今まで俺に冷たくしていた美少女が席替えで隣の席になった途端優しくしてくるんだが

時雨古鷹

第23話  もう怖くはない

「僕はまた新しいことをしようと思い料理動画を投稿しようと思いました。当時料理という料理はしたことがなく作れるのはカップラーメンと目玉焼き、ゆで卵くらいでした。そのため包丁も持ったことがなく何度も指を切りました。それでも諦めずに料理を続け上手にできるようになっていきました。僕はそれ以来、料理やピアノ、歌ってみた動画を投稿し続けました。また暫くすると動画の伸びが悪くなってきました。僕は考えた結果声を増やそうと思いつきました。しかしいくら頑張っても声が増えませんでした。そしてその原因を考えた結果目標がないから声が増えないと思い父の声をまず目標にしました。何度も何度も喉仏を痛めて時には辞めようかと思った時もありました。それでもなお諦めずに努力した結果出せるようになりました。父の声が出せるようになると次々に声が出せるようになりました。女性の声や無邪気な子供の声まで。そうして出せるようになった声で歌ってみた動画を投稿するとさらに登録者数が増えました。すると楽器屋などから無料で楽器を貰ったりするようになり家の中が楽器でいっぱいになってしまいました。そして僕はまた新しくオリジナル曲を投稿し始めました。作詞も作曲も自分でしました。するとまた登録者数が増えていきました」

「あの時はびっくりしたよ。なんせ突然家に五十万くらい置いて帰るんだからよ。何事かと聞いたらお世話になったお礼と言うんだよ。でもさすがに悪いと思って返しに行こうと思って家を出たらさらに百万持って来たんだからよ。聞いたら、使い切れないほどあるのであげますって言って帰って行ったんだよ」

弘の言葉に笑いが起こる。霧斗もその話には苦笑いした。

「おじさんの言う通りです。私にも突然お小遣いをくれ始めたんです。最初は千円くらいでしたけど今では月五万くれます。聞いてみたら、使い切れないからと言っていました」

「それはそうだけれども。確かに使い切れないほど収入があります。だけれどもそれはあの事故で父と母を亡くし、YouTubeを始めたからです。もし事故がなかったらYouTubeもやっていないし有名にもなっていません。あの事故がなければ今の僕はいないのです。けれども今になってもあの時の出来事が夢に出てきます。最初は怖かったんですが今ではもう怖くはないです。僕はあの出来事で変わりました。だから皆さんもきっかけがあれば変われると思うんです。しかし変わるということは自分で道を切り開いて行かなければなりません。例えば分からない言葉の意味をスマホなどで調べるのではなく知っている人に聞いてみるとか。いち早くその夢にたどり着くために簡単な道を選ぶのをやめて失敗も経験しながらその夢に向かって行くとか。授業でいうと問題の答えを面倒臭いからといって答えだけ書くのではなくなぜこうゆう答えになるのかを考えてみるとか。他にも変われるチャンスはあると思います。実際に僕も何度も何度も失敗して今の僕になってます。当たり前かもしれませんが誰もが一発で正解にたどり着くわけではありません。もちろんそういう人もいますが大抵の人は何度も失敗します。その失敗は自分を強くしてくれます。なぜこのような失敗が起こったのか考えることができます。ですので皆さんもこれからの人生、失敗を恐れずに生きてください。これで僕の発表…いや講和を終わります。ありがとうございました」

そして拍手が沸き起こった。頭をあげると皆感動したのか涙を流していた。こうして進路発表は終わり霧斗は教室に戻ったのだった。

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