今まで俺に冷たくしていた美少女が席替えで隣の席になった途端優しくしてくるんだが
第17話 あの日
梨華たちが帰ったあと霧斗は食器洗いをした。リビングを見ると美緒がだらしない格好でスマホを触りながらテレビゲームをしている。
「霧坊、たすけてー」
「何を?」
「負けるー」
よく見るとテレビゲームの方がぼろ負けの状態だった。霧斗はため息をつくと渋々操作を変わったが、案の定そのまま負けた。
「って宿題終わったの?」
「終わったよ。やっぱり茨乃ちゃんは教えるの上手いよね」
「俺は習ったことないから。まず文化祭の時まで喋ってもなかったから」
「そうか。霧坊って最近まで瞬坊しか友達いなかったんだ」
「そうだ。俺はもうふろ入って寝るから」
そう言って風呂に入り寝たのだった。
〜霧斗視点〜
「霧斗もう朝よ起きなさい」
「えーまだ寝てたいよー」
「じゃあお母さんとお父さんはちょっと出てくるからね。すぐ戻ってくるけど美緒のことお願いね」
「うん!!」
そう言って俺はお母さんとお父さんを見送った。この日が最後の日と知らずに…
「美緒、久しぶりにゲームしよー!」
「いいよお兄ちゃん」
「よし負けないぞー」
美緒と一緒にゲームをしていると電話がかかってきた。でもお母さんもお父さんも出かけていて電話に出る人がいない。俺は電話にでたことがまだ1回もなかった。しかしちょっと頑張ってみようと思い電話にでた。
「はいもしもし、篠宮です」
「はい。そんな…すぐに向かいます」
「近所の人に送ってもらうので場所を…分かりました。すぐに行きます」
電話をとると俺は泣きそうになったがこらえた。
「美緒、今からちょっとでてくるけどついてくる?」
「いやゲームしとく」
「わかった。鍵かけて出るから」
俺はそう言って隣の家に行った。泣きながら…
「おじさん!!いる?」
「おお霧斗君か…どうした?そんな泣いて」
家から出てきたのはお父さんの兄の弘だ。いつも話かけてくれる優しい人だ。そんなおじさんに俺は泣きながら言った。
「今から急いで近くの本屋まで連れて行って!!お母さんとお父さんが…」
「わかったが車の中で詳しく説明してくれんかね」
「わかった」
俺とおじさんは急いで車に乗り込むと走り出した。
「霧斗君、本屋で何があったんだ?」
「本屋で何かあった訳じゃないよ。さっき電話がかかってきて、その近くの交差点で車七台が絡む事故にお母さんとお父さんの車も巻き込まれたんだって。それで…」
「霧斗君、着いたよ」
「ありがと!」
俺は車から飛び降り急いで交差点に向かった。そこには大破して炎上している車七台がいた。俺は近くにいた消防隊の人に声をかけられた。
「ねぇ君、どうしたのかな?」
「あ、篠宮です。さっき電話があってお父さんとお母さんが巻き込まれたと」
「君が篠宮さんね。下の名前は?」
「霧斗です」
「おーい霧斗君」
「おじさん!!」
「おう!ってどうも、篠宮弘です」
「初めまして。早速こちらにお越しください」
案内されたのは救急車だった。そこにはお母さんが担架の上にのせられていた。お父さんの姿はない。
「おかあ…さん…」
「浩美さん…」
俺とおじさんが同時に呟いた。その声に反応したのかお母さんはかすかに瞼を開けた。
「霧斗…来てくれたのね。弘…さんのせて来てくれてありがとう」
「そんな、浩美さん、あいつはどこにいるんですか?」
「あの人なら隣の救急車にいるわ…でも」
その言葉を聞いたおじさんは泣きそうになりながら隣の救急車に行った。俺は残ったが悟った。お父さんはもう死んでいる事を。
「霧斗、美緒はどうしたの?」
「美緒は家にいるよ」
「そうなのね。いい?私ももう長くないわ。これから弘さんを頼りさない。それから美緒の事を頼んだわよ。お母さん信じてるから。霧斗は歌の才能はもちろんピアノや他の楽器にも才能があると」
「そんな…お母さん、」
「何も言わなくていいわ。お父さんからの遺言よ…霧斗は将来、必ず有名人になれる。だから頑張れ、お父さんは天国で見ているからって。霧斗、もう一度頼むわ…美緒の……こと……頼んだわよ。霧斗……この先……いろんな人を…………笑顔に……してね…………必ず霧斗ならできる…………その夜空のような……優しさ……で幸せに……してね……ね……必ず………できる……から………」
そう言ってお母さんは瞼を閉じた。そして二度とその目を開ける事はなかった。
「おかあさーーん!!」
〜霧斗〜
「はっなんだ夢か」
飛び起きて時計を見ると時刻はまだ夜の三時半だった。
「あれからもう八年か…そういえば最近弘おじさんにあってないな」
あの事故に巻き込まれた十三人の人は全て亡くなった。そのこともあるのか歴史に残る悲惨な交通事故となってしまった。
「寝付けないし久々に一人でゲームやるか」
その時霧斗の耳元で声が聞こえた。
『頼むよ霧斗』
『頼んだわよ霧斗』
その声を聞いた霧斗は一筋の涙を流した。その声は亡くなったはずの母と父の声だったからだ。
「ああ俺…頼まれたよ。母さん、父さん…」
その霧斗の言葉は闇に消えていった。
          
「霧坊、たすけてー」
「何を?」
「負けるー」
よく見るとテレビゲームの方がぼろ負けの状態だった。霧斗はため息をつくと渋々操作を変わったが、案の定そのまま負けた。
「って宿題終わったの?」
「終わったよ。やっぱり茨乃ちゃんは教えるの上手いよね」
「俺は習ったことないから。まず文化祭の時まで喋ってもなかったから」
「そうか。霧坊って最近まで瞬坊しか友達いなかったんだ」
「そうだ。俺はもうふろ入って寝るから」
そう言って風呂に入り寝たのだった。
〜霧斗視点〜
「霧斗もう朝よ起きなさい」
「えーまだ寝てたいよー」
「じゃあお母さんとお父さんはちょっと出てくるからね。すぐ戻ってくるけど美緒のことお願いね」
「うん!!」
そう言って俺はお母さんとお父さんを見送った。この日が最後の日と知らずに…
「美緒、久しぶりにゲームしよー!」
「いいよお兄ちゃん」
「よし負けないぞー」
美緒と一緒にゲームをしていると電話がかかってきた。でもお母さんもお父さんも出かけていて電話に出る人がいない。俺は電話にでたことがまだ1回もなかった。しかしちょっと頑張ってみようと思い電話にでた。
「はいもしもし、篠宮です」
「はい。そんな…すぐに向かいます」
「近所の人に送ってもらうので場所を…分かりました。すぐに行きます」
電話をとると俺は泣きそうになったがこらえた。
「美緒、今からちょっとでてくるけどついてくる?」
「いやゲームしとく」
「わかった。鍵かけて出るから」
俺はそう言って隣の家に行った。泣きながら…
「おじさん!!いる?」
「おお霧斗君か…どうした?そんな泣いて」
家から出てきたのはお父さんの兄の弘だ。いつも話かけてくれる優しい人だ。そんなおじさんに俺は泣きながら言った。
「今から急いで近くの本屋まで連れて行って!!お母さんとお父さんが…」
「わかったが車の中で詳しく説明してくれんかね」
「わかった」
俺とおじさんは急いで車に乗り込むと走り出した。
「霧斗君、本屋で何があったんだ?」
「本屋で何かあった訳じゃないよ。さっき電話がかかってきて、その近くの交差点で車七台が絡む事故にお母さんとお父さんの車も巻き込まれたんだって。それで…」
「霧斗君、着いたよ」
「ありがと!」
俺は車から飛び降り急いで交差点に向かった。そこには大破して炎上している車七台がいた。俺は近くにいた消防隊の人に声をかけられた。
「ねぇ君、どうしたのかな?」
「あ、篠宮です。さっき電話があってお父さんとお母さんが巻き込まれたと」
「君が篠宮さんね。下の名前は?」
「霧斗です」
「おーい霧斗君」
「おじさん!!」
「おう!ってどうも、篠宮弘です」
「初めまして。早速こちらにお越しください」
案内されたのは救急車だった。そこにはお母さんが担架の上にのせられていた。お父さんの姿はない。
「おかあ…さん…」
「浩美さん…」
俺とおじさんが同時に呟いた。その声に反応したのかお母さんはかすかに瞼を開けた。
「霧斗…来てくれたのね。弘…さんのせて来てくれてありがとう」
「そんな、浩美さん、あいつはどこにいるんですか?」
「あの人なら隣の救急車にいるわ…でも」
その言葉を聞いたおじさんは泣きそうになりながら隣の救急車に行った。俺は残ったが悟った。お父さんはもう死んでいる事を。
「霧斗、美緒はどうしたの?」
「美緒は家にいるよ」
「そうなのね。いい?私ももう長くないわ。これから弘さんを頼りさない。それから美緒の事を頼んだわよ。お母さん信じてるから。霧斗は歌の才能はもちろんピアノや他の楽器にも才能があると」
「そんな…お母さん、」
「何も言わなくていいわ。お父さんからの遺言よ…霧斗は将来、必ず有名人になれる。だから頑張れ、お父さんは天国で見ているからって。霧斗、もう一度頼むわ…美緒の……こと……頼んだわよ。霧斗……この先……いろんな人を…………笑顔に……してね…………必ず霧斗ならできる…………その夜空のような……優しさ……で幸せに……してね……ね……必ず………できる……から………」
そう言ってお母さんは瞼を閉じた。そして二度とその目を開ける事はなかった。
「おかあさーーん!!」
〜霧斗〜
「はっなんだ夢か」
飛び起きて時計を見ると時刻はまだ夜の三時半だった。
「あれからもう八年か…そういえば最近弘おじさんにあってないな」
あの事故に巻き込まれた十三人の人は全て亡くなった。そのこともあるのか歴史に残る悲惨な交通事故となってしまった。
「寝付けないし久々に一人でゲームやるか」
その時霧斗の耳元で声が聞こえた。
『頼むよ霧斗』
『頼んだわよ霧斗』
その声を聞いた霧斗は一筋の涙を流した。その声は亡くなったはずの母と父の声だったからだ。
「ああ俺…頼まれたよ。母さん、父さん…」
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