ホテルは阿鼻叫喚の巷と化していた。



そこへ冷静な表情のままで優が歩いてくると、目の前の起こっている出来事に大きな溜息をつくと、廊下に飾ってあった花瓶を手に取り零士めがけって水をぶちまけたのだった。



その瞬間、あれ程までに地獄絵図だった世界がピタリと止まった。






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