追放から始まる成り上がり

時雨古鷹

帰郷

スシヌの公開処刑が行われた日から3日が経った。この3日間で起こった出来事を軽く説明すると、スェシス様の邸宅にお世話になった。
ちなみにカイシスとレイネはどうなったかというと、2人ともおれの専属騎士になった。陛下には先に馬車をもらった。そして今朝、陛下から叙爵式の前に両親に報告して来いと言われたので、馬車に乗り村を目指すことにした。

「ハルト、村が見えてきたよ…って急ぐぞ!」

カイシスの表情が険しくなった。何事かと思い馬車を飛ばすと盗賊団に襲われていた。

「カイシスは俺と一緒にこいつらを撃退しよう。レイネは傷ついた人を広場に集めて」

2人がその言葉にうなづいた。まだ敵は気づいていない。俺は馬車に結界を張り敵のもとに駆け抜けた。

「雷炎魔法【雷火炎ランジングフレア】」

刹那、敵の足元から雷をまとった炎…雷炎が吹き上がった。敵の数は3人減って5人だ。敵は突然の奇襲に慌てたが相手が2人だと知ると不敵な笑みを浮かべて襲い掛かってきた。
俺より先にカイシスが動いた。得意の片手剣で1人目の腕を切り裂き間髪入れず2人目の剣を受け止めた。暫く鍔迫り合いの状態が続くが敵の剣が折れその勢いで2人目の敵も切り捨て離脱した。

「ハルト後は頼んだ」

カイシスがそういってレイネのところまで撤退した。
俺は近くに落ちていた木の枝を拾い構えた。それを見た敵は突っ込んできた。おそらく木の枝を折れば勝てると見込んでのことだろう。しかし俺は木の枝に魔力を限界まで流し込んでいる。もし当たれば最悪死に至るだろう。

「甘いよ。【雷水ライジングウォーター】」

あたり一面に雷をまとった水が浮遊する。それに触れた敵が感電し体勢を崩したところを木の枝で殴り気絶させる。これで残りは1人だ。

「お前、何者だ?」

「俺の名前か?Sランク冒険者、ハルト準男爵だ」

準男爵と聞いた敵は不敵な笑みを浮かべ襲い掛かってきた。俺はそれをかわし反撃するが木の枝が折れてしまった。

「あぁそういえば名乗ってなかったな。俺の名はバルツァーだ」

バルツァー、聞いたことがあるぞ。賞金首で国宝を盗んだとして指名手配されている。見た限りとても弱そうだ。俺は早急に始末するためにバルツァーの周りに結界を張り、結界内を酸素100%にした。これによりバルツァーはあっけなく死んだ。
俺は馬車に戻り村の広場まで牽いてきた。レイネが傷ついた人を集めてくれていたので魔法を唱えた。

「【範囲完全回復エリアパーフェクトヒール】」

この魔法は回復属性超帝級魔法だ。死んでいなければたとえ瀕死の状態でも完全に回復できる。

「カイシス、レイネありがとう」

俺は2人にお礼を言い村の人々に宣言した。

「盗賊団は討伐した」

その言葉を聞いた人は歓声を上げ俺たちを祝福した。俺は2人とともに両親のもとに報告に行った。

「あなた、ハルトが帰ってきたわよ」

俺の姿を見た母さんが急いで父さんを呼びに行ったのをみて、改めて故郷に帰ってきたという実感がわいた。

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